表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/61

俺は有名人?

朝起きてスカートをはく。

女装も自然に出来るようになった今日この頃。

なさけね~、親が見たらなんというか。

俺は・・ワシは杖を突いて競売の会場へやって来た。

昨日の兵士たちが倒した山鯨の各部位が競売に掛けられる。


ワシはいつものように触手全部に値をつけた。

「ばぁさんまたそれ買うのかい。好きだな~。」

この部分は干物にするとコリコリして結構おいしい。

「ふん。ワシの小遣いじゃとここが精一杯じゃ。」

肉はもっとおいしい。

皮も使える。

何より、胆嚢に入っている油と、胆石は極めてよい香りの香水の原料になって高価だ。

山鯨は数が少ない上に危険でめったに出回るものではない。

みんな競りに熱が入る。


「銅貨50枚!」

「50枚、50枚・・・ばあぁさんに決定。」

「こりゃ!ちゃんと名前をよばんか!」

「ばぁさんはばあさんじゃないか。」

いつのまにかこの町でばぁさんといえばワシのことになっている。

有名人はつらいのぅ。

怪しまれないのには、隠れるより目立ったほうがいい。


大急ぎで店に帰った俺は戸に鍵をかけ、買ってきたばかりの鞭のような触手を2枚におろし、分泌液の入った毒袋を取り出して水につけ、黄色くなった水に裏庭に生えている白星百合をどばっと挿す。

花のおしべがだんだん赤くなってくる。

これが赤星百合。

一輪でミスリル貨が100枚以上笑いが止まりませんわ。

不老長寿の霊薬になる。

あの時、俺は腹が減って生えていた赤星百合の花の蜜をも食べようとしたんだよな。



何か分からないが足元にいるやつは肉食である。

土の中にいるのだから移動は出来ないのだろう。

狼の群れを一網打尽にするために待つだけの知恵があるかもしれない。

俺は絶体絶命の窮地にいる。

・・・・

実際は山鯨は魔力を感知して獲物を捕るのでそのまま立ち去れば良かったのだが。

俺は生き残るためにこいつを倒すことに決めた。


煙突のような呼吸器の中を風がすごい勢いで通っている。

今吐いてる。

止まった。

吸ってる。

止まった。

吐いてる。

吐ききって止まった瞬間。上の穴にリュックを突っ込んだ。

大地が震えた。

俺を中心とした円にうじゃっと触手が湧き出し、辺りをまさぐる。

よほど強い力で吸っているのか煙突がつぶれて平らになる。

俺はそれをへし曲げ紐でくくりつけ離れたリュックを再び背負う。


地面が激しく振動し盛り上がる。

全長200メートル位はあろうか、俺は巨大な鯨の頭の上にいた。

その鯨が泳ぎ?だす。

景色が電車に乗っているより速く後ろにすっ飛んでいく。

前方から立ち木や岩などがせまってきてなんど目を閉じたことか。

それらは不思議と体を幽霊のようにすり抜けて行った。


どれだけ時間が経ったのだろうか、振動が留まって目を開けると、巨大な鯨の頭の上につかまったまま大きな町を取り囲む外壁につけられた門の前にいた。

わらわらっと兵士が飛び出て来て俺を取り囲み槍を突きつけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ