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エンジェルライフ最終巻  作者: 森嶋直斗
9/10

エンジェルライフ最終巻8/9三世代で再開したトレヴィーゾの牧場生活。100年前と同じ景色に未来の景色が融合した。次回最終巻の最終回!

カルメンが初めて牧場で冬を越すのが心配でカルロが戻った。エライザもエンジェルライフの仕事がきりがついたので、牧場に帰った。温暖化の影響か、牧場には雪は積もっていない。変わらない景色の中に新しい物も加わった。インターネットで、トレヴィーゾの仕事が、増えている。エライザが、この街でも何か始めるのかもしれない。次回、最終巻の最終回!



カルロとカルメンが、牧場で準備を進めている。エンジェルライフの仕事は、後輩たちがしっかり受け継いでくれている。仕事に集中できる環境が有ったのは、春が来てくれたおかげだ。


モトズラウンジの朝

春:ガブリーママさん!起きてって・・・

ガブ:エージャ エージャ!

エライザ:あーっガブ、よだれがべとべと・・・

春:いくら二日酔いでも子供は待ってくれないよ。私が言えた義理じゃないけど・

エライザ:わかったーあと2分ちょうだい・プハー

春:wWっ酒クーッサ・・ガブ(Wg)、お婆ちゃんと育像と京都に逃げよう!

育像もやきもち焼いてやってきた。

ガブ:イークジョ

ガブが育像のしっぽをつかむと

育像:nグッ・・・・・

嫌だけど我慢している。ガブのそばにいると何かとおこぼれがもらえる。それに、

ガブの食い残しはチュールより素材が良質で骨も無いし格別なのだ。

育像は、ガブがグループの新リーダーだと思っている。


エライザ:今年の最後の仕事も終わったし・・・・寝たな・・何にも予定なし、

     考えることもなし・・

春:何言ってんのよ。子育てしてる人の発言じゃないね。

エライザ:春さんのお陰です。一人で子育てしてるお母さんてスゴイ!って・・

     実感だな・・早紀ちゃんとこは森嶋先生と二人だけだけど、

     結構ストレスたまるって言ってたしね。両方忙しいとき限って

     熱が出たり、ぐずったり・・なんで・・いま、って・・

春:申し訳なかったけど、私は母子家庭であなたを育てられなかった・・・

  かけおちみたいに日本を出たから住み込みで仕事して食べていくので

  精いっぱいだった。フィリピンの家族に預けっぱなしで・・

エライザ:私は、寂しくなかったよ。逆に親戚が多すぎて親戚も友達も分かんない

ぐらいだったから。こうやって少ない人数だとちょっと寂しいね。

春:私は、一人暮らし長かったから一人でも大丈夫だな・・育像もいるし。

エライザ:じゃあ・・イタリア言って良い?

春:えーっ急に?良いけど・・私は、カルロの”ワクワクリサイクル”のお年玉

  セールやってるから。おばあちゃんが自分のアクセサリー売って代わりに

  孫がギター買ってもらうの。


エライザは、ガブのオムツやミルク、子育てに必要なものをどっさり宅急便?

国際貨物でイタリアに送って、自分は、ガブと手荷物だけでイタリアに向かった。

ベニスのマルコポーロ国際空港にカルロが迎えに来た。

カルロ:エライザ、お帰り!

エライザと、ガブは、手荷物だけなので一番最初に到着ロビーに出てきた。

イタリア国籍も取得しスタンプ押すだけ。

エライザ:あー、ケチって1席だけで来たら満席。・・・ガブがずーっと膝の上

     ・・死ぬかと思った。

     なんか食べさせて!食事もろくに食べれなかった。

カルロ:いつものピザで良いね。

行きつけのピザ屋。表のオープンスペースに座ると

マルゲリータとペペロンチーノが速攻で出てきた。

エライザ:これ!いつ食べても完璧!

ガブ:エージャ!コエ・コーエ!

ガブがエライザのピザをよこせと言っているのでカルロが、

ピザをちぎってガブに食べさせる。

まばたきもせずガブがピザにかぶりつくと、表のチーズだけ上手くすくい取って

食べると残りはポイっと捨てた。カルロが、ガブの残りを拾って食べながら・・

カルロ:ガブ、歯がいっぱい生えてきたね。もうピザ食べれるんだ!

エライザ:ほんと!飛行機の中では、ミルクと離乳食だけで、、物足りなかった

     かもね。春さんに言われて準備したつもりだったけど、私は、子育て

     分かってないわ、クリスマスまで忙しかったから

     あんまりガブの面倒見てなかったからな・・

カルロ:仕事も子育ても完璧なんて無理だよ。両方60点で十分だよ。

    知らない間に大きくなってるしね。


牧場に着いた。

カルロ:ヤギの子供がいるよ。

車を降りて畜舎へ行った。

エライザ:ガブ!ヤギさん!

ガブが子ヤギに近づくと、親のヤギが、顔を近づけてくる(メーn)。

                          ガブが泣き出した。

                ガブ:ウェーン!ギャーイ!

               カルロ:すぐになれるよ。


エライザ:ただいま!カルメン来たよ!

カルメン:お帰り! ガブ!

カルメンがエライザに抱かれているガブを抱こうとして持つが・・

カルメン:あーっ、重くなって危ないわ・・・

エライザ:もうね・何かつかまる物があれば、一人で歩いて行っちゃうよ。

カルメン:なんか食べた?

エライザ:ピザ屋、寄ってきた。・・雪ないね。

カルメン:年末から新年になっても舞ってもこない。

     昔と思うとずいぶん暖かい気がするわ。その代わり雨が多いの。

カルロ:雪が降って凍らないと古い牧草が落ち着かないから春の新芽がきれいに

    伸びなくなる。気候が変わると対応することも増えそうだな・・・

カルメン:年始の行事も落ちついてきてるから明日は街に連れてって。


翌日

エライザ:雨、大丈夫かな・・

カルロ:冬は、こんな天気が多いんだけど、普通は雨にはならない。最近の気候は

    分からないけど快晴の日を待っててもいつになるか分からないから、

    この車は、4輪駆動だからよっぽど大雨じゃなければ帰ってこれる。

4人でトレヴィーゾの街まで下りた。

カルロ:ここで待っててくれたら戻ってくるよ。

エライザ:分かった。カルメンと買い物してくる。

エライザ、カルメンとガブをスーパーで下ろして、カルロは建材屋に言った。

エライザ:最初に一人で買い物に来たとき、カルメンから買い物を頼まれて、

     イタリア語のメモもらったんだけど、なんにも分からずにお店の

     人に教えてもらった。

カルメン:そうね。商品名を書いっちゃったからBottega Baci じゃ、

     トマトケチャップってわからないわね。

エライザ:あのトマトケッチャップは、トレヴィーゾでは売ってないね。

カルメン:そもそもイタリアではトマトケチャップは、あんまり使われない。

     どんな料理にもトマトをたくさん使うので、どこの家も自家製で

     1年分作るの。私たちみたいに短期間で来るとそれわ出来ないから

     買いたかったんだけど・・日本のスーパーが便利だから色々覚えて、

     こっちで探してもなかなか同じようなものが無いのよね。

     全部手作りは大変だから私もエライザのマネしてる。


カルロが戻ってきた。

カルロ:待たせっちゃったかな。

エライザ:今、来たところ。なかなか思ったものが無くて・・

カルロ:僕も欲しいものが無かったんだけど・もうちょっと遠出しても大丈夫?

    メストレまで行ってみようか!


Mestreメストレは、ベネチアの島に渡る手前の街でベネチアより大きい。

大概のものは手に入る。途中のドライブインで、ガブのオムツを変えて、

少しファーストフードを食べた。大型スーパーでカルメンを下ろすと、

カルロとエライザ、ガブは建材屋を探した。寝ているガブとエライザを車に

残してカルロが壁材や工具を買ってきた。

カルロ:欲しいものはそろったよ。ガブは、よく寝てるね。

エライザ:私も一緒に寝てたわ!はは・・

カルメンをひろってトレヴィーゾに帰る。

エライザ:なんかいっぱい買ったね。

カルメン:スパイスとパスタ!トレヴィーゾは小さな街だから種類が少ないけど

     ここまでくるとパスタでもオリーブオイルでも種類が豊富で楽しい。

     ついついたくさん買っちゃうわ。

エライザ:だいぶ歩いたんじゃない。疲れてない?

カルメン:もう年だからかな・・ちょっと息切れしちゃうね。

カルロ:横のクーラーボックスに飲み物が入ってるよ。

カルメンが飲み物を取ろうとして、ミネラルウォーターを落とした。

エライザが拾って、

エライザ:はい、カルメン、息が上がってるね。えっ、カルメンこっち向いて・・

カルメン:なんか右目が暗い・・・

エライザ:わたしの顔見て・・・右のほほが突っ張ってるでしょ。

     脳梗塞かもしれない。水飲んで。開けれる?

カルメン:ありがと・・

エライザ:カルロ!日陰で止めて・・どうしよう病院なんて分からないよね。

     ・・・・うん・・電話してみる。

エライザは、ローマの医師でカルメンの骨肉腫を見てくれたエンジェルライフ

の登録医に電話してみた。

エライザ:もしもし、エライザ!久しぶり・・・・・・略・・・・・

知り合いの医師に近くの脳神経外科の病院を紹介してもらいメールで場所を

教えてもらった。一つはフェラーラの総合病院1時間以上かかる。

もう一つは近くのメントレの病院。エライザは近くの病院に電話して

今から行くと伝えた。

エライザ:案内するねここから20分ぐらいかな・しばらくこの道をまっすぐで・・

カルメン:ちょっと良くなったわ。病院に行くほどじゃないかも・・

エライザ:脳梗塞だとすると1時間以内に酷くなるかもしれないの。

     万が一でも・・病院に行っとこうよ。

紹介してもらった病院に着いた。

エライザ:小久保エライザです。日本の医師です。紹介してもらって来ました。

     脳梗塞の疑いです。

普通は2,3時間は、待たされるのが当たり前の病院で、

すぐに診察室へ入れてもらえた。

エライザ:この人が、患者のカルメンです。脳梗塞の疑いですが、

     CTは、ありますか?

医師:ここには、CTは無いです。レントゲンだけです。

エライザ:t-PA、アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール、

どれかありますかと、英語で紙に書いた。

医師:アスピリンならあります。

エライザ:点滴してください。点滴しながらフェラーラの総合病院まで行きます。

医師は、エライザの説明に納得し看護師に点滴を指示した。

この病院からもう一つのフェラーラの総合病院までは1時間ぐらいかかる。

後部座席でエライザが横に座り点滴しながら車を走らせた。

カルメン:右目は見えるようになったみたい。

エライザ:顔の痙攣も収まってるね。脳梗塞かはっきり分からないから、

     病院でちゃんと診てもらおう!問題なければ安心でしょ。

カルロは、心配で言葉も出ない。

エライザ:今、点滴してるのは、アスピリンで、血を固まりにくくする薬。

     劇的な効果は少ないけど、これ以上悪くならないように。

     60歳超えると誰でもこんな風に目がかすんだり、手がしびれたり

     するから、ちゃんと処置すればだいじょうぶだよ。

少し道に迷いながらフェラーラの総合病院に着いた。歩いていた看護師に聞いて

脳外科へ行くとローマの医師から連絡が来ていてすぐに診察室に入れてもらえた。

この病院には、CTもMRIもある。カルメンの症状は現在は収まっているが、

検査してもらうことになった。

エライザ:カルロ、たぶん脳梗塞だから今日は、ここで入院する方が良いよ。

カルロ:ママどうなっちゃうの?

エライザ:どうもならないよ。早く治療に入ったから後遺症もないと思う。

1時間ほどして医師から呼ばれた。

医師:脳梗塞です。軽いので、点滴が終わったら、経過観察で良いと思います。

   薬の処方箋を出しまから薬局で購入してください。

エライザ:入院は、させてもらえませんか?

医師:入院?必要無いでしょ!

カルメン:ありがとうございました。

エライザ:失礼します。カルロこの辺の薬局聞いてくるからちょっと待ってて。

会計をしながら薬局を聞いてきた。薬を買いながらトレヴィーゾに帰る。

2時間ぐらいで牧場に戻れるだろう。


翌日、トレヴィーゾのかかりつけ医を受診して追加の薬を処方してもらった。

エライザ:出かけると、トイレが気になるので、どうしても水分補給が少なく

     なるから・・これからは、気を付けないとね。

     日本だったら、一晩、入院のケースだったと思うんだけど・・

     イタリアのお医者さんは、あっさりしてたな。

カルロ:エライザが居なかったらそのまま帰ってきたと思うよ。

カルメン:そうね・・病院なんて考えもしなかったと思う。


エライザは、イタリアの医療事情について調べてみた。平均寿命は、

いつも上位に入り80歳以上、医師の数もヨーロッパの国の中でも上位。

イタリア人はほとんど野菜を食べない人が多い。どうして長寿なのだろう。

カルロやカルメンはその中でも野菜を多くとる。飲酒も適度で健康に良いとする

飲み方のお手本のようだ。カルメンもカルロも医者にかかったことがほとんどない。

病気をしないのではない。一緒に暮らして長いので、エライザと同じように風邪も

ひくし熱もでる。モトズラウンジにいる時は、医者に住んでいるのだから、

すぐに診療してもらえるのにオリーブオイル入りの紅茶シロップを飲んだり、

ミントの葉をかじったりする昔ながらの治療方法にこだわっていた。


トレヴィーゾに来て分かったが、病院は、重症になってから行くところで

地元の人も滅多に医者にはいかない。かかりつけ医の前に地元に看護師がいて、

処方箋なんかなくてもほとんどの薬が買える。自分たちで対応できない重症の

時にかかりつけ医に掛かり、更に重症な場合に総合病院へ搬送される。


カルメンは、エライザがいなければ後遺症の残る事態になっていたであろう。

ただし、死亡した可能性は低かったかもしれない。体のどこかに麻痺がおこれば

かかりつけ医そして総合病院へと治療が進む。時間が掛かるので、脳に障害が

残る可能性は高い。それが、イタリアの十分な医療体制で満足できる結果なのだ。


エライザ:イタリアは、お医者さんの数は、ヨーロッパでも多い方なんだけど

     トレヴィーゾみたいな小さな町になると、いきなり病院も医者の数も

     少なくなる。昨日言ったフェラーラの総合病院もお医者さんは、

     たくさんいたね。

カルロ:ベニスでも町から外れると同じことだよ。

カルメン:ヨーロッパの他の国も同じだったわね。フランスの郊外に行くと

     ライブハウスは有るけど病院は無い。

エライザ:じゃあ、田原は病院天国か!

     ライブハウスは無いけど、病院はいっぱいあるね。

カルロ:イタリア人は病院が無くても生きていけるけど

    バーやライブハウスが無いと死んじゃうのかもね。(笑)

カルメン:私もライブハウスで働けてたしね(笑)


カルメンの病気が重くなくてよかった。

今日の夕食はジャガイモのスープとラム肉のトマト煮込み水分多めで良い感じだ。


翌日カルロがトレヴィーゾの街の電気屋で張り紙を見た。

”衛生インターネットの受け付け開始はじまる”店頭に置いてある

チラシを持って帰ってきた。

カルロ:エライザ、このチラシ見て!

エライザ:何?

ガブのオムツを変えながらチラシを覗いた。

エライザ:へー衛星インターネットか、イーロンマスクのやってるやつだ。

     100MBPSだって!日本の衛星の10倍のスピードだね。

     衛生通信だから丘の上だと効率が良いね。アマゾン三昧か!

     ところで宅急便ってここまで持ってきてくれるの?

カルメン:持ってきてくれるみたいよ。ここより奥に車が走っていくから。

     携帯でもアマゾン、頼めるみたい・・・頼んだことはないけど・・

エライザ:なんか頼んでみる!?

エライザは、アマゾンのサイトを携帯で開いた。当然イタリア語で出てくる。

金額はユーロだ。

エライザ:カルメン!スーパーに売ってなかったトマトケチャップあったよ。

     6ユーロだって。

カルメン:ちょっと高いわね。送料込みかな?

エライザ:えーとね・・5個以上で送料込みだって、3,000円か、

     買ってみよ。・・・頼んでみた。


翌日

変わった車が登ってきた。運転手がニコニコこっちを見ている。

カルメンの自宅前に車を止めると荷物を持って降りてきた。

運転手:宅急便ですよ。カルメン!

カルメン:あーありがとうございます。

運転手:カルメン!分かる!Samueleサミュエレ サムだよ!

カルロの同級生のサムだった。

カルメン:いつも通る派手な車!サムだッたの!

サム:カルロは、いる?

カルメン:カルロ!カルロ、ちょっと来て!

カルロ:はーい、どうしたの・・ Samuele!どうした元気か!

サム:呼ばれたから来た!

カルロ:?

カルメンを見た。

カルメンが、笑って・・

カルメン:これ!届けてくれた!

カルロ:宅急便か!

サム:働いてるんだ。去年戻って来た。ママが病気で、介護しないといけなく

   なって・・先月亡くなったよ。

カルロ:残念だったね。

サムを抱きしめた。

カルメン:自宅は、変わらない?

サム:昔の所だよ、ワイン農園は人に貸してる。畑もトマトの分だけ残して

   後は売って、今は宅急便の配達が仕事。

カルロ:仕事終わったら寄って行って。


居間で、

カルメン:エライザ!宅急便が来たわよ。たぶんケッチャップ!開けるわよ!

エライザ:早いね。1日で来るんだ。オー間違いないけど、ちょっと小さい・・

カルメン:思ってたのより一回り小さいビンだったね。

エライザ:まー困ったときに買えるのが分かったし!・・宅急便の人・知り合い?

カルロ:この上に住んでる同級生。一緒に学校に行ってた。

    ナポリだったかな・・街に就職したはず・・


夕方

サムの車が上がってきた。イタリアンカラーの車だから遠くからでも分かる。

カルメン:カルロ、サムが上がってきたわよ!

カルロ:おーい、寄ってけよ!

窓から声をかけた。

サム:そのつもりでいたよ!

なにか大きなバケツを持ってきた。

カルメン:昼間は、ご苦労様。中に入って。エライザ!お客さん。

エライザ:はーい。

手をふきながら居間に来た。

カルロ:さっき話した同級生のSamueleサミュエレサムだよ。

サム:サミュエレです。サムと呼んでください。

エライザ:妻のエライザです。この子は息子のガブリエーレ、ガブです。

カルメン:サム、座って。何もってきたの!

サム:トマトの水煮だよ。会社の冷蔵庫にいっぱい入ってる。

   ママが生きてるときに作ったやつがたくさんある。

もう僕も一人暮らしだからそんなには要らない。来年もトマトは、作るから。

カルメン:ありがとう。昔もトマトは、お願いしてたわね。

サム:その代わり、うちの家族はガブリエラのチーズで育った。

カルロ:申し訳ないが、チーズはもう無いよ。

サム:分かってるよ。気にしないで。

カルメン:飲むでしょ白で良い。

サム:明日は、休みだから頂きます。僕はこの辺の担当で、

   荷物が少ないときは週に二日ほど休みにする。

カルロ:都会に仕事に出てたよね。

サム:ミラノで水道局に勤めていた。ママの介護で戻ってきたんだけど、

   宅急便の配達員が不足していて、始めたんだ。トレヴィーゾの郵便局

   しかなかったからここまで上がって来たら半日潰れちゃうからね。

カルロ:ママは、病気だった?

サム:末期の胃ガンだった。街の病院に入院して、3か月って言われたんで

   トレヴィーゾに戻りたいって自宅に帰って療養してた。

   半年ぐらいして料理もできなくなったから、僕が介護に戻ったんだけど

   それから1年も頑張っちゃったから僕は仕事もやめて・・・

   宅急便で働けて助かってるよ。

カルメン:そうね、この辺には牧場かワイン農園以外に仕事はなかったから。

サム:前日の夕方までにトレヴィーゾに集まった荷物を僕が持って上がってくる。

   翌日に配達して降りて行って、午後は集配所で荷物の整理。

   また夕方に持って上がってくる。

   一番上に住んでるからちょうどよかった。(笑)

カルロ:サムにうってつけの仕事だ!(笑)

サム:雪が降っても良いように4輪駆動で冬用タイヤにしたけど、

   全然雪が降らないから配達には助かっているよ。

久しぶりの再会で、昔話に盛り上がった。帰り際にエライザがなんか持ってきた。

エライザ:サム、何にもないけどこれならたくさんある。日本のカップヌードル!

サム:時々買うけど・・結構高いよ。

エライザ:これは、売ってないでしょ。一平ちゃん!作り方をメモしたから

     必ず読んで作って!スープが無いソバだからね。

サム:一人暮らしだから助かるよ。ありがとう!またお邪魔します。


寝室で

エライザ:病院もいるけど、毎日の生活には宅急便か!

カルロ:アクセサリも必要ないね。オヤスミ・・


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