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自己紹介 男子編

「次は男子に自己紹介してもらいまーす!それではさっき女子五人に質問をした順番でお願いします」


 フィンケ先生のその言葉を待っていましたと言わんばかりに、銀髪の短髪がスクッと立ち上がる。

 入所式の後に俺に話し掛けて来た奴だ。


「カール・マイヤーです。剣と格闘技が得意です。親父は大工で、勇者とか冒険者とか全く関係ない家です。剣は道場で習いました。よろしくお願いします」


「カールは卒業した後の進路は考えているかな?」


 フィンケ先生、今度は男子だからか比較的に落ち着いている。


「自分は勇者は無理だと思っています。それ以外の冒険者に成れればいいけど、それも無理なら警官に成って町を守りたいです。この養成所を卒業すれば警官や兵士にも成りやすいと聞いたので」


 カールって結構、現実的な考え方するんだな。もっと脳天気な奴だと思っていた。すまん。


「確か次は、君だったな」


 そう言ってフィンケ先生に指名された茶色い髪の男子が立ち上がった。


「ハインツ・マコーミックです。剣が得意です。実家は冒険者の溜まり場になっている酒場をやってます。店の常連客の影響を受けて、自分も冒険者に成りたいと思いました。よろしくお願いします」


「何て店だい?」


 フィンケ先生、興味津々に聞いてきた。もしかして知っている店かもしれないのか?


「はい、竜の盛り場です!」

「すまないハインツ、行った事は無かった!」


 フィンケ先生の滑稽な仕草でクラスは笑いに包まれる。

 冒険者の溜まり場より、場末のパブとかが似合いそうですよ、フィンケ先生。


「先生も来て下さい。あっ後、みんなも卒業して冒険者になったら来てくれよな!」


 ハインツ、ちゃっかりと実家の宣伝は忘れない。


「冒険者じゃなきゃ行ったらダメなの?」


 さっき自己紹介が終わったばかりのカールが聞いた。


「そういう訳じゃないけど、冒険者って独特だから」


 このクラスの連中は冒険者になる可能性も有る連中だ。その一言で皆、妙に納得した。冒険者って本当に特殊な人間だからね。


「それじゃ、次はフィリップ・ニールセン!君の番だ!」

「ようやく僕の番ですか!」


 そう言ってフィリップ・ニールセンは立ち上がった。

 スラリとした長身で、やはり何とも言えない雰囲気がある男だ。


「フィリップ・ニールセンです。みんな、フィリップって気軽に呼んで欲しいな!フランクでフレンドリーに行こうよ!」


 このフィリップとフィンケ先生はある意味双璧かもしれない。


「僕は演劇一家の出なんだ。今やチケットが最も取れない舞台を手掛ける劇作家であり演出家の父と、女優の母を両親に持っています。ショービジネスの世界に生まれ育ちました!」


 フィリップはそこが教室ではなく、舞台で芝居をするが如く語り始めた。

 さっきから気になっているが、フィリップは視線がこちらに向いていない。きっと自分の世界に入り込んでいるに違いない。


「僕自身も幼少の砌から舞台の華となってねぇ。神童と呼ばれる事にはもう飽きてしまっていたよ」


 ここでようやくこちら側に視線を向けた。主に女子にだが。


「僕は殺陣で剣に興味を持ってね、舞台効果として魔法で炎を出しているからその辺は任せて欲しいな」


 何を任せるんだ?


「この養成所には殺陣の向上と舞台効果としての魔法利用が最大の目的なんだけと、冒険者としてランキングされたら話題なるからね!いいかい、パフォーミングアートの世界では些細な事でもアピールしなくては生き延びる事が出来ないんだよ!」


 ここで何故か最前列に座っているアンナに迫る。


「分かって、くれるよね」


「はっ、はい」


 目の前にフィリップに迫られて、アゴをクイッとされるアンナは赤面して呟くのが精一杯の様だ。

 まぁ、フィリップは同じ男から見てもイケメンだと認める男だ。田舎から出て来たばかりの少女が目の前に迫られたら対処に困るだろう。


「それじゃ、フィリップの目標は冒険者としてランキングされる事なのかい?」


「はい!」


 フィリップとアンナの間に割って入ったフィンケ先生に対してフィリップは堂々と言い切った。


「もちろんそれだけではありませんよ!人気役者とも成れば危険が付いて回ります。例えば、追い落とそうと企む輩、悪質なファンやストーカー、悪意を持って近付く反社会勢力等から身を守らないといけません!

でなければ、僕を生きる糧にしているみんなに申し訳が立たない!だから養成所に入りました。自分の身は自分で守らないといけませんからね!」


 フィリップはこの台詞の間中ずっと、教壇狭しと動き回っていた。

 普通にできんのか!

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