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――――世界の終わりを描くお話が好きだった。
理不尽が、あっさりと人の積み上げたものを踏みにじっていく物語が好きだった。
『私』という人物は、幼少の頃からそういった、ある種の終末思想のようなものに関心があった。
憧れていた、と言ってもいい。
何故そんなにも終わりに恋い焦がれていたか。それを明確な言葉で整理するのは難しい。
どうやら、複雑な要素が絡み合い、いくつかの偶然がそれを束ねてしまったせいで、こうして出来上がったもののようだ。
……「何故」を説明することは難しいが、結果のみすくい取ることは容易い。
私は、そういう呪いに近い想いを抱き続けながら生きてきて、いつの間にか、世界の中枢に関わるようになっていた。
それはつまり、恋焦がれ続けていた「世界の終わり」に最も近い位置にいたということだ。