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リモート授業だと朝早く起きなくてすむから、めっちゃいい!
HRの時間を知らせるチャイムが鳴り、教室にいた人たちは一斉に自分の名前が書かれた席に座っていく。
席順はあいうえお順になっているらしい。
僕も自分の名前が書かれた廊下側後方の席に座る。
席について気付いたのだが、先程の4人とは席が近くだった。
一列6人で6列あるのだが、僕たちは一番廊下側の列である。
列の一番後ろから、森本くん、目黒くん、僕、大我で並んでいて、隣の列の一番後ろに深澤くんがいた。(ちなみに紗希は隣の列一番前にいた。)
そのせいもあってか席についても彼らは話し続けているし、僕も自然と会話の流れに組み込まれてしまった。
やはり目立つのだろう。
そんな僕たちの姿をクラスの奴らは遠巻きに見ているのがわかる。
4人は気にも留めず、たわいもない会話をしているが、視線が気になってしまう僕はどこか上の空という感じで落ち着かないのだ。
出来る限り気配を消せる方法はないのかなんてことを考え始めていたら、教室前の扉が開き先生が入ってきた。
「おはよう。このクラスの担任を受けもった浅見 緑だ。これから一年間仲良くやっていきたい。よろしくな!」
教卓の前でそう言った彼女を見てクラスは盛り上がりを見せる。特に男子陣は相当だ。
「ミドリ先生まじかわいい!」
「担任ミドリ先生とか最高じゃん!」
「ミドリ先生のこと毎日拝めるとか神!」
この盛り上がりを聞けばわかるように緑先生は生徒の人気が高い。女性にしては高い身長に女性らしい体型、男子からしたら目を惹くものだろう。面倒見もよく、まだ27歳と先生としては僕たちと年齢と近いこともあってか、生徒の相談にもよく乗っているらしい。そりゃあ人気もあるわ。
盛り上がる教室を緑先生はいなし、始業式のため講堂へ行くよう促した。
始業式では校長先生の長ったらしいなんの生産性もないような話を聞き流し、朝から疲れた心を無にしようと瞑想という名の睡眠に入った。
話が終わったあたりで大我に起こされ、教室に戻る。
教室に戻るとクラスで自己紹介をした。
人前で話すのが苦手な僕はこういう時、自分が発表するということに緊張してしまうため、僕より前の人の自己紹介はほとんど聞くことができない。今回は席順でやっていくらしく、最後の方の僕は自分の番が来るまでずっとそわそわしていた。ほとんど覚えていない...
僕の番が来たが出来る限り目立ちたくないため、名前と部活動、趣味は読書とかいう自己紹介のテンプレートのような味気のない感じで終わらせた。
しかし前の大我、後ろの目黒くんはそれはもうTHE 一軍とでもいうかの様な自己紹介をしたため、逆に僕の自己紹介が浮いてしまっていた。
どうしたら目立たずに済むんだよ。
はぁ、早く席替えしてくんねぇかなぁ...
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