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枕の上に 希望の下に(12)

虫とり網と虫かご

虫取り網を持って駆け回る

捕まえるのが得意な奴が居て

虫かごの中を

説明するのが得意な奴が居た

お互いの長所を

認め合っては

笑いながら遊んだ

夏の太陽なんて

気にしなかった



五年生の梅雨に

転校生が来た

変わった子だったけれども

直ぐに仲良くなった

夏休みには

去年と同じように

虫とりに行く

あの子と一緒だった

同じように

二人は行動した

するとあの子は

「虫を取れるだけじゃなくて

説明まで出来たらカッコいいのに」

「説明だけじゃなくて

虫も取れたらカッコいいのに」

二人に向かって

言葉を投げた

驚いたような二人は

それに納得したようだった



きっと こうやって

一色になってきたのだ

出来ない所を指摘されて

それで良いのだと

思えなかったから

凡人を作り出したのは

いつか思った

出来たらカッコいいを

やって見たかったからだ



あの日を境に

二人はお互いを勉強した

虫とりには体を使うから

一人は筋トレや走る練習

記憶しなくちゃいけないから

一人は図鑑と睨めっこ

少しづつ

色が変わって行くのが分かった

入れ違いかのように

スイッチが入れ替わった



六年生の梅雨に

あの子は

転校して行った

仲良くなったからか

渡した寄せ書きは

色がパンクしていた

あの子は

それを貰って

夏休みに遊びに来ると言った

八月に入って直ぐに

その約束は果たされた

みんなに電話をかけて

学校に集まった

裏山に虫とりへ行く

二人は虫を捕まえて

説明をした

するとあの子はこう言った

「人が多いから

こうやってやってくれる二人は

カッコいいよ」

二人は得意げに

顔を見合わせて笑った



きっと こうやって

一色になってきたのだ

弱点を克服して

それで良いのだと

褒めてもらえたから

凡人を作り出したのは

いつかの言葉が

心底嬉しくて

やってみようと思ったからだ



能力が高い部分を伸ばすなら

能力が低い部分が足を引っ張っても

納得できるかだろう

もしくは

そんな事を考えなくても良いほど

能力を高くできるかだ

納得できないなら

そこには争いが生まれる

凸凹の人間が

更に凸凹になるような話だからだ

お互いの凹凸は擦れ合う

そこに火花が散る物だ



長所と呼ばれる物には

自分でも

分からないようなプライドも

練り込まれている

無くなってしまえば

死に直結するかもしれない

凡庸を作り出していたのは

それを

小さくする為だったのか

今はもう分からない



きっと こうやって

一色になってきたのだ

でも今は

それを違うと言い

元から高い能力を

伸ばそうとしている

そこに納得はあるのか

夢や願望に操られていないか

いつか思った

能力が高い人間になりたいは

努力しても成れるとは限らない

その先に

どうやって折り合いをつけろと

君は言うのだろう

それは凡人になれと言っているのと

代わりないのだが










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