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透明  作者: 愛珂
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2話 再発しちゃった。

あたしは、泪を拭いながら

『その声』のする教室を、覗いてみることにした。


歌声が途切れるのが嫌だったから、教室の後ろの方のドアを、


ほんの少しだけ、開けた。



そこには、一人の男子が居た。

教卓に乗っかって胡坐をかき、目を瞑って、幸せそうに、気持ち良さそうに歌っている。


あたしはその人物に、とても驚いた。



(あれって・・・山下・・・?)



名前と顔は、入学したときから知っている。


山下和也。

顔がめちゃくちゃあたし好みで、1年の頃、いろんな人に聞き込みしたっけ。

何でも面倒くさがるあたしを、ここまで駆り立てたんだから、山下の美貌(?)は、すごい。


でも、そうやって手に入れた情報は、

どれも・・・なんていうか、ちょっと変わったものばかりだった。



当時の、山下と同じクラスの女子は、(中学一緒だった。)

「なんか、めちゃ無口だよ。挨拶とかしても、シカトされるし。結構ウザいかな。」


男子は、(頑張って聞いてみた。)

「あ〜あいつねぇ・・・。人の話聞いて、皮肉たっぷりに笑ってくるんだよね。友達も、居ないんじゃね??てか、なんで??気になってるの?山下のこと。男欲しいだけなら、俺はどう〜?」

(即シカト。)


当時の、山下の担任の先生。(なにやら良いかんじの女教師。)

「山下?まぁ、いわゆる優秀な生徒って感じかしら。清掃当番とかも、男子にしてはきちっとやるし・・・。でも、良く考えてみると、山下の『声』って、何回かしか聞いたことがないわ。・・・と言うより金村?あなた宿題はちゃんとやったの?」

(即逃げ。)


・・・・・・・ほかにも何人かに聞いたけど、どれも似たり寄ったりで。

そんなことばっかり聞いてたから、仲良くなれる気もしなかったし、

何か面倒くさくなってきちゃって、山下のこと考えてたのは、ほんの2週間くらいだったかな。



でも今、山下は、この放課後の教室の中で、一人ぼっちで、歌っていて。


あたしは、たまたま聴いてしまって。

その歌声に、めちゃ惹かれて。


時間を越えて、あたしの山下への興味は、





再発しちゃったみたい。

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