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ZartTod  作者: えびてん丸
35/42

paragraph Ⅵ

「ねえ、どうしてそんなにいつも怯えてるの?」

 

 そう聞いてきたのは、同じ教会で仕事を共にしているフィアという少女からだった。茶髪の髪の毛が頭巾から出ている。彼女は明るく気さくで、周りの人とも仲がいい。私とは比べ物にならないくらいに。

「お、怯えてますか?」

「うん。ほら、あたしと話すときも、少しどもってるし」

「ご、ごめんなさい……」

「謝らなくてもいいわよ?」

 優しくそう言うが、私は彼女の機嫌を損ねてしまったのではないかと、内心冷や冷やしていた。彼女の言う通り、怯えている。

 実際、彼女の方が私よりも一つ年上であった。要領がよく、誰とも接することができる。私はそんな彼女が羨ましかったのは事実であり、憧れでもあった。

 私もそんな風になれたらなあ、と思う日は山ほどあった。

 同時に、私のこんなに気味の悪い髪の毛じゃあ無理だ、と思う日も山ほどあった。

 沈黙が流れるが、その流れを止めるのはいつも彼女の方だった。

「ねえ」

「あ、はいっ」

 過剰に反応をした私に彼女は「ふふ」と笑った。

「あ、あの……何かおかしかったでしょうか?」

 私が聞くと、

「ああ、ごめんね。反応が面白かったからさ……つい。意外と面白い子なんだなあ、って」

「は、はあ」

「ねえ、その……さ。あたしに敬語使わなくてもいいわよ?」

「で、でも……」

「でも、じゃない!」

「は、はい!」

「ほら、また敬語……。そんなんじゃあ、距離感じちゃうじゃない」

「きょ、きょり……?」

 私が理解できずに聞くと、彼女は人差し指を私の目の前に差し出して、「そう!」と頷いた。そして、胸を張って言い切る。

「友達だと思ってるのに、敬語使われたら友達と思われてないのかなあ、って落ち込むじゃない」

「と、とも……だち」

 その響きを聞いたのは初めてだった。誰かに友達と言われたことが初めてだった。いつも誰かに拒絶されるばかりで、突き放されるばかりだった。「化物」と蔑まれ、虐められ、嫌われてきた。だから、そんなことを言われたのは初めてで、最初聞き間違いではないか、と当惑した。

「そうじゃないの? あたしたち」

 彼女は微笑んで私を見つめた。私は彼女の顔をじっと見てしまう。

「友達……わ、私と?」

「うん。駄目かな?」

 申し訳なさそうに首を傾げる彼女に、私は思いっきり頭を振った。

「わ、私でいいんですか?」

「メイリスじゃなきゃ、あたしは嫌だね……って、何で泣くの!?」

「う、嬉しくて……ついっ」

 泣いている私に驚いた表情を見せる彼女―――フィアと友達になった。友達だ、と宣言された初めての日だった。

 そして、私の生涯における最初で最後の友人の誕生の日でもあった。

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