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エンジェルライフ最終巻  作者: 森嶋直斗
7/10

エンジェルライフ最終巻6/9ガブを連れてイタリアに帰る。トレヴィーゾの牧場に100年前の景色が帰ってきた。

ガブリエーレが生まれて初めてイタリアに帰る。カルメンは、ガブの成長が思ってたよりも早いのに驚いている。緑の牧草も、鳥も風も100年前と変わらない。三世代が揃った、何気ない日常、祖母のガブリエラ、アントニオが、見ていたであろう景色が、カルメンの前に広がっていた。何も変わらない美しさを感じてください。



2025年5月ガブリエーレが生まれて8か月イタリアの牧場整備に今年も帰る準

備が始まった。

カルロ:日本から送った荷物は親戚に頼んで自宅に入れてもらってる。

エライザ:持っていくものは少ないよ。

     ガブを連れて行くから荷物は最小限にしないとね。

カルロ:僕は、一人で先に行って車と身の回り品を用意しておくよ。

エライザ:ローズに絡まれないでよ。

カルロ:ベニスには、長居できないし、もう彼女は、ベニスに居ないよ。

エライザ:なんで、知ってんのよ!

カルロ:カルが、一度連絡してくれた。

エライザ:そういえば・・ワインレッドのロッシ!ロッシ君どうなったかな

     友達に聞いてよ。

カルロ:中国に行ったんだったよね。


カルロは、5月末に先行してイタリアに向かった。

ガブと、エライザの国籍申請の準備と車や身の回り品をそろえる。

今回は、自宅で寝泊まりするから寝具もいるし食品のストックも必要になる。

牧場の倉庫に畜舎を増設する。来年は、いよいよヤギや羊を飼うから

本格的な準備に入る。


6月の始め、エライザとカルメン、ガブがイタリアへ渡った。

エライザは一人でベニスの日本領事館分室で書類を受け取り役所に国籍申請の

書類を出しにきた。審査を待ってエライザもイタリア国籍を取得する。

ガブリエーレは、アメリカ国籍、日本国籍をすでに持っていて、これで、

イタリア国籍も取得することになる。


エライザがカルロに電話する。

エライザ:カルロ、終わった。迎えにこれる?

カルロ:30分ぐらいしたら牧場を降りるよ1時間後にベニスの駅前あたりで

    待ち合わせよう。ガブは、カルメンに頼んで預けて行くよ。


エライザは、時間まで買い物をしながら久しぶりのベニスの街を歩いていた。

ふと見るとカルの飲み屋があった。看板も綺麗に手入れしてあり今も営業している

様子だ、今は、昼間の12時過ぎで店は閉まっている。

エライザ:お腹すいたからなんか食べようかな

バーガーキングが有ったので、オープンスペースにハンバーガーを買って座った。

目の前の客がこっちを見ている。何か話したそうだが・・エライザも見たこと

ありそうだが・・思い出せない。

エライザは、でかい口でハンバーガーにかぶりついた。

エライザ:見たことありそうだけど・・んウマ!。外国のハンバーガーは、

     アホみたいにデカいんだよなー

食べ終えて、ふと見ると男が一人エライザの横に立っていた。

男:こんにちは! カルロの嫁さんだったよね。

エライザ:??だれだっけ??

男:去年、キャンピングカー借りたよね。ワインレッドの・・・

エライザ:あーーーっつ レンタカー ロッシの!

男:大分やせたね。若返っちゃって見違えたよ!最初、見たことあるけど・・

  って思ったけど・・わかんなかったよ。


イタリア人男性が、女性を褒めるのは、挨拶みたいなもんだけど褒められれば

悪い気はしない。

エライザ:私もこっち見てるけど・・見たことあるけど誰かなあーって・・

・久しぶりです。

男:一人?カルロは?

エライザ:今、牧場からこっちに向かってます。

男:今度の車は燃費がいいからあっちこっち走るにはちょうどいいよ。

エライザ:今度も貸してもらったの?

男:うちの車をカルロが1週間前に持って行ったよ。

  また、8月くらいまでだって言ってたね。

エライザ:そう、ありがとう。ところで、

     あの車、ロッシのキャンピングカーってどうなった。

男:カルロにも聞かれて話したけど・・中国人に買われて、

  陸路で走っていったんだけど、途中で壊れて・・

  部品もないから結局廃車。今は、

  対岸のキャンプ場のキャンピング フジーナで、

  ロッヂ代わりに使われてるよ。

エライザ:よかったね。イタリアに戻ってこれて!

男:冗談じゃない。5500万円儲かるところが、

  輸送費こっち持ちで大損しちゃったよ。

  俺はシモーネ、よろしく。じゃあね。


シモーネの会社は、大損したが、

エライザは、あの車がイタリアに残って良かったと思った。

カルロ:今、橋わたってるからもうすぐ着くよ。

エライザ:駅前のバーガーキングに居る。

カルロ:分かった。


しばらくしてカルロが、ブルーの5人乗りのダットサントラックに乗ってきた。

エライザが助手席に乗り込んで、きた道を走って戻る。

晴れた空、青い海にヨット。リベルタ橋の風景も絵になる。

エライザも列車では何度か通ったが車で走るのは、

前回のキャンピングカーの時以来だ。今日は、快晴で気持ちがいい。


エライザ:カルロ、さっきバーガーキングでシモーネに会った。

ロッシ君が、近くのキャンプ場に居るんだって。

カルロ:僕も聞いてるよ。寄ってこうと思てたとこ。行く!?

エライザ:会いたい!ロッシ君!


ご機嫌のドライブで、橋を渡って、対岸に渡ると左に降りて5分ほど走る。

キャンピング・フジーナの看板があった。

カルロ:誰かに聞いてみよう。

エライザ:あった! あれ、赤いの・・? ロッシだよ!

カルロ:近くまで行けないね、車を置いて歩いて行こう。

ロッシの置いてある所へ歩いて行った。白いフェンスがあって近づけない。

少し離れて、木製のロッジが数件あり、キャンピングカーのロッシもここで、

ロッヂとして使われているのが分かった。

エライザ:良かったじゃん。イタリアに戻れて・・・

カルロ:そうだね。シモーネの会社は、大損したみたいだけど・・

エライザ:ロッシお帰り! 私たちが、お帰り!か!?(笑)


トレヴィーゾの街で、ワインにチーズ、パンそれとインスタントのスープ。

身の回り品も買い足す。エライザも買い物にもだいぶ慣れた。少しは、

イタリア語も話すようになりカルロやカルメンが話す家庭内の会話はだいぶ

聞き取れるようになった。牧場の坂を上って自宅についた。

エライザ:カルメン、ただいま! おーっ ガブちゃんただいま!

カルメン:今起きたところよ。おしり濡れてると思う。

エライザ:ガブちゃんオムツ替えよう!


ガブももうすぐ1歳、つかまり立ちして目が離せなくなってきた。

カルメンの足もすっかり良くなってガブの面倒を見てくれている。

その昔、この牧場で、同じような光景が繰り返されていた。カルメンは、

ガブの面倒を見ながら自分の幼い時の記憶を書き直しているのかもしれない。


カルロ:おーい、エライザ、ガブと一緒に牧場に行こう。

エライザ:牧場?牧草を刈るから一緒に行こう。


青いダットサントラックにエライザとガブを乗せてカルロが、牧場へ行く。

カルロ:ちょっと待てて。コンバイン持ってくる。

カルロは、牧草を刈り取るコンバインを車庫から出してきて、

カルロ:エライザ、ガブと一緒に乗って、

カルロが、ガブをエライザから受け取って膝に乗せる。ガブがハンドルを

いじって騒いでいる。エライザが後ろに乗ってガブを受け取ると、

前に行きたがって嫌がっている。


エライザ:ガブ!ほらこっち見て!鳥がいっぱい寄ってきた。

                (チッ、チッ、チー チッ、チッ、ピッ)

クロジョウビタキが集まってきた。カルロが、コンバインを動かすと後ろを

付いてくる。コンバインが牧草を刈り刈った牧草を同時に丸めていく、

牧草が大きな塊になるとロール状になって牧場に落とされる。カルロは、

コンバインを運転していくだけで、牧場に牧草のロールがいくつもできた。

クロジョウビタキがカルロが刈り取ったところを付いてきて地面から虫や

ミミズを掘り出して食べている。牧草が切り取られて地面の虫が取りやすく

なるのを知っているのだ。


エライザ:すごいね・・この鳥たちよく知ってるね。車庫の扉を開けただけで

     寄ってきたよね。

カルロ:この時期にだけやってくる鳥なんだ。真夏はもっと北に北上して冬に

なると地中海を超えてアフリカまで行くんだって。そして、またここに来る。

エライザ:子供もいるから、誰かが教えてるんだよね。鳥も一緒に100年か

     ・・・ますます深いぞ・・・


牧場と自宅は、結構高低差があって車では、2,3分だが、歩くと10分以上

かかる。カルロが、牧場にトラックで行っているとエライザはガブを背負って

散歩がてら牧場まで見に行く。畜舎もだいぶ出来てきた。餌用の給仕棚や排水

溝などの細か所は、まだだが、建物自体は、出来上がった。柵を閉めて牧草を

敷きこめば、ガブのキッズルームの出来上がりだ。カルロが、修理に使った

角材の切れ端で積み木を作ってエライザがそれにペイントしてガブのおもちゃ

にした。牧草の上にエライザが、積み木をバラまくと、ガブが遊ぶ。いじって

いるうちに牧草に埋めれていくので、それをガブが探して、ガブも牧草に埋も

れる。ガブがいなくなったと思って探したこともあった。牧草にまみれて遊ん

でいると、ガブは、いつの間にか眠っている。

眠っているガブをうまく背負うのは難しい。

エライザ:カルロ!ガブをおんぶするから手伝って!

カルロ:また寝ちゃったのか。

エライザ:いつの間にか重くなって・・・

カルロ:ほんとだね。おんぶひも、きつくない?

エライザ:ちょっときつい!緩めて!・・んイイ感じ 先に帰ってるね。

丘を上がったり下がったりしてなかなかいい運動だ。ガブが起きてエライザの

長い髪を束ねたリボンを引っ張っている。

        ここにも変わらぬ100年が流れていた。


珍しく、食事の時間にカルメンがリビングに座っていた。

エライザ:ただいま!おっきいママ!かえったよ。

幼いガブは、カルメンと、言う発音は難しい。カルメンをマーマ、エライザをエーイと呼んでいる。

カルメン:ガブ!この頭、また、牧草まみれだよ。(マーマ テーbu)

カルメンを見てご機嫌だ。

エライザ:カルメン、食事の支度は? なんか手伝う?

カルメン:もう終わってるよ。

     今日はチーズフォンデュにしたからあとは食べるだけ。

食材を下茹でしておいておけばいいので作り置きが効く皆がそろってから

コンロに火をつければ、前菜で、ワインを飲んでいる間にチーズも解けて

食べごろになる。日本の鍋料理のようなもので、忙しい主婦には助かる。

カルメン:ワインも冷えて待ってるわ。

エライザ:先にシャワーしていいかな。私の髪のも牧草だらけになっちゃった。

カルメン:いいわよ。行ってきてガブは、見てるから。

                    (マーマテブチューm-マ)


エライザがシャワーをしているとカルロが帰ってきた。

カルロ:エライザ、もう終わる?

エライザ:良いよ、もう出る!

カルロも続いてシャワーを浴びて、気持ちよく飲めそうだ。

二人がシャワーを浴びている間にカルメンが、ガブのおむつを交換してくれて

ガブも食事の準備OKだ。

カルロ:カルメンもシャワーするの?

カルメン:私は、後でいいわ。

みんな揃って、食卓に着いた。カルメンが前菜やチーズフォンデュの材料を

食卓に並べる。エライザは、濡れた髪を拭いてターバンのように巻き上げながら。

エライザ:なんか豪華だね。お祝いみたい!

カルメン:お祝いよ!

エライザ:えーなんのお祝いだろ・・

カルメン:さあ、食べましょう。

カルロがコンロに火を入れた。

エライザ:ワインで行こう!頂きまーす。ん^~^労働の後のワインは、うまい!

カルロ:労働? 

エライザ:子守も労働!散歩も労働!ピクルスもうまい!

カルロ:ガブは、もうピクルスをかじってるけど・・大丈夫?

カルメン:もう大丈夫よ。今の子は早いわね。体もすぐ大きくなるし。

エライザ:カルメンお祝いって何?

カルメン:私、このままここに残る。日本には、帰らないわ。

カルロ:どうして、来年のはずでしょ。

カルメン:私の思っていたよりガブの成長が早いわ。エライザで面倒が見れる。

     時々春さんに来てもらっても良いでしょ。

それと何よりここが、好きなの。せっかく畜舎もできたしあそこまでできれば、

私でも面倒見れるし細かなものは、自分で少しづつ作っていける。

丘の向こう側を売って、羊を買う。ヤギは、乳を取るぐらいで2頭で十分ね。

エライザ:そこまで、もう考えてたの?

カルメン:カルロが一人で作業してるから焦らせたくないんで黙ってみてたけど

     ・・・順調に進んで、行けそうだなって思てた。

     巡回バスで、街にも行けたし、昔と思ったら暮らしぶりは楽になった。

     年寄りでも十分やっていける。

カルロ:ママは、決めたら変えないから・ママ、丘は売らないで残してほしい。

    羊は、アクセサリーを売った貯えで僕が買います。ガブが自分の人生を

    決められる年になったら僕が牧場を継ぐ。

            イタリア人としてここで暮らします。

エライザ:わたしは、どうしたらいいの?

カルロ:エライザは、僕の妻だからここでチーズを作ってください。

エライザ:チーズ作ったことないけど良いの! 

カルロ:エライザなら僕よりすぐに上手になるよ。

エライザ:分かった!ここで暮らす!

カルメン:あんたたち簡単にそんなこと言って・・今日は聞いておくわ。





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