光喫茶
「ふむふむ…主に質問形式であったり、ア=ンカーとか言う遊び、困った時に助けを求めたり、自分語りなどに使われるツールなのか…」
板状の水晶を直接触ると映り出した映像がスクロールされたり、短く触るとそこに行けるのかぁ…。
便利だなぁコレ。
しかも…とあるスレッディ(略称スレ)では…
『イッチ、置き論破されてて薬草生えるわぁ』
『草ァァァ!!』
『毒草置いとくわ』
などと言ったじゃれあいなども散見される。
ちなみにこの特殊な口調は『モーコ=ヴェン』といって、かつての偉人に倣った伝統ある物言いだとかで、普段使いするのは流石に不敬がすぎるとのことらしい。
なお、魔法師会は嘘か真か内輪だけの時は大抵この口調なのだとか。
エリート連中はスゲェなぁ…。
そんなこんなで、俺は暇つぶしも兼ねて色々とスレを巡回していたところ…。
『さっき他のスレで見たけど、国王がスレ立てしてて薬草生えますよ』
などというコメントを発見した。
マジか…と思い、検索をかけてみると…。
「え〜っと、国王国王…って」
『一国の王だけど質問ある?(画像付き)』
いやいや、騙りだろうと首を横に振り、画像を開く。
そこには、王家の紋章の入った刺繍の服を着た人物がドヤ顔を決めていた。
陛下ァァァ!?
何やってんすかァァァ!?
「ったく…前会った時もけっこう茶目っ気のあるお方ではあったが、まさか0.5民だったとは…こんなこと宰相に知られたら…ん?」
『一国の宰相だけど質問ある?(証拠アリ)』
宰相閣下ァァァ!?
何やってんすか!?
「あぁ〜、でもそういやぁ国の上層部の人らは報告なんかを速やかに済ませるために特別に端末持ってるとかなんとか、聞いたことあるような…」
えぇとコメントは……。
『もう終わりだよこの国』
『むしろねらぁに寛容な素晴らしい国やぞ』
『王カスはさぁ…』
『通報』
『通報』
『不敬罪で通報しますた』
『ごめんなさい許して』
やれやれ…こんなんでは姫殿下もお嘆きに…ん?
『【急募】一国の姫のワイ、国宝のひとつを無くしたので誤魔化す方法』
姫殿下もかい!!
三段落ちってレベルじゃーねぇぞ!!
でも、騙りの可能性も魔粒子レベルで存在するかもしれない…。
いやでもバレた時のデメリットがデカすぎるし、そんなことするなんて普通は…。
いやでも、この端末の秘密保持能力はかなりの物らしいし…完全に特定は流石に無いかぁ…。
「んん?」
そんなこんな、色々なスレを巡っていた時、一つのスレを発見した。
『今日仲間にパーティーを辞めてもらった件について』
「なぁんか親近感が湧くなぁ…。
いやでも、こう言うのはよくある話かもしれないし、どうしよっかなぁ…」
そんな独り言をこぼしていると…。
コンコン…。
部屋の扉がいきなりノックされた。
「あっはい…」
俺は思わず起き上がり、扉の方に視線を向ける。
「あと五分でお時間ですが、延長なさいますか?」
なんだ、受付の店員さんかぁ。ビックリしたぁ…。
でもなぁ…時間の延長だなんて、そんな…そんなこと…。
「二時間延長で…」
「かしこまりましたぁ〜♪」
ハッ!!
気がついたら扉越しに自然と口が延長と言ってしまった!!
恐るべし…光喫茶…。
光喫茶編は取り敢えず今回までのつもり…。
なお、登場人物の特徴としては…
国王 仕事の合間に0.5チャンを巡回するのが趣味。名君ではある。
宰相 国王の監視をするつもりが自分もどっぷり浸かってしまった。
なお、つい先日初孫が生まれた。
姫 度々問題行動を起こすお転婆娘。男まさり。
なお、今後出てくるかはわからない。




