(異世界に舞い降りた中二病堕天使と本物の天使たちの織り成す物語)
「扉を開けると、そこには見知らぬ風景が」
俺の名前は龍平17歳。堕天使。早速だがひとつ言わせてもらおう
俺は並行世界、グランドギアの人間と戦った、たった一人の戦友(友人)の元に来ていたはずだ。
それが今はなぜか見知らぬ家に。いや、これは家と言っていいのだろうか。
右を向けば長い廊下。左を向けばこれまた長い廊下とその途中に階段が。しかしどこも薄暗く、気味が悪い。そして俺は友達の家だったトイレから一歩を踏み出した。しかし何も起こらない。
「おいこら!世界が暗転するとかしろよ!」思わずそうこの世界対して、この世界に俺を飛ばしたのであろう神に言う。その瞬間この豪邸らしきものの階段を上がってくる人影が目に入った。
「ヨッシャーーーーーーーー!!美少女キターーーーー!」
そしてこの少年に悲劇(笑)が訪れる。
「ほーら、美少女があなたをむかえにきてあげt…….」
ニヤニヤしながら言って、少年の前に自信満々に上がってきたのは明らかに18歳前後の羽の生えた美少女がたっていた。
そして彼女が言い終わる前に、つい少年は余計な一言、そして悲劇の原因となる言葉を発してしまう。
「チッ…年増BBAかよ。」
その瞬間その場が凍り付いたことに少年は気付かない。さっきまで遊んでいた友人が居れば気付けたのだろうが、今はいない。そしてそれに気づかない少年は
「おいどうした?年増ババァw」
「わ、わt…」
「聞こえねーよ。年取って声も出せなくなったか?w」
「私はあなt...」
「あ?なんて?聞こえねーよ!BBA!」
「だから私はあなたをこk…」
「おーい、神様―美少女はまだですかー。こんなBBAいいんで。」
目の前にいるBBAいや、我々からしたら少女がプルプル震えだした。
「おーい、カミサマー、まーだでぇすかぁーーーーーwww」
そして、ついにキレた。
「おいこら!ガキー!私がババァに見えるか?そんなに言うなら今すぐここで死ぬか?あ?ふざけるのもいい加減にしろよ?私の名前はミカエラ・E・ローg..」片方の眉毛がぴくぴくさせながら言う。が、またしても途中で少年が言い返した。いや、流した…..
「あーはいはい。おばあちゃんはキレたら血管弱いんだかr…」
今度は少年が途中で言葉を遮られた。いや、発せなくなった。
いきなり自分と同じ身長の異性が目と鼻の先に飛んできた。
そう、飛んできたのだ。そして、彼女の淡いピンクのふさふさした羽に包まれる。
そうなればもう自力では身動きも取れない。そして自分がさっきまで年増呼ばわりした少女が目の前に。さすがに龍平もこの距離になると感情を読み取ることができた。その感情とは。
激怒。笑っていてもわかる口元や眉毛がぴくぴくしている。
そして一瞬のうちに膝蹴りをかましてきた。死ぬかと思った。そう、男が一瞬にして崩れ落ちるあの場所を何のためらいもなく膝で蹴り上げてきたのだ。
そして、俺の意識がもうろうとし始めたときに彼女は一言。
「やったね、少年。世界を暗転させてあげるね♪最後に何か言い残すことは?」
さっきまでの笑みのまま優しい声色で言った
「あの、BBA…..じゃなくて、えっとその、離れてもらえませんか?….」そう顔を見れずに俯きながら少年が言うと、一言「BBAいうな!」もう一度さっきまでの鬱憤をのせて蹴り上げた。
そうして俺の意識は完全に文字通り暗転していった。
そしてこれは、名前を言い切ることのできなかった少女と異性の美少女(8歳以下)が大好きで、そうなってしまった闇を持つ少年の二人が出会った瞬間だった。
「おい龍平起きろ、朝だぞいつまで寝ている」
そう呼ばれてばれて俺は目を覚ました。目を覚ますとそこには薄いピンクの羽の生えた少女が立っていた。母親じゃない。姉たちも今は一緒にはいない。つまりこいつは…
「夢の中のBBA!」
そのとたん頭に鈍痛が。どうやら彼女はBBAといわれるのが嫌いらしい。
しかし少年はそんなことはどうでもいいほど、ある一つの疑問が浮かんでいた。
「おい、ちょっとまて、なんで俺の名前を知ってる。」
殴って意識が飛ばなかったことに驚いていたのか間抜けずらをしていた彼女がハッっと平常心に戻った。
「何度も言おうとして、あなたに遮られたけど、今度こそ言わせてもらうわ。わたしは天使よ。」
「あ、痛い人なの…」ドカッ
少年は殴られた場所をを両手で抑えながら「おい!痛いだろうが、頭が悪くなったらどうするんだよ!」そう真剣に言った少年をたった一言で論破する。
「安心しろ。すでに馬鹿だwそれとな、私はお前みたいな中二病ではない本物の天使だ。それとこれ以上余計なことを言うと、また…」そういいながら右手のこぶしを上げる少女を見て龍平は、コクコクとうなずくしかなかった。
「やっとわかったようね。まず私の名前を言いましょうかね私の名前は【ミカエラ・E・ローグディア】ローグディア家の一人娘よ。ミカエラって呼んでね。と言ってもわからないか…えっと、この家はローグディア家のものよ。で、ローグディア家っていうのh…」
「ちょっと待ってくれ、一切頭に入ってこないし、そもそも俺はなんでこんなところに来たんだ?」
「一瞬殴ろうかと思ったけど、確かにそれもそうね。」
「俺もそこまで馬鹿じゃないさ」
「とりあえず、俺は堕天使だーーーーとか言っちゃってる私と同じくらいの年齢の痛い子なんてあんまりいないし、この世界に来たいかなーと。今跡継ぎの問題でいろいろもめてるのよ。だから」
「いやだからってなんだよ!説明になってないよ!」
「えっと、要するにローグディア家一人娘の私の婿になりなさい。」
衝撃的な理由を説明されて、突込みに徹する龍平だったがこればかりはどうにも返せなかったが、その様子を見たミカエラがとてもいやそうな顔をして
「でも、まさかこんなロリコンだったなんて….別にルックスは悪くない,というかタイプなんだけど中身これかぁ。」
「悪かったなロリコンで。とりあえずお役目果たせそうにないから元の世界に返してもらえる?」
「ムリよw無理無理wだってもう、こっちに来ちゃったし。一方通行だからw」そう笑いながら答えるミカエラに、今度は龍平が殴りかかろうとするのも当然だった。
しかし相手は天使だ、到底敵うはずもなくもなく逆に押し倒されて、固められた。そしてその後でいろいろと話を聞かされた。
要は、ローグディア家は先々代までいくつもの村が集まった地域を治める家系だったが、納めていた領地が次々と戦火の渦に巻き込まれ荒れ果てた土地となってしまったのだそうだ。そして残っているのはこの大豪邸があるぺリシチの町だけらしい。それで復興を願う戦火を逃れたかつて治めていた地域の人々の頼みを聞くために俺を婿にして、後を継がせて二人でこの荒れ果てた土地や、奪われた土地を取り返し、ローグディア家の復興を果たそうということらしい。
「それで、俺にどうしろと?」
「結婚してほしい」
「好きでもないやつとか?」
「私は別に君がロリコンじゃなければ好きなんだけどなぁ…」
「悪かったなロリコンで。」
「全くだよ…..それで、一つ確認したいんだけどね。龍平は17歳だよね?」
「そうだけど、それが何かあるのか?」
にやっとしたミカエラは、今の龍平にとっては恐怖でしかなかった。そして、この確認で話の主導権が決まってしまうことになるのは、おそらくミカエラは俺よりも年上なのだろうということは、エスパーではないが察することができた。
「さすが中二病はこういう時に頭のキレるじゃん♪」
こっちはエスパーだった……..
「何を隠そう私は18歳♪」ものすごく笑顔で言う。
「じゃあこれから、よろしくね」そう言って龍平のほうに近づいたミカエラは
「…龍平…」耳の近くでつぶやいた
この瞬間不覚にもミカエラのことを振り払えないのであった。
そのころ、天使を見守っている神たちはこの様子を、天光門大広間「グラセリア・デルス」から見ていた。
グラセリア・デルスは空に浮遊している天界の天光門の中にある。天光門は正面には大きな門扉があり、その奥には長い庭園があり、両脇にある噴水からは水が噴き出している。そこにはミカエラとはまた違った羽の形をした人々?が暮らしている。
そして、いくつかの建物があり、その中央に位置する本堂の中心の広間が天光門大広間「グラセリア・デルス」なのだ。
そしてこの大広間の中心にある浮遊して何かがくるくると周りをまわっているとても大きな水晶のような物体にいくつも映し出されたうちのひとつで見ていたのだった。
「ねぇねぇ、見た?あの子結構初心じゃんwww」
「ちょっとあんまり言っちゃダメですよ。人のことを盗み見るのはダメって言われてるじゃないですか」
「いいのいいのwそんなことしてたらこれの使い道なくない?」
「こらーーーーーお前ら!なにをしている!」
「あ、やべっ」
広間に二人が捕まって同時に殴られ三つのドカッという音がしたのは、時を同じくして龍平がミカエラの頭を殴ったからなのは言うまでもない。
そして、これ以外にも天後門大広間でミカエラたちを見ていた人?はたくさんいたため、ミカエラが龍平に殴られた瞬間の光景は各地に散らばる昔の友人にも瞬く間に広まった。
場所はローグディア家の豪邸に戻る。
これは龍平がこの世界に来てから3日目の出来事である。
龍平がとても神妙な顔をして口を開いた
「重要なことがある」
キョトンとした顔をし、パンでパンパンになった状態でミカエラは首をかしげ言う。
「ふぁふぃ(なに)?」
ミカエラのエスパー能力は食欲に負けてしまったようだ….
「ゲホッゲホッ…ちょっと待ちなさい。一応ちゃんと読み取れるに決まってるじゃない」そう言いな上がら食べ始めた。
(ババァ….年増….アホ…..あんぽんたん….ry)
またミカエラは何かを食べていた。何も言ってこない。龍平は食欲の前には何も勝てないのがミカエラなのだと悟った。
「おい、ミカエラさーん。そろそろこの世界について説明せてもらえませんかね?」
「あー、あとでね。」モグモグ
「はぁ….」
五分後ようやく満足したらしいミカエラをみて、もういちど龍平は質問をしてみた。
「あのさ、景色はすごいいよ。この豪邸の前には川後ろのほうから流れてて、裏には豪邸豪邸の玄関は南向きで日当たりもいい。でもさ、なにあれ。あの空に浮かんじゃってるあれは何なんだよ!」
「あーあれ?あれは神様とか私たち天使がいるとこよ。で、今いるここが人間や獣人、あとは植物が特殊変異して生まれたフローラリー家の一族もここに住んでるのと、あとは海の中にも何かいるらしいけどここからは遠いしねw私もよくわかんないわwww」
爆笑しながら話している。だが龍平はとりあえずあの浮いてるものが気になるようだ。さすが中二病。
「なぁ、ミカエラ。あそこに行きたいんだが。あの浮いてるとこ。」
「えー。天界に行くのって結構大変だからなぁ….先にこの周辺にいる私の友人にあいさつしに行きたいんだけど……そうね。これから、おねーちゃんって呼んでくれるなら連れてってあげてもいいけど、ってどうしたの?過呼吸みたいに。ちょっと聞いてる?龍平?」
龍平は何かにおびえながら、泣いていた。こんな状態の龍平など、親でさえ見たことはない。ある一人を除いては。そして龍平はいきなり叫ぶ。
「いや。行かないで怖い。助けて。連れて行かないで。」
「ちょっと龍平。どうしたの?ちょっと!」
龍平のただならぬ様子にミカエラも異変を感じ取り呼びかけるも虚しく。そのまま龍平は泣き疲れて寝てしまった。それも、あれだけ嫌っていたミカエラに助けを求めるように。
その様子を見て。この後ミカエラは、龍平がなぜおびえていたのかを聞こうと決意を固める。
「とりあえず、今は寝させてあげるかぁ….」そのままミカエラも一緒に寝ていく。
「龍平、私たち離婚することになったの。どっちについてくるか決めなさい。」
「だめだ。龍平は今年受験だ。俺が連れていく。ただ俺も龍平ひとりと暮らすのが限界だ。美夏は母さんに頼めないか?お前じゃ龍平の教育費を払える気がしない。」
「わかったわ。」
「ちょっと待ってよ私たちの意見は?」
「え?なに?俺何も聞いてないんだけど?」
「もう決まったことだ。」
「はっ!?うわっ!?ちょっなんでお前が隣にいるんだよ」
「ほふぇ?….龍平起きたの?それと何かトラウマがあるのなら、言っていいよ。」
珍しくミカエラが龍平にやさしくしていた。それだけ龍平の状態が心配だったのだ。
そして、龍平の暗い過去がミカエラに語られようとしている。
この後、語られようとしている龍平のちょっと暗い過去。