表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/44

女子の質問コーナー

「それでは、次に自己紹介してもらうのは君だ!」


「わっ、私ですか?」


 フィンケ先生に指された女子は俯いた顔を上げて聞き返す。一人称は、ワタクシ。


「はい、お願いします」


「あの、本当に私がするのですか?」


「お願いします」


「分かりました」


 女子生徒は前かがみの姿勢で教壇に登る。


「マリー・ボッシュです。一応、剣と魔法は使えます。よろしくお願いします」


 マリーと名乗ったブロンドの髪の毛を一つ結びにして背中まで伸ばした女子は、皆を見渡して挨拶した。

 女子の中では一番の長身だ。


「あの、言われる前に言いますが、私は見て分かる通り大きいです。平均的な大人の男性くらいはあると思います。でも、そこには触れないで普通に接してもらえると嬉しいです」


 触れて欲しく無い事を敢えて自分から切り出すなんて余程、後でイジられるのが嫌なんだろうな。

 俺もイジられるネタを持っているから、分かるよ!


「いいか、マリーをデカいなんて言ったらダメだぞ!デカいッてな!わかったな、デカいって言うな!」


 イヤ、アンタが一番言いそうですけど。フィンケ先生。

 それはともかく、マリーは確かに大きい。手足も長く、顔立ちも整っていて何処となく品がある。更に言うならかなりグラマラスで目立つ事は間違いない。

 他人からしたら贅沢な悩みなのだろうが、本人には深刻なコンプレックスなのだから厄介だ。


「ルイーザ・ライトル」


 黒髪のショートカットは名前だけをぶっきら棒に言った。

 見るからに尖っている奴だ。


「ルイーザ、君の事をもっと教えてくれ!」


「言わなきゃダメなの?」


「是非とも頼む!」


「私の話なんて面白くも何ともない。胸クソ悪くなるかもよ」


 ルイーザは全身から不機嫌をオーラを放つ。

 余程、言いたくない事がある方だろうな。


「先生、言いたくない事もあると思います」


 立ち上がって発言をしたのは漁村出身のエマだ。


「うん、その通りだ!よく言えました、エマ!でもルイーザ、目標とかは言えないかな?」


 フィンケ先生、案外物分かりが良いかもしれない。


「私は良い所に就職したい。ここなら必要なスキルが身に付くし、学費も要らないから来た。よろしく」


 パチパチ、教室に居る全員が軽く拍手をした。

 彼女には軽い言葉は必要ないと感じたから。


「これで女子は全員だ!はい、ルイーザはそのまま、アンナ、レオニー、エマ、マリー、前に出てくれ。これで女子5人が揃ったな!それでは男子から女子5人への共通の質問だ!男子は必ず女子が答えられる質問を全員するように!」


 ご機嫌なフィンケ先生だが、女子の5人は怪訝な表情を浮かべる者、ただ笑っている者と様々だ。


「それじゃ」

 挙手をしたのは銀髪の男子だ。


「多分後で自己紹介すると思うけど、カール・マイヤーです。それじゃ、女子の皆さんの好きな食べ物は?」


アンナ

「木いちごです。」

レオニー

「ワッフルかな」

エマ

「うーん、メロン」

マリー

「チョコレートです」

ルイーザ

「肉の入ったシチュー」


「それじゃ、次は君だ!」


 フィンケ先生に指名された茶色い髪の男子が恐る恐る立ち上がった。


「あの、実家のお仕事は?」


アンナ

「山の中で農業しています」


レオニー

「父は兵士をしています」


エマ

「漁師です」


マリー

「父は画家です」


ルイーザ

「私に親はいない」


 最後のルイーザで一気に空気が張り詰める。


「それじゃ、次は頼む」


「先生、今か今かと待ってました」


 引き攣った表情のフィンケ先生が縋る様に次を託したのはフィリップだ。


「フィリップです!よろしく!」


 やっぱり、喧しい奴だ。でもその明るさが今は頼りだ。


「女子の皆さん、僕をどう思う?」


 やはりアホな質問だ。

アンナ

「す、すごく明るくて良いと思います」


レオニー

「何か雰囲気が明るい」


エマ

「話易そうかなと」


マリー

「華やかさが有ると思います」


ルイーザ

「ウザい」


「ルイーザとはもっと時間を掛けて分かり合いたいな」


 懲りないフィリップに対し、ルイーザは無反応だ。


「次、良いですか?」


 挙手した金髪を肩まで伸ばした長身の男子が立ち上がった。


「好きな男性のタイプは?」


 この質問に女子5人は顔を見合わせる。


「えっと、困っている人を放っておけない様な、優しい人が良いです」

照れながらアンナ


「私よりも強い人」

毅然としてレオニー


「マメな人」

困った様なエマ


「優しい方」

恥ずかしそうにマリー


「特に無し」

ぶっきら棒にルイーザ


「はい、ありがとう!次は君だ」


 指名されたのは黒髪の男子だ。


「えーと」


 無難な質問をしなくてはいけないというプレッシャーに押しつぶされそうな表情を見せる。

 それでも何とか絞り出そうとしている。ガンバレ!

 そしてあわよくば次の俺が質問し易い環境にしてくれ!


「えーと、自分を色に例えば何色?」


アンナ

「えー、緑かなと」


レオニー

「赤かな」


エマ

「青、海の青」


マリー

「何となくですけど、水色でしょうか」


ルイーザ

「黒」


 次は俺かと思いきや、


「はい、次は男子の自己紹介します!」


 あの、俺は?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ