俺はやっぱり俺
マイアは死んだ。
それは間違いない。
俺が回復できぬ傷を負い倒れたときに、自分の全ての魔力を俺に注いで空っぽになって死んだ。
アシュタールに空っぽに成った体を切り刻まれたときその死は確定した。
だが精神は水の魔王とともに俺に移動して残っていたんだ。
アシュタールは俺の体を使い、竜の体をエネルギーに変換してしまうことで優位に立ちアシュタルトを追い詰めその体を消滅させるところまで追い詰めた。
だが精神体となったアシュタルトは森の国から生命のエネルギーを奪い同時に姫の体をよりしろとすることで得た圧倒的な力でアシュタールを攻撃した。
しかしアシュタールは休眠に入ってしまうまで弱体化する直前に使っていた肉体を俺に戻したので結果的に封印から逃れることが出来たのだった。
だから俺が帝都に戻って真っ先にしたことは隠れ家にあったマイの体にマイアを移し、ロンを俺に似せて
再稼動させることだった。
このときまでに、アシュタールの意識も戻ったので何とかそれが可能だった。
俺が帝都でマイアを探していた理由?
そりゃ切り札は味方からも隠しておくもんだろう。
アシュタルトが逃げたならば、距離にかかわらずもっとも魔力の強く相性のいい体を狙ってくるのが分かっていたのでマリュースの上に魔法のレンズを出して待ち構えていたんだ。
念のために、木と金の魔王は一時的に封印させてもらってた。
小一時間もすると、用意していた鏡から竜を乗せたマイアとシェリーとライル、そして姫が出てきた。
知り合いが写っている鏡を転移で使ったり覗き見たりするのは水の魔王の力だ。
姫は姿が変わっても俺だと気付いて抱きついてきたが、シェリーは俺に駆け寄ろうとして変な顔をする。
まだ変装したままだった。
口に含んでいた綿を取り出し、鼻に入れてた針金も抜いた。
ばあさんキットに使っていたカラーコンタクトもはずし顔を洗って化粧や糊もとる。
すっきりしたところで、増えた人数の料理をとりに行こうと教会のドアを開けたところで固まってしまった。
開けたところは教会の台所ではなくて、洗浄機能付きの洋式便座がある小部屋だった。
向かい側のドアが開く。
開けた男と目を合わせた瞬間思い出した。
あの時俺はたしかにトイレのドアを開けたが、中にいたきれいな女の人と目があって、あわてて別のドアを開けてこの異世界へとやってきたんだ。
今目の前で固まっているこいつをノックアウトしてでもここで引き止めれば俺は異世界に行かずに済む。
その開けられているドアをくぐれば俺は日本に戻れる。
「タロなにしてるの?」
昔の俺はあわててトイレのドアを閉めて走り去って行った。
教会の裏口のドアを閉めてもう一度開くと、台所があるだけだった。
「我が予知したのは2年後に火傷した男が来るまで待てということと、扉の向こうに運命の分岐点があるということだ。分岐点というのどんな意味が有るのか分からぬ。」
「それだけだと分からんな。」
俺はアシュタールの前にも酒の入った椀をおいた。
呑むぞ~乾杯!




