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波の音が、響いている。
砂浜に角の生えた一人の少女がいる。
彼女は、終わりのない眠りについた女性を抱きしめている。
朝も。昼も。夜も。
雨の日も。晴れの日も。
春も。夏も。秋も。冬も。
「――――ねぇ、先生」
少女は、海を見ながら口を開く。
「綺麗だね。この世界は。本当に、綺麗」
……ふと、少女に影が落とされる。
少女が振り向くと、そこには、翼を生やした別の少女がいた。
「――――私も、綺麗だと思うよ」
翼の少女が、角の少女に微笑みかける。
波の音が、響いている。