集合
所属する部隊が決まりついに顔合わせの日がやってきた。
「うわぁー!緊張するわぁー!」
「緊張したって意味無いヨー」
「んなこと言ったって緊張はするもんなんです!」
そう言い合いながらついに小隊のメンバーがいる基地についた。
「…ここで当たってるのか?ただの民家じゃんか」
「地図だと確かにここなんだけどネ…ただの民家だネ…」
二人の目の前にあったのは基地ではなく二階建ての民家だった。渡された地図は確かに目の前の民家を基地と示していた。
「…まぁ入るしかないよな、とりあえずインターホン鳴らしとく?」
「鳴らしたら誰か反応するかもしれないしネ」
ピンポーン、インターホンを押したが反応無し。ならばもう一度!と押した瞬間、二人が立っていた場所がいきなり落とし穴と化した。
「わぁーー!!!!!」×2
そして二人はそのまま地下へと意識と共に落ちていった。
「ぉーぃ…おーい!ダイジョブかー?」
「んー…俺たちの身に一体…?」
「かかかか!ようやく起きたかルーキー!」
そうやって起きた二人の周りに人が集まっていた。とは言っても4人であった。
「まず自己紹介しておこうか。私が斎藤武、この隊の隊長だ」
「で、俺がメカニック、情報統括官かつ副隊長の江田光一だ。よろしくなぁ~」
隊長、副隊長からの挨拶だった。
「こ、このたび斎藤小隊に配属になりました!会田一哉です!」
「下沢良樹ッス~」
完全に緊張している会田を見て隊長と副隊長は笑っていた。
二人は辺りを見回していた。小隊の基地ということもあり、大きいモニターが複数台あり他にも様々な機械がありとあらゆるところにある。そういったいかにも地下基地といった光景に見とれているところに違う人物からの自己紹介が入った。
「あー見とれてるとこ悪いんだが、さっさと自己紹介を終わらせて貰うわ。俺が牧島、でこいつが三条」
「三条っていいますーよろしくー」
「俺らが実動部隊ってこっちゃな」
実動部隊…そう電脳世界におけるテロやバグ「write」に対して武力を行使できる部隊だ。ルーキーの二人も実動の隊員として登録されているため、二人にとっての先輩にあたる。
ピーピーピーピーピー
自己紹介が終えた頃にいきなり警報がなった。
「おー電脳世界にwriteが出現、近い小隊は出撃せよ、だってよ~」
「まだ新人二人に伝えてないことがあるんだがなぁ…牧島、三条、行けるか?」
隊長がそう言うと二人は無言で頷きとなりの部屋へ走っていった。
「なんで隣の部屋に行ったんですか?」
「あぁ隣の部屋が準備の部屋だからな。あそこで装備の準備をするのさ」
「え、でも行くのって電脳世界ですよね?」
まぁ見てなさいな、そう言って隊長はいかにも隊長席っぽい中央の席に座った。
「今回出現したバグの数は20体。俺たちの他にも2部隊が出撃を用意している。心してかかるように」
「ラジャー」
「では江田、頼む」
「はいよーポチっとなぁ~」
そういって副隊長である江田がボタンを押すとモニターに電脳世界が映り、二人の先輩の姿が映し出された。
「副隊長がボタンを押したことで二人は転送されたのさ、隣の部屋を見てみな」
そう言われた二人は隣の部屋を見に行った。
するとそこには武器は一つもなく、空港にありそうなゲートが一つ置いてあった。
「そのゲートを通ることで人としての情報を全てコードに変えて電脳世界に送り出すってわけ」
隊長はこちらをモニターの方を向きながら説明していたかと思ったら次は実動部隊の二人に指示を出していた。
どうやら戦況はそこまでよくないらしい。
「さて…江田、君の発明品かあまり活躍していないようなんだが?」
「かかかかか!バカ言うな、俺の発明品に欠陥などあるものか!」
「実際に前の発明品は試運転の段階で爆発したじゃないか…」
「失敗は成功の元だ!」
「あーいえばこーいうとはこのことか…」
モニターに映されている状況はまさしく防戦一方といった感じであった。そうなのに上官二人の会話に危機感は感じられなかった。
「む、もしかして君たち、こんな危機的な状況なのになにをのんきに話をしているんだ?とか思ったんじゃないか?」
隊長に思っていたことをズバリと言われてしまいうまく返せずにいると
「なーに。大丈夫さ、あいつらならね」
そう言って再びモニターの方を向いて指示を出した。
「新武器の実験はもう十分だ。敵を殲滅せよ」
「待ってましたよーその指示!」
そう言うと胸のボタンを押して武器を瞬時に召還した。しかも身に付けている武器も先ほどとは桁違いに多い。そして動き出した瞬間に敵は消えた。正確に言えば「二人に消された」のだ。
「ほらね?瞬殺できるから心配はしてないのだよ」
「まぁ俺が作った武器のおかげだがなぁ!かかかかか!」
ルーキー二人は顔を見合わせてキョトンとしていた。自分たちが想像していた以上の世界がそこには広がっていた。
「よし、敵の殲滅が確認された。副隊長、帰還を」
「あいよ~ポチっとなぁ~」
そういって副隊長がボタンを押すとモニターから二人の姿は消えた。そして隣の部屋から二人が帰って来たのだった。
「どーだ!新人ども!俺たちの活躍は!」
「こいつは誉めると調子に乗るから誉めなくていいよ~」
あぁ!?なんかいっかぁー!?とケンカを始めてしまった二人。そしてそれを笑いながら見ている隊長、副隊長。いや、これ止めなくて大丈夫なの?と会田が思っていると…
「こら!!!ここでのケンカはダメって言ってるでしょ!!!だいたい何回いったら…」
入るやいなや速攻で説教を始めた女性に新人二人はあっけにとられた。
「た、隊長、あの女性は…?」
「ん?彼女は山本千里、このチームのオペレーターだ。今日は書類の提出とか手続きがあるってことで本部に言ってたはずなんだが、どうやら早めに終わってこちらに顔を出したようだ。彼女も君たちに会いたがっていたからね」
そう説明している間中ずっと二人に説教していた。
「…この光景っていつも通りのことだったりします?」
「正解だw」
こうして斎藤小隊が全員そろったのだった