paragraph Ⅰ
寒さの凍てつく季節のこと。
私の周りから、誰も彼もが姿を消した。
消した、と言うには言葉足らずだが、正確にはみんな真っ赤になって壊れて、気づいたときには死んでいた、と言ったほうが正しい。
私自身が直接手を加えた分けではないのだが、周りは私の所為だと罵る。
結局、私が全て悪かったのだ。
私は知らぬ間に罪を、業を重ねてしまっていた。
だから、彼らは殺された。
私と関わりがあったから、殺された。
私の所為で死んでしまった。
私は独りになってしまった。
泣いたって、嘆いたって誰も助けてはくれない。
そう思っていた。
でも、彼は来てくれた。
「泣くな」
彼はそう言った。
「君の所為じゃない」
なんて言って、慰めてくる。
でも、私が悪かったのだ。
私が彼らを殺してしまった。
彼らが何をしたというのだろうか。
毎日、汗を流しながら、体を壊しそうになりながら働いていた彼らにどんな非があっただろうか。
必死に生きようと、願った彼らは私の所為で死んでしまった。
結局、私は生きていてはいけなかったのだ。
「死んだら駄目だ」
そう説得する彼に、私はもう聞くことが出来なかった。
生きたいと思えなくなった。
死にたいと思った。
もう、私の所為で誰かが死ぬのも、私の所為で誰かが不幸になるのも見たくないのだ。
運がいい事に、私は明後日死ぬのだ。
もう抗う必要は無い。
でも。
それでも。
私は、忘れない。
―――家族が、友人が、大切な人たちが死んだ、今日この日を決して忘れない。