『バケモノ』が最期に見たモノ (RETAKE TYPE)
ボクは、どうして生まれてきたんだろう?。
ヒトには怖がられ、それがイヤだからただ森の洞窟の奥で泣いているだけ、それがボクだった。
ボクの大きな両手、そして指先についたに長く鋭い爪は、獲物を掴み、引き裂くため。
ボクの大きな口、そして長い舌に鋭い牙は、獲物を飲み込み、噛みちぎり、その血を啜るため。
呪われた身体、他人から嫌われ、拒絶される身体。
こんなの、欲しくなかった。
普通のヒトとして生まれたかった。
でも、彼女がボクのそばに来た。
キレイだった。嵐の夜、ボクの居る洞窟に逃げ込んできた。
ボクらは顔は見えなかったけど、お互いすぐに仲良くなった。
そして日が明け、ボクの姿は彼女に見られた。
泣きたかった、また、好きになったヒトに嫌われるのかと思うと。
そうしてギュッと目をつぶったボクに彼女は言った。
「大丈夫?、私はあなたの事、怖くないよ。」
――と。
それからボクと彼女は一緒に過ごした。
初めて、友達が出来たんだ。
たとえば花畑に行って彼女に言われて一緒に花飾りを作った。
一緒に川で泳いだ。
一緒にキノコを採った。
一緒に星空を眺めた。
ずーっとお喋りをした。
楽しかった、彼女と過ごす全ての時間が、ボクの中で輝いていた。
しかしやがて彼女は、死んだ。
ボクが、殺した。
彼女が、望んだから、最期の願いだったから……。
彼女が苦しむ姿を、これ以上見たくなかったから……。
ボクは村人に捕まった、身体中傷だらけにされた。
村中で『バケモノ!。』と何度も罵倒された。
ボクは、彼女を殺した罪で、死刑――、斬首となった。
薄暗い鉄格子の檻の中、ボクは彼女の最期の姿を思い出す。
首を絞められ、ゆっくりと輝きが失われていく瞳は、ボクの事をずっと映し出していた。
彼女は、笑っていた。
――そして、刑が執行される日、ボクは首に縄を掛けられた。
カウントダウンが始まる、ボクは彼女と最期に話した事を思い出していた。
――「ねぇ、ユウ君は私の事、好き?。」
――「うん、大好きだよ、始めてできた、大切な人だよ……。」
――「じゃあさ、生まれ変わったら、また会って、結婚しよう?、そしたらずっと一緒にいれるよ。……この世界じゃ、私は病気で長くないし、私は家の中でいつもイジメられてたし、ユウ君は村の人から嫌われている。……ホントはスゴいいい人なのに……。」
――「うん……。」
――「だからさ、一緒に死のう?、それで一緒に来世で生きよう?。」
――「……死ぬの、怖くないの……?。」
――「怖いよ!、怖いに決まってるじゃんっ!。……でも、この世界じゃ私たちは絶対に幸せになれないの……、だから……、ね?。」
――「……わかった。じゃあ、いくよ。」
――「うん、またね……。」
――「また、ね…。」
鐘の音が鳴る、地面が無くなり、体が落ちる。
その時ボクは、彼女が空からやって来るのが見えた。
――「ユイ……。迎えに来て、くれたんだ……。」
ボクは声にならない声でそう言う、すると彼女は申し訳無さそうな顔で、
――「こんな事になっちゃって……、ゴメンね。」
と言う、ボクは笑顔で、
――「大丈夫だよ。……じゃあ、行こうか。」
と言った。
……これが、A村で起きた人狼と呼ばれた獣人が迷いこんできた少女を半年後、首を絞めて殺害した事件を元に僕が書いた小説だ。
そういえば、当時獣人は人では無いため遠くへ消えるか絞首刑に処されるかのどちらかを選ばされたらしい。
だが人狼は迷わず「絞首刑。」と答えた、この理由は何なのだろうか?。
その答えは、彼を担当した看守が知っていた。
「あいつは、俺が『何故生きる道を選ばなかったんだ?。』と聞くと、こう答えたんだ、『彼女に早く。逢いたいから。』ってな・・・。」
最後に、村の外れにある二人の墓を訪ねた。
「ねぇ、この二人、幸せになれたのかな……?、結城。」
一緒に来た恋人の唯はそう聞いてくる。僕は笑顔で、
「うん、きっと何処かで、幸せになれたと思うよ。」
と言う、すると唯は、
「……そう、だね。きっとそうだ。」
と言って笑った。
――二人が死んでからおよそ100年後、偶然にもかつての自分達の墓を訪れた生まれ変わった二人であった・・・。
二つ目の終わり方です。




