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作戦決行

 アンナの戦い振りにC組の連中は益々増長している様だが、全て作戦通り!

 C組担任のエンゲルスなんかは笑いが止まらないと言った感じで、ニタニタとイヤラシく目を垂らしている。


「作戦抜きでマジで怖かったよ!」


 アンナは今にも泣き出しそうに瞳を潤ませた。


「ありがとう、アンナ!上出来だ!」


「本当はこの後の方が泣きそうなんだけどね」


 この作戦はアンナ抜きでは成り立たない。寧ろこれからがアンナの見せ所と言える。


「第三試合」


 C組からは比較的大柄で筋肉ダルマの男子生徒が出て来た。夏は近くにいて欲しくないタイプ。

 E組の代表はエマだ。


「ケヴィン、本当に作戦通り?」


「あぁ、頼んだぞ、エマ!」


 当然かもしれないが、エマは不安な表情を浮かべる。


「作戦の下地はオリバーとアンナが作ってくれた。ここからは勝つだけだ!」


「でも私が勝つなんて」


「練習通り、剣はモリ、相手は魚だと思って!タイミングをしっかり!」


「分かったよ。やってみる。恥ずかしいけど」


「ちょっとエマ、私の方が恥ずかしいのよ!」


 ようやくやる気になったエマにアンナが訴える。そのアンナの言葉で場が和むから有り難い。


「行ってきまーす!」


 エマは振り切るかの様に明るい声を出してステージ上に向かった。

 あの声を出せるなら勝てる!


「始め!」


 試合が始まるとC組の代表は早く終わらせる気満々で、ツカツカとエマに迫って来た。

 エマは最初からステージの端にいたので、早くも追い詰められる形となった。


「あーん、こんなに防具付けたから熱くて熱くて!」


 ステージの端のエマ、そしてそのすぐ傍のステージ脇ではアンナが大声で言う。勿論、敢えてステージ上に聞こえる様に言っている。


「あーん、もう脱いじゃお!」


 言うが早いか、防具をその場で脱ぎ捨てる。


「あっ、ごめんなさい!試合は私に構わずにどうぞ」


 ステージ上のC組の生徒に上目遣いで言う。

 そんなアンナをC組の生徒はガン見して視線を外さない!

 防具を脱いだアンナは胸元が大きく開いた服で、ステージ上からは胸の谷間が良く見えるはず。


 エマは頃合いを見計らって近付く。

 すると間合いに入ったエマに気が付いた様だが、ここからが本番。


「私の友達が試合の邪魔をしてごめんなさい」


 エマは出せる限りの可愛い声でそう言うと、頭を下げた。

 エマもアンナ同様、胸元が大きく空いた服で、更には防具を付けないで試合に臨んでいる。

 C組の生徒は今度は前かがみになって良く見えるエマの谷間をガン見する。


 今だ!仕上げだ、アンナ!


「もう、汗掻いちゃった!拭かないと胸の下があせもになっちゃう!」


 アンナは服の下からタオルを入れて拭きだした。

 アンナの胸が、わっさわっさと揺れ動くのをC組の生徒は見逃さない所か、釘付けだ!

 そして、鼻の下を伸ばしまくっている対戦相手の視線がアンナに釘付けになっている事をエマは見逃さなかった!


 エマは息を殺して剣を音を立てないように構える。獲物に忍び寄る猫の如く音を立てずにしなやかに間合いを詰めたら勝負ありだ。

 エマの鮮やかな突きがミゾオチに決まった!


 「勝負あり!」


 オジウ先生がエマの勝利を高らかに宣言した!

 C組の生徒は負けた事が理解出来ないのか不思議顔でステージに立ち、最後までアンナを見つめていた。

 そんなに見たいのか!


 本意ではない作戦だが、三連敗で相手に王手を欠けられる所を一つ勝てた事に意義がある。

 これで後はフィリップ、レオニー、マリーで勝てばE組の勝利だ!

 でも、それだと俺出番が無い!

 さて、どうしたものか。

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