森の国と山の国 国書
まぁ来るだろうなと思っていたものが来た。
森の国アイントーレと山の国ドンペスからほぼ同じ内容の国書が届いた。
要約するとこうなる。
危険な魔王の使用は許さない。
もう一度使ったら攻め滅ぼすぞ。
広間に外務、内務、軍務の日本で言えば次官クラスの官僚たちが集められている。
座っているのは一番後ろで記録を取っている10名の書記官達のみ。
この書記官はこのメンバーの中で座れるということで非常に名誉な職であり、高位の貴族がついている。
今日の会議は、国書を送りつけてきた2カ国への対応であるが、陛下がが入ってこられるまでの雑談が俺にとってはそれ以上の重要なことだ。
俺は部屋の中ほどにいながらだ誰も近寄ろうとしない第四軍司令官のロスマインド将軍に話しかけた。
第四軍は風光明媚なエルシアを拠点とする軍で帝都に繋がる主街道を守るという部隊だが実質的な戦闘力はほとんどない。
もっぱら戦で傷ついた戦士が、本隊を離れ休養する場所となっている。
そのため医療技術は高い。
また身分が高くて無能だが誠実な士官もここに送られる。
誠実に職務についていればここではそれで充分だからだ。
ここの司令官職もそれに伴って、功を上げた老齢の将軍がつくことになっている。
外務卿である俺のほうが今は彼より序列が上なのだが、年長者に対する礼節を持って俺のほうから先に将軍に挨拶する。
彼はそれが気に入ったようだ。
2カ国に対しては放置でいいですなと和やかな話の内に同じ結論に至り、会議後の夕食に俺の屋敷に彼を招待することになった。
あと俺に擦り寄りたそうな何人かとたまたま近くにいた内務卿も招待する。
陛下がおいでになり部屋の空気が引き締まる。
部屋の真ん中に立体地図が現れそれを見ながら現状についての報告が担当者に酔ってなされる。
他国に対しての議事は俺の担当だ。
2度目は許さないといって散る以上、今回のは黙認したということなのだろう。
もし何かあれば、俺が直接第七と第十三を率いて対応する。
そう結論付けた。
なぜ放置しても良いのか。
俺はこう考える。
今回あえて土の戦略級の魔法を使用したのは、木や金の魔王の所在を明らかにしたいためである。
五つの力は同等でバランスが取れている。
帝国が湾岸諸国に土の力を振るわなかったのは金と木を恐れたためである。
完全に封印されていた水のありかは不明だったが、火のテミスはその存在が有名だった。
土で火を滅ぼせば、木と金は恐れるものが一つ無くなり帝国に攻め寄せてくる可能性が高まる。
一介の魔道士の戦いならいざ知らず魔王同士の戦いで相手を消滅させないような力加減などできるはずが無かったからだ。
核兵器は先に使用したものが勝つが、この場合は属性の有利なほうが相手を滅ぼしてしまうからだ。
そして金と木からおどしの手紙が来た。
この手紙の持つ怖さを知らない者たちも、俺が火と水を抑えたことを知らないこの手紙を出した者たちも少しばかり待たせても良い。
放置できない前皇帝の遺物が一つある。




