1話 出逢い
その日の放課後、あたしはたまたま一人で数学の補習を受けていた。
「っしゃ、終わった〜!」
窓から外を眺める。
野球部やテニス部が、夕日でオレンジ色に染まった校庭で活動していた。
――――みんなこんな時間まで良くやるよねぇ・・・。――――
あたしは帰宅部だから、いつも速攻家に帰ってて、たまぁに友達と遊んだりしてる。
ましてや放課後に運動するなんてことはありえないから。
だからかな?こんな年寄り染みた考え方してんのは。
・・・・ま、それは置いておくとして。
「はぁ〜、やっと帰れるしね・・・。」
あとは、今やったこのプリントを職員室の先生の机の上に提出するだけ。
あたしは荷物を片して職員室を目指し歩き始めた。
職員室は、あたしがいた教室、3−4とは反対側の校舎に位置する。
そっちの校舎に行くには、階段を下ったり上ったり・・・。とにかく、遠い。
なんでも面倒くさがる私にとっては、割ときつい行動である。
「あ〜あ。何でこんな学校第一志望にしたんだか・・・。」
それは簡単なこと。近所だから。
なんて、くだらないことを考えていた、そう、その時だったんだ。
あたしはこの先、もう、これ異常ないよ、ってくらいの、「「運命」」を感じた。
♪♪♪
どこかの教室から、誰かの歌声が、聞こえてきた。
・・・・・なんて、なんて綺麗な声なんだろう。
泪、止まらないよ。
どこかしらで聴いたことのある様な、純粋で、切ないバラード。
その声は、あたしを感動させるには、充分すぎるくらい・・・・・・・・・・
『透明』だったから。