表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊都市  作者: グルタミンさん
一章 
2/8

2 都市

不運にも、無人の都市へと流されたテラ。

 とても寒い。目の前のビル群は、所々にある赤いライトで照らされ、まるで威圧しているようであった。テラは、その赤いビル群を見たままだ。ビルの窓がライトを反射してキラリと輝いてはいるが、美しいとは思わなかった。暗い中の赤い光は、少し恐怖心を煽った。


『ねえ、ここがどこかわかるか?』


テラは尋ねた。


『圏外さ。さっぱりわからないよ。』


ボートから降りたテラは、少しまわりを探索することにした。ボートは砂浜に乗り上げていた。少し歩くとコンクリートの床にかわり、すぐにアスファルトになった。アスファルトの床は砂まみれで、風が吹けば新しい砂が積もり、元あった砂はどこかに飛ばされていく。テラはその砂の中に一枚の紙のようなプラスチック片を見つけた。


〈祝!ミレニアム3000〉


テラは解読できる限りそれを読んでみようとしたが、他は汚れていたり、見慣れない単語だったりでさっぱりだった。


『ミレニアム…。500年も前のものが、こんなに綺麗に?』


テラはプラスチック片をもって、カルのいる砂浜へ向かった。ここから見た海は真っ黒だった。ふと、風の音の中に何かしらの機械音が聞こえるのがわかった。テラは、カルの元へ急いでそちらへ向かった。何かあったのだろうか。


『そんなに急いでどうしたんだい?何か発見でもあったのか?』


カルは呑気に言う。テラは、息を切らしていた。カルになんの問題もないのだと知ると安心した。しかし、あの機械音はまだ聞こえている。ブーンと、大型の昆虫が飛ぶ時のような音は、少しづつ大きくなっていった。テラは、音に警戒しながらまわりを見ていた。


『どうしたんだい、様子が変ではないか?』


カルは不安そうに言った。


『何か、こっちへ向かっているぞ、あれはなんだ!』


テラは叫んだ。赤いビルの窓の光の中に、不規則に動く黒い点を見つけた。点は、すぐに四角いものへと認識できるほどに近づいた。ドローンのようだ。それは、白いドローンだった。テラは逃げようとしたが、遅かった。テラがその白い箱が四つのプロペラをもつドローンだと認識したその時。ドローンはテラの首を刺した。



 麻酔でも打たれたのだろうか。それからの記憶はとびとびで、曖昧で、よくわからない。しかし、今のこの状況を見れば、なんとなくあのドローンがこの建物へ連れ込んだのだということは分かった。テラは、四方をコンクリートで囲まれた、薄暗い部屋にいた。もう使われてないであろう、灰色のベッドの上にいた。

隣にさっきのドローンらしきものがあること以外特に変わった所は無い。テラはそのドローンを見た。コレは本当にさっき見たやつだろうか。動く気配が無い。

ただの白い箱の四隅に赤いプロペラをつけただけのようで、おもちゃみたいだ。テラは、そのドローンに近づき、軽く突いてみた。カンカンと金属っぽい音がする。ドローンは動かない。それから、側面につけられた一つの大きなレンズ(おそらくカメラ)を突いてみた。硬いプラスチックのような音だ。とたん、ドローンからウィーンと小さな音がして、カメラのレンズっぽいところが光った。液晶だったようだ。それからそのドローンは浮き上がり、液晶に映し出された黒い丸でこちらを見た。瞳が現れた。その一つ目の白い箱はこっちをじっと見つめたあと、


『テラ、なのか?』


と聞き覚えのある声で言った。目の前のドローンはカルだったのだ。部屋の外から、ブーンと音がした。どうやら前のドローンがやってくるようだった。テラはじっと、部屋の扉を見つめた。

ミレニアム3000。西暦3000を祝う祭典が役520年前にあった。五大陸はまだ行き来可能で、人々の交流も盛んだったらしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ