ー プロローグ② ー
みなさんこんにちは。怒られる時は大抵苗字で呼ばれるので普段はなるべく「マコ」と呼ばれたいヘタレ勤労女子、加藤眞子です。
私は並行世界に転生し、男に生まれ変わりました☆
「…って、何でじゃぁぁぁい!!」
思わず叫んでしまいました。テヘっ☆
…錯乱する私をガン見している黒猫がいます。
「も、もっちょん⁈」
変な名前ですが私の愛猫1号、もっちょんです。
「あんたもいたの!良かった〜!」
「主人殿、朝から騒がしいな。少しは落ち着いたらどうかな」
…めっちゃイイ声で喋ってる。
もっちょんが、喋っとるわ!!
「あんた、喋れんの?!」
「女神に声を掛けられ、主人殿の案内人になる代わりにこちらに転生させて貰えることになった。引き続きよろしく頼むぞ、主人殿」
やばい、ちょっと感動で泣きそうだ。
「うん…うん!一緒に頑張ろうね!」
「私なりに頑張ろうとは考えている。しかし、主人殿には扶養義務があることを忘れてもらっては困るぞ」
…やたらしっかりしてるな、このイケボ黒猫。
あれ、物置にしている筈の部屋から凄い物音がする。と思ったら、ドアが勢いよく開け放たれ、少女が部屋に飛び込んできた。
「姉ちゃん、朝からうるさい!」
うわ、メッチャかわええ…!赤毛をポニーテールにしたセーラー服の女子だ。私の性癖に突き刺さる!…けど、誰だ???
「あなた、一体誰?」
知る人ぞ知るCMみたいになってちょっと恥ずかしい。
「酷いな姉ちゃん、あ、今は兄ちゃんか。チャーの事忘れた?」
「…は?チャーちゃん??」
おかしい。私の愛猫2号、チャーちゃんは赤毛のアメショだ。
「姉ちゃんを見てたら人間も面白そうだったから、女神に頼んで人間にしてもらった!どやあ!」
あ、このドヤ顔はチャーちゃんだ。
「ほら見て!学生証もあるんだよ!」
ポケットから取り出した身分証ケースには、「加藤千夜」と書かれた学生証が入っていた。
なるほど、千の夜でチヤね。…しかし、
「あんた、オスじゃないの…?」
チャーちゃんの顔が見る間に赤くなった。
「…そこは、ほら、神のみぞ知る!」
「ちょっと見せてみなさい!」
「いやー!姉ちゃんのエッチ!男の娘じゃないもん!」
いや、こんなんで男の娘だったら事案だろ。興奮する…もとい、ちゃんと確認せねば。
チャーちゃんと鬼ごっこしていたら、もっちょんが声を掛けてきた。
「主人殿、近所迷惑になるから静かにしたほうがいい」
ごめん、もっちょん。
「しかし人間になるだけであんなに構ってくれるとは…羨ましい」
イケボが何か呟きながら猛烈な勢いで爪を研いでいる。ちょっとシュール過ぎる。
「これは失敗したかもしれない」
その声でハイテンションで爪研ぐのはやめなさい、もっちょん。
「それはそうと、そろそろ食事をとって出勤準備したほうがいいんじゃないか?女神の話よると、主人殿は今日辞令を受け取り、新たな職場に赴くとのことだ」
なるほどー、勤め先は一緒なのか。異世界転生といっても、割と難易度は低めなんだな。
ふと気になり、テーブルの上に置いてあるIDケースを手に取った。私の名前、何だろ?
「…加藤眞って、ほぼそのまんまじゃん」
なんか肩透かしを食らった気分だ。
早くご飯食べて出勤しよっと。




