花火
「夏樹くん・・・好き。
好きより大好き!
大好きより愛してる!
愛してるよりもっともっともっともっと!!!!!!」
気持ちを言葉にするのは大変。
目をみて言うのも大変。
彼女がいる人に恋するのも大変。
学校のアイドルに恋するのも大変。
ねぇ。どうしたらいいの?
ー2時間前
「美優そんなに花火いらねぇだろ!」
「なっちゃんもたくさん!」
「こけんなよ?」
「なっちゃんのバカっ!」
いつにもましてラブラブな2人。
そんな2人を見つめる優子。
その優子を見つめる大我。
「優子・・・だっけ?」
大我が優子に声を掛ける。
「そうだよ。」
「お前、なっちゃんのこと好きなの?」
沈黙が2人の間を駆け巡る。
「そうだよ。」
切なげな顔をする優子。
「ふーん。ま、どうでもいいけど。」
俺にとって大切なのは、
優子が俺を見てくれること。
なっちゃんじゃなくて俺を。
「花火、重くねぇ?」
「大丈夫。」
「持つよ。」
「大丈夫だよ。」
優子の瞳にはいるのは2人。
聞こえてくるのは2人の会話。
胸が締め付けられるような思いの優子。
大丈夫。
大丈夫だよ。
大丈夫。
大丈夫。
大丈夫だから。
「そっか。」
夏樹と美優が振り向く。
むすっとした顔をする夏樹。
美優の頬には涙が…
「夏樹!美優泣かせてんのかぁ!?」
大我が大声で言う。
「泣かせてねぇ!」
夏樹が慌てながら答える。
「カップルがぁ!リア充がぁ!」
「っるせ!花火やるぞ!」
火を付けると勢いよく燃える花火。
いろいろな色が混じり合って、
言いようもない気持ちになる。
花火に照らされている夏樹くんと美優ちゃんと大我くんは、
すごくキレイでかっこよかった。
私なんかが好きになっていい人じゃないよ。
ふと聞こえてきた会話。夏樹くんと美優ちゃんの会話だった。
「美優。」
「なに?」
「気付いてるだろ?俺が・・・その・・・」
「別に好きな子ができたんでしょ?」
「そう。」
「だから別れようって?」
「ごめん。」
「優子ちゃん?」
「・・・あぁ。」
耳を疑う優子。
「うん・・・今までありがとうね。」
「ごめん。」
夏樹と美優は別れた。
2年と半年。
美優は花火を探すふりをして泣いていた。
なっちゃん。
好きだよ。
だから、幸せにね。
私は大丈夫だから。
「あっ!大我何本だよ!」
「ん?20本!」
「くっそ!俺は25本だ!」
私、なっちゃんのその笑顔が見られるならいいよ。
なっちゃんの心からの笑顔が大好きだから!
美優が優子の隣へ行く。
「優子ちゃん!」
「なっなに!?」
「なっちゃんをよろしくね。」
「・・・うん。」
<編集中>