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テミスの攻防 脱落

「テミスから命令です。”残り全てを率いてカドスに出る。無理するな。”」

「返信”了解しました。”」


40騎を切ったテミス騎兵は日頃の彼らからは信じられないような微々たる速度で森の小道を進んでいた。

主たる街道にはいつもにまして巧妙に仕掛けられた罠があった。

馬だけにかぎ分けられる何かがあるのか前へ進まない馬を下りて仕掛けられた罠を解除している間にマリュースがとがった撒き菱を踏み抜いた。

もちろん毒が塗ってある。

仕方なく無理やり踏み込んだ藪の向こうに薬草獲りの少年がいた。

今その少年が先頭を歩んでくれている。

「ここへ来て少しだけつきがもどってきたのかもな。あすの昼までにはつけるだろう。」

”ロバが通れる道があるなら騎兵も通れるだろうってせいかいだったな。方角もまっすぐだしずいぶん時間を稼げたよ。ところでマリュース、お前、足は大丈夫か?”

「大丈夫だ。薬草がよく効いている。」


夕方には教えてもらったとおり湧き水が湧き、柔らかな草のある広場に出た。

「ここで野営する。大休止。」


「急報!カドス裏切り!!リア姫様磔柱に曝されて織られる模様。陛下に降伏を迫っています。」


なんだと!!

卑怯な。

騎士達の鬼気とも思える空気が渦巻く中、足の痛みで一人だけよく聞いていなかったマリュースは異変に気が付いた。

レオの体から陽炎が立ち上っている。

理性をなくし魔王化する直前の現象と書かれてあった。

炎を吹き上げる前に殺せと。

敵と味方の区別が無くなる。


マリュースの飛び掛るのと炎が上がるのとほぼ同時だった。

「レオやめろー!、自分を失うなー!」

炎が更に強くなり後ろからしがみ付いたマリュースごとレオの体はふわっと宙に浮く。

「レオナやめてくれ!お前は人間なんだ。愛してる。」

『ふぇ?』

間の抜けた念話とともに浮かんでいた炎が消えてすとんと落ちる。

「本隊から連絡です!敵は虚偽を信じ込ませて念話で撹乱中、誤報に注意されたし。我らカドスへあと1日。」

なんだと?



朝日がまぶしい。

ベッドに寝ているのか!

ここはどこだ!

「気が付かれたのか兵隊さん。無理に起き上がらんほうがええ。」

「ご老人、ここはどこなのです?いったいどうなったのですか?」

「ここはザラの村じゃ、わしは村長のカシムという。お主の仲間から礼はもうもらっておるのでゆっくりしていきなさい。」

「うぐっ。」

「無理をするなと言ったじゃろう。まあやけどはあとが残るじゃろうがすぐ直る。残念ながら足は毒が回りかけとったので切り落とした。立てるまで一月は懸かるじゃろう。ゆっくりしていきなさい。」

「ありがとうございます。が、行かねばならないのです。」

「いそがんでええ、戦はおわったよ。半月も意識が無かったんじゃゆっくり養生するがええ。そうじゃお前さんに預かり物があったんじゃ。」

わたされた紙にはきれいな女文字で、”ごめんなさい。おいていきます。”とだけ書かれてあった。


「それで戦は、テミスはどうなったのでしょうか。」







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