銀河を飛び回りたい‼︎
新作ですが、良ければ見てください。
冬の夜空。上空を見上げれば、無数の星が美しい輝きを照らしている。
そんな美しい輝きを守ろうとする少女達の物語である。
≪♫≫
1本の館内放送が寮全体に響き渡る。
【本部から応答。本部から応答。館内の隊員に告ぐ。只今、10時の方向に第一星艦隊の帰還を確認。至急応急班はターミナルへ急行】
午後21:00 館内は慌しくなり、隊員は、星艦隊の帰還を心待ちにしており、皆心が躍っている。何せ、今日出撃していた艦隊は暗黒物質から国を守った英雄"第一星艦隊"だ。
「私達も行こうよぉ」
「ダメだって。私達はまだ見習いだよ。行っちゃうと迷惑になるから」
「大丈夫だってバレなきゃ良いんだから、行こうよザクロちゃん!」
「しょうがないなぁ…少しだけだよ…」
「なら決定っっぃ!」
そう言い私の袖を引っ張り、私達はターミナルへと向かった。
「ちょっとラスタ。あんまり引っ張らないでよー」
私達も隊員の1人。まっ見習いなんだけどね。
私の名はザクロ。17歳。此処には、 配属されてまだ1週間って所。
私と同期のラスタ。17歳。ちょっと自由気ままな所が有るんだけど、まぁそこが彼女の良いところでもある。
私達がターミナルに訪れた時には、既に、上級階級の隊員や隊長クラス、応急班、整備班、連絡班、や数々の部隊やエリートが集まっていた。私達はかなり場違いだ。だがまだ艦隊は到着していないようだ。
「ねぇラスタ。帰ろうよ…本当まずいって…」
「No…No! ザクロちゃん!第一星艦隊部隊だよ! 英雄だよ!え・い・ゆ・う!」
ラスタは目をキラキラ輝かして此方を見る。
「でも…先生に見つかったら怒られるちゃうよ…」
「大丈夫!先生はもう寝ちゃってるんじゃ無いかな?」
「誰が寝ているですって。ラスタさん」
そこには、ラスタを今にも怒鳴りつけそうな顔をしている女性が立っていた。彼女の名はビレオ。私達の先生であり、現役の4番隊副隊長である。
「げっ!ビレオ先生…おはようございます…」
「げっ!おはようございます。ではありません!貴方達はどうしてこんな所にいるのですか!」
先生の声は人集まりの多いターミナルでも良く声が通る。周りはその声に気づいたのか、少し騒めいている。
(だから言わんこっちゃない。ラスタは自由気まま過ぎるんだから…)
ビレオはザクロを見て、
「ザクロさんも。まだ課題の提出も出してないですよね?」
「それは…そのまだ出来てなくて…」
遂には私にも被弾した。
(くっそ〜、ラスタ。後でタバスコドッキリ仕掛けてやるんだから!)
先生は困り果てた口調で、
「二人とも今日はもう遅いです。さっさと寮に戻りなさい」
「でもまだ1番隊が…」
「ダメです。貴方達はまだ新人の中の新人です。此処にはまだ来てはいけません。いいですね?」
「はい…」
私達は渋々と帰ろうとした。その時、アナウンスが入った。
【第一星艦隊離陸。離陸します。3、2、1 】
《離陸完了》
そのアナウンスで歓声が湧く。私は熱くなった。胸の何かが惹きつけられるように。
そして、武装を纏った第一星艦隊の3人の少女が帰還した。
「結構いるなぁ」
「そりゃそうですわ。リゲル」
「二人ともはしゃぐなよ。報告書を書くまでが任務だ」
「はい隊長」
「はいよ」
英雄達を観た私は思わず、駆け出した。
「ちょっと!ザクロさん!」
「抜け駆けはズルいよ!ザクロちゃぁん!」
先生の声は遠くの方で聞こえた。ラスタは後を付いてくる。
拍手で包まれた人混みを掻き分けて3人の前に出た。
「何だこの子は?ラトリ知り合いか?」
「さぁ?私は知りませんわ」
「て事は、隊長の知り合いか?ねぇ隊長」
「いやっ…」
3人は私をすれ違って行く。
「あのっ!」
3人は足を止めた。私は荒れた息を整えながら、振り返った。
「その私の名前はザクロです!えっと…まだ私新人ですけど、いつか…いつか皆さんと銀河に出たいです!」
私は慌てて口を手で隠した。
(私ったら急に何て失礼な事を…)
ベテルギウス隊長は口元を少し緩めた。
「楽しみにしてるよ。君と共に戦える日を」
「はいっ!」
そして、私には1つの目標が出来た。
第一星艦隊に入って、銀河を飛び回りたい‼︎