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Episode 2 ~捜査開始・彼の過去~

登場人物

 中西志穂

 並木俊

 木村涼太

 早川奈々葉

 他

私、中西志穂が高校一年生で出会った俊は突然いなくなり、5年後、犯罪を犯し亡くなってしまった。私は彼の空白の時間を知るために奔走するのだが、、、

 彼がいなくなってから五年、こんなニュース記事が目に入った。

 ‟連続銀行爆破強盗事件の犯人死亡、自殺か”‟犯人と特定された並木俊容疑者、警察の追跡逃れ飛び降り自殺か”などの記事を見て私は血の気が引いた。彼が遠くに行ってから五年がたって忘れかけていた記憶がよみがえってきたように感じた。


 それから、私はすぐに高校を卒業してからも仲の良かった木村涼太と早川奈々葉に連絡して3人で会うことになった。近くのファミレスに行き、私がさっきの記事を見せようとすると、2人もすでに見ていたようで理解が早かった。私は彼がこんなことするわけがないと思っていたが、二人もあの彼がこんな犯罪を犯すはずはないと思っていた。あんなに心優しかった彼がこんな事件を起こすわけない。ひとまずこの日は解散することにした。


 翌日、大学に行くために朝早く家を出ようと早起きをした。起きた時、外が騒がしいなと思い、一人暮らしのアパートの窓から外を見るとありえない量のマスコミが集結していた。私はすぐに奈々葉に連絡した。「どうしよう、マスコミが家の前に。奈々葉の家は大丈夫?」奈々葉は「落ち着いて、うちにはマスコミは来てないみたい。その人たちはおそらく俊くんのことだよね?とりあえず無視したほうがいいと思う。今日は家から出ないほうがいいかも」「わかった」私はこのあと一日中家にいることにした。こんな状況になって私は目に見えない恐怖を感じた。


 今日のうちにわかったことがある。彼は親の関係で転校すると言っていたがどうやら違っていたようだ。警察の捜査発表によると、彼は高校を退学していた。ただ、その裏で容疑者死亡で捜査がきちんとされてないんじゃないかといううわさが流れていた。


 さらに翌日、どうやらマスコミはみんな帰っていったようだ。そこで何か気になって奈々葉に連絡した。「奈々葉、大丈夫?こっちは今日、マスコミはいないみたいだけど、、、」「今日はうちに来てるみたい。しばらくは警戒したほうがいいかも、、、」「涼太はどうしてる?」涼太は高校卒業後も奈々葉と交際を続け、今は同棲している。「涼太も家にいるよ。電話変わる?、、、もしもし涼太だけど、奈々葉は大丈夫?」「とりあえず大丈夫だけど。涼太はちゃんと奈々葉を守るんだぞ。」「了解、了解!」これからしばらくはマスコミを避けながら生活をした。


 ある日、大学で石崎葵と橋口祐奈にあの事件の話題を振ってみた。二人は大学の軽音楽サークルの仲間である。さすがにその事件の犯人と思われる人と知り合いだというと嫌われそうなのでそのことを明かすことはなかった。二人はあの犯人最低だよねーとか死んだのは自業自得だとか言っていたので、何も知らないくせにとイラっと来たが何とか我慢した。


 そして、私はある決心をした。彼のことを詳しく調べようと思った。昨日、友達二人にイライラし、自分の心の中に、彼がいなくなった後どんな人生を送っていたか知りたいという気持ちが生まれた。


 まず私はホログラムペットという、この時代みんなが使えるホログラムがあり、それを使って調べ始めた。最初に並木俊についてできるだけ多くのことを教えてとホログラムに伝えた。ホログラムは‟並木俊は連続銀行爆破強盗事件の犯人と断定された人物。この事件は三つの銀行で犯人が一人で銀行に乗り込み金を奪った後銀行ごと爆破させるという悪質な事件。死傷者はいないが一歩間違えれば被害はもっと大きかったであろう。この事件にはおそらく協力者などがいると思われる。”と教えてくれた。


 正直な話、今持っている情報では何もできない。警察も容疑者死亡により捜査を打ち切っていた。そこで私はTwitterにアカウントを作って、そこで情報収集することにした。そして、多くの人が協力してくれ、徐々に情報が集まりだした。彼は学校を退学した後、東京から長野に引っ越していたようだ。そのまま長野で就職していたらしい。その職場で彼と共に働いていた人から情報をもらった。


 私は奈々葉と涼太にも伝え、三人で情報をくれた人のいる長野まで行くことになった。一応、もし彼のことをその人が恨んでいる可能性があるので私たちは記者という名目でその人のもとへ向かった。


 長野駅に着くと情報をくれた会社の方が出迎えてくれた。その方々の送迎でその会社に向かった。この会社は引っ越し業の会社で、当時16歳の彼が土下座をして働かせてくださいと頼み込んできたらしい。そこまでされたら断ることもできず、採用したそうだ。いざ彼が働くと、ミスをすることもあったが、とてもいい働きをしてくれて気遣いもできるいい青年という印象で、その彼があんな犯罪をするとは到底思えなかったと話していた。その後、一年くらい働いたけれども、ある日、突然暗い顔をして彼はやめると言い出したようだ。理由を聞いたらしいのだが、何も答えてくれず、次の日から彼は来なくなったそうだ。

 

 その会社の人はこの後の行方は知らないようで私たちは東京へ帰った。帰りの道中、奈々葉と涼太と私の三人で話し合って、もしかしたら彼の家族に何かあったのではないかと考えた。私はこの時、彼が高1の体育祭の時、保健室で話していたことを思い出した。


 「僕はただ後悔したくないだけなんだ。大切なものを失わないために。」


 もしかしたら体育祭の時のこの言葉は一種のSOSだったのかもしれないと思うと胸が苦しい。だからこそ、今、彼のことをもっと知らないといけないと思った。


 長野から帰ってきてしばらくはTwitterで情報収集をしていたが、なかなか収穫はなかった。そんな状況で、長野から帰ってきた後、定例になっていた奈々葉と涼太と私の三人での会議で涼太がある提案をしてきた。「細川先生に連絡できないかな?」細川先生とは当時高1の私たちのクラスの担任である。早速、学校に連絡して、細川先生に会えるようになった。


 細川先生とは埼玉県のとある高校で会った。先生は今、この高校で教師を続けているそうだ。話を聞くと、先生の母親が介護が必要になり、先生は地元に帰ってきたらしい。当時の話を聞くと「実は俊が退学したのは知ってたんだ、だけど俊の希望でそのことは伏せられたんだ。」そして私たちは俊の家族のことを聞いた。私はこのとき先生の目が泳いで動揺したのを感じた。「実は、彼には母がいなかった。すでに他界していたみたいだ。学校でやる面談とかは彼のおばあちゃんが来ていたよ。ちなみに彼の父親は一度も見たことはないんだ。仕事で忙しかったんだと思う。」私は話を聞いて気になったことがあった。「先生、彼の退学理由を知っていますか?」先生は一呼吸おいて、「ごめんね、知らないんだ。」


 私は彼の退学理由が今後にとても重要だと感じた。そして、これを知らなければ先に進めない気がした。

 

まだまだ連載は終わらねー!!

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