エンジェルライフ最終巻7/9カルロのアクセサリーが大人気のはずが・・SDGSで、逆風だ!ガラ携も消えた!材料不足で閉店か?
ロシアのウクライナ侵攻が長引き、世界的に金属材料の相場が高騰する中、資源ごみから取りだした金属で作るカルロのアクセサリーが大人気になっている。一方で、金属を含んだ資源ごみが減ってきた。SDGSとか言い出して資源ごみから行政もカルロと同じように金属を回収するようになり。金属材料を多く含んだガラ携もほとんどなくなった。金属ゴミが回収できないとアクセサリーが作れない。廃業か?田原には、全国有数のお宝が眠ってた。
⑦
カルロのアクセサリーが大人気!どうする国籍?
ガブが物心つくようになったらカルロは牧場を継いで、エライザも牧場で暮らすと
言って、まだ始まっていない牧場の暮らしに夢を語る。牧場の暮らしの厳しさを
知るカルメンは、微笑みながら聞いている。ガブの教育環境を考えれば気が変わる
こともあるだろう。ただ、牧場にいる時の会話は、そんな会話が一番、楽しい。
とりあえず、エライザとカルロは、ガブを連れて日本に帰る。カルロが2匹のヤギ
を買ってきて畜舎にいれた。畜舎の回りの牧草は、飼っているヤギの餌として残し
ておいて、残りは刈り取って売るように親戚に頼んでいる。街で買ってきたヤギの
乳でチーズを作ってカルメンが熟成させる。来年に来る頃にはおいしくなっている
だろう。
日本に帰ってきたカルロは、アクセサリー作りに没頭している。
カルロのアクセサリーは、すごい人気で小さな指輪でも半年待ち、
ネックレスやブレスレットは1年以上予約待ちの状態になっていた。
女性:これ付けて良いですか!
ブレスレットを見て客が聞いている。
店員:少々お待ちください。
店員が厳重にロックされたショーケースを開けた。
女性:これって、Fendy鈴が付けてるネックレスですよね。
店員:全く同じではないですが、同じタイプの物です。
ただ、ご試着用の見本でこれは、販売できません。
女性:注文するとどのくらいかかりますか?
店員:今ですと・・・最低1年待ちぐらいでしょうか・・
女性:1年も待つのか・・・お願いします。
店員:ありがとうございます。
女性は、Fendy鈴の写真を見ながら嬉しそうに80万円のネックレスを
注文していった。
カルロのアクセサリーを置いている地元のホテルや旅館ではアクセサリー目当て
の見物客が増え、にぎわっている。人気が出た今も、カルロは手作りにこだわり
依然と同じように家電から金属を取り出しアクセサリーを作っているので、
大量生産は出来ない。
エライザ:アクセサリーの人気が出てきてるから製作が追い付かないよね。
カルロ:手作りだからしょうがないね。
エライザ:金属を取り出すところが前より時間がかかっているよね。
カルロ:最近は、ガラ携も少なくなって良い金属が回収できる
リサイクル品も少なくなった。
エライザ:今の販売価格だと原材料の金や銀を買っても採算が合うんじゃない?
カルロ:それは、分かっているけど僕が今までやりたかったことでは無いよ。
エライザ:SDGSで、分別意識も高くなったからカルロがやってきたことを
行政も始めてるからね。
カルロ:材料の確保を考えないと続けられなくなっちゃうね。
モトズラウンジで
春:材料不足で開店休業か?SDGSでカルロにとっては向かい風・・
エライザ:せっかく人気出てきたのに納品が3年待ちじゃ
お客さんも離れちゃうね。
春は、育像の世話と理由づけ、結局、モトズラウンジに住み着いている。
元もカルメンも居なくなりエライザがイタリアに帰ると、モトズラウンジは、
誰もいなくなる。育像だけを残していけないので、
春は、育像の飼育係兼家政婦さんのようになっている。
ある日のママの会
早紀:こんにちは!育像、琴ちゃんですよ!
育像、プイッと逃げて行った。
エライザ:いらっしゃい。琴ちゃん!またでっかくなったね!
早紀:直斗さんんが食べさせすぎるから・・エリさんは?
エライザ:台所で、奮闘中!新トンガ巻きに挑戦だって。カルロがカーマで
貰ってきた鏡餅、あったでしょ。まだ残ってて、
カルメンも居なくなったから、だれも使わなくて・・・
エリが、トンガ巻きの材料にしてる。
エリ:はーい!いらっしゃい!
早紀:何ですか黒いベール? それで、料理?
エリ:まずは、気分からムスリムにならないと・・
エライザ:お餅ってイスラム教の人が食べてもOKだからハラル食品に
出来ないか考えてるんだって。お餅とタロイモで
トンガ巻き作ってドバイで売るんだって!
早紀:それにしても、ターバン巻いて料理しなくてもね。
カルロは、相変わらず工房にこもりっきり?
エライザ:材料のガラ携や家電が減ってて材料集めに時間がかかってるみたい。
エリ:そんなんコメ兵やっちゃえば!
エライザ:?
エリ:貴金属のリサイクル、古物商って、あるじゃん。
田原だとセカンドストリートとか・・昔の指輪で、金のごっついのが、
田原のタンスにはいっぱい眠ってるよ。
早紀:その・・古物商って・・だれでもできるの?
エリ:一応登録制の免許がいるからカルロが買い取るのは違法だけど・・
エライザ:宝石類のリサイクルか・・
今日は、エライザもガブもカル宅(カルロの工房まで20歩の1Kアパート)
に泊まる。カルロがアクセサリー作りで、ちっとも帰ってこないので、
エライザがこっちに泊まることにした。
エライザ:カルロ!ご飯できたよ。
工房に呼びに行く。
カルロ:ありがとう、行くよ。
カル宅に戻り手を洗って食卓に来た。
エライザ:着替えないの?お風呂は?
カルロ:ご飯食べたら戻るから。
エライザ:ちょっと働きすぎじゃない!納品遅れてるのは分かるけど・・ねえ、
この間の材料不足の話。貴金属のリサイクルは!
古い指輪とか、ネックレスを材料にするの・・どうかな?
カルロ:考えてる。古物商って免許がいるらしくて渡辺エンジニアリングの
社長の浩さんが持ってるから・・・森園奈央さんがギターや管楽器の
リサイクルやってたんだって。その時に会社としても免許申請しとけ
って言われてたらしくて・・材料不足の話をしたら協力してくれるって。
エライザ:何それ!またしてもミラクルパスもらってるわけ!
モトズラウンジで、
エライザ:そういうわけで春さんにお願いしたいのが、
お婆ちゃん担当の”買い取りバーバ”。奈央さんの工房を
リサイクルショップにリニューアルするんで、
そこで、リサイクル品の買い取り。
春:買い取るから”買い取りバーバ”! 床屋さんみたいだけど大丈夫?
エライザ:貴金属は、カルロがリサイクル。
楽器類は、ハードオフ豊橋の浅井店長にお願いして
取りに来てもらうことになった。
店の名前は、奈央さんがやってた”ワクワクリサイクル”のまま始める予定。
カルロもいるから二人で店番する感じで・・
春:ここに居るだけも、ちょっと飽きてきたから・・面白そうね。
田原でのおばちゃんネットは、インターネットより早い。渥美病院の補助さんや
食事担当のパートさんに話すとあっという間に田原じゅうに広まる。
とどめは、先遣隊のおばちゃんをどう扱うか・・
浩:美和子さん、ご無沙汰してます。
大久保美和子、渡辺エンジニアリングの浩さんところの菩提寺の、
お庫裏さん。この人を敵に回すと良い悪い関係なく潰される。
美和子:リサイクルショップ始めるの!聞いたよ・・
浩:奈央さんの時からやってるんですよ。奈央さんああいう人だから看板上げず
に口コミだけでしたけど。カルロが、貴金属をリサイクルして使うんです。
今のところ楽器と貴金属だけですけど。
美和子:家にもタンスにしまったままのが、いっぱいあると思うわ。
浩:買い取りが多い人には当然、カルロの新製品を優先的に回すと思いますよ。
会長なんて既に好発進して先頭に立ってますから。
美和子さんは、簡単には人に広めない。興味深い情報は自分が優位に立つまでは
秘密にする。数日後・・
美和子:カルロ!いるかな・・
カルロ:おはようございます。ミーちゃん!
エライザに言われて美和子さんだけミーちゃんと呼ぶ。
美和子:これ持ってきてあげた。
ごっつい指輪をごろごろ持ってきた。
カルロ:スゴイいっぱいですね。
カルロは、計量器に乗せると、その日の金相場を携帯で確認し、全て24金の
値段で買い取った。ほとんどの指輪やネックレスは、東南アジアの見上げもので
不純物の多い安いものだとスグわかったが、これでも損はない。
カルロ:ありがとう!ミーちゃん。これは値段も決めてない新作!サービスです。
エライザからサイズも聞いていてミーちゃん用に
作っておいた指輪を右手の薬指にはめた。
美和子:わっ、ぴったりだね!良いの!ありがと!
ほんとうは、ミーちゃん少し太ってきてエライザの言った太さだと
キッつキつだったけど、本人がぴったりと言えば問題ない。
おもてなし看護のノウハウが、ここでも生きている。
この日を境にミーちゃんの外出時間が長くなり、それに比例して売りに来る客も
増えた。春さんも忙しくなった。
春:田原の人って、お金持ち多いんだよね。どんだけアクセサリーとか
持ってるのか怖いくらい。金や銀の鉱山があるのと同じだね。
エライザ:ひいおじいちゃんたちの世代で、まだ豊川用水が来てなかった頃に
一生懸命働いて農地を整備したんだって。
電照菊やメロンが有名になって今ではクリスマス用の花やユリも
人気が高い。先祖の人たちの苦労で豊かになった人が多いんだね。
奈央さんも時々、とんでもない楽器が出てくるって言ってたもん。
春:エライザ、買い取るお金が足らなくなりそう・・
エライザ:分かった用意しとくね。お宝発掘!よろしくお願いします!
カルロの新作は、Fendy鈴や本田ツインズが使ってPRしてくれる。実際に付けた
ものは、伊良湖岬の高級ホテルの”月の渚”に最初に置かれる。
一番遠くの店に出すことで、客足が伊良湖にまで来るようにエライザなりの地元へ
の配慮だ。リサイクル品の買い取りで、金銀の材料が十分手に入り納品ペースも上
がり各店舗のショーケースにも在庫が置けるようになってきた。
材料が十分あるので、ブレスレットのような高額商品も製作できる。
観光会社も伊良湖岬とアクセサリーを結びつけた企画を売り出し好評だ。伊良湖で
カルロのアクセサリー、恋路が浜で愛を誓って、鳥羽から尾鷲、篠島、師崎。
伊良湖が、旅の起点になってきた。名鉄フェリーも復活する予定が発表された。
Carlo・Bianchi・Kokubo のブランド価値もしばらく続きそうだ。
エライザは、ガブの面倒を見ながらエンジェルライフの仕事に復帰した。
エリや早紀も同じく復帰し子供たちを預けるキッズパートナーシップを
立ち上げた。
キッズパートナーシップとは、子供の面倒をみる引退組の保育士や看護師を
募集し保育時間と同じ時間を将来その保育士たちの介護時間に充てるという
もので、国の介護保険とは別にエンジェルライフが企画運営する。
初代エンジェルクルーもみんな40代に入ってきた。クライアントには70代
以上も多いので、まだまだ、初期メンバーも指名が来るが、働き方を考えな
いといけない。亡くなった元と、エンジェルライフを立ち上げたときからの
構想で、女性も生涯働ける社会にすることが企画の根底にある。
エライザ:カルロ、カルメンには、牧場に入るって言ったけど現実的には、
ガブの教育とかお金もかかるし難しいかもね。
カルロ:アントニオが牧場に入ったのは、カルメンが15歳ぐらいの時で、
カルメンは、ギタリストして生きてゆく夢を実現させる所まで来ていた。
カルメンが牧場に入った時、僕も15歳でベニスの街で働きだした。
この間、僕が言ったのもガブが自分の人生を見据えて歩き出した時の話
だからあと10年以上先の話だよ。
エライザ:10年なんてあっという間かもしれないよ。
カルロ:ここ数年は、僕は日本とイタリアを行き来して、牧場でアクセサリー
作りができるように準備をする。両方で稼げるようになれば、
エライザは、自由にイタリアで働く準備ができる。牧場だけで暮らすのは
二人が60歳を超えたころで良いんじゃないかな。
エライザ:それぐらいが、現実的か・・・
エライザもカルロもガブの子育てをしながらカルメンの牧場の生活をどうサポート
していくか考えていた。そんなん中、二人が心配していることは厳しい冬の間を、
カルメンが一人で過ごすこと。カルロも子供のころベネチアでは、殆ど積もらない
雪が、トレヴィーゾの街を過ぎると道路に積りはじめ、牧場へ上る道は、
普通タイヤでは、登れなくなった経験がある。酷いときは、何日も孤立する
ときがあっつた。牧場の周りの人は、何日もこもって生活することを前提として
いるが、病気の時は、そういう訳にもいかず街に降りなければいけない。
カルメン一人では、それはできない。
エライザ:冬の厳しい時期だけ帰る方がいいのかな?
カルロ:12月のクリスマスに帰ろうかなと思ってる。12月までは、孤立するような
雪は少ないと思うし行政も動いていると思うんだ。
クリスマスに入ると、みんな休みになって12月22日から1月3日ぐらいは、
行政サービスも緊急時以外は、止まるみたいなんだ。
エライザ:私は、ガブのこともあるし、今回は残るよ。
12月の中頃、カルロは、イタリアへ帰った。
エライザとガブはエライザの仕事のことを考えるとモトズラウンジに泊まることが
殆どで、カル宅は、カルロの物置部屋と化していた。仕事に復帰したエリは、子供
の面倒を見てくれている親と同居しているので何かと自由が利く。渥美病院に出勤
する日は、何かと理由をつけてモトズラウンジに上がってくる。早紀の方は、子供
が大きくなってきて、子育てに慣れてきたのもあり、直斗が大きな病院へ転職し、
収入も上がった。早紀はその分子育てに費やす時間も多くなり最近ストレスが、
溜まり気味。みんなそれぞれ少しづつ次のステップに動いていた。