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双方本性お披露目

 




「おい。どういうことだ」



 家に帰るなりわたしはスカラに壁ドンをされていた。止めようとしてくれたニヒルさんはリュカによって止められた。わたしは一人だ。



「お前、誰だ。ローゼンじゃないだろう。さっきのはなんだ」

「ちょ、ちょ、落ち着いてスカラ!」

「あぁ?誰のお陰で助かったと思ってる」

「スカラさんですスカラさんです」

「なら話せ。俺にはそれを聞く権利がある」

「分かった話すから!でも顔が怖い!普段との差よ!」

「お前にまで愛想良くしたってメリットねぇだろアホか」

「口の悪さ!」



 顔近い!いい匂い!

 とんでもなく整った顔が至近距離にあるだけでわたしの心臓はドコドコなのに、距離の近さのお陰でやけに甘い匂いが漂ってきて、それが追い打ちをかけてくる。


 勘弁して欲しい。どうしてそんなにイケメンなんだ。

 肌はツヤツヤだし体は細くてもしっかりしてるし。



「おい」

「ひい!あ、あのですね!わたしはほんとはローゼンじゃなくて、西野空といいます!こことは全く違う世界で生きてて、事故で死んで、目が覚めたらここにいました!」

「……は?」

「ローゼンがレガリートに斬られたときと、わたしが事故で死んだときが同じ時だったんだと思います。わたしは、自分が死ぬときにローゼンが死ぬところも見ました」

「……」

「そ、それで、わたしの体はもうないので、ローゼンとして生きていくしかないと考えまして、大人しく生きようと思ってまして、そこにスカラからの婚約があってですね!期間限定の婚約だし、イケメンに優しくされた、ゴホンゴホン!スカラと婚約して普通にしてれば、アリアたちに危害を加える気はないと証明できて、平和になると思ってたのです、えぇ」

「……なら全部パーだな。今日のお陰で」

「ほんとにね……」



 ようやく離れてくれたスカラは、髪を掻きあげ、息を吐き出した。



「なるほどな、納得だ。道理でローゼンとは思えないほど大人しかったわけだ。レガリートに斬られた恐怖で大人しくしてるのかと思ったが、そもそも人間が違ったと」

「そうでございます……」

「ならさっきのはなんだ?」

「……わたしはローゼンじゃないのに、どうしたってローゼンにしか見られないことにモヤモヤしてたら、勝手にあんなことしてました。多分、この体にはまだローゼンがいるんだと思います。ローゼンは死んだと思ってたけど、ローゼンはこの体で生きてる」

「……その体には二人の人間がいるってことだな。そしてお前の感情が乱れたとき、本来のローゼンが顔を出す」

「……信じてくれるんですか?」

「あぁ。『恐怖で大人しくなってるローゼン』よりも、『ニシノソラ』って考えた方がよっぽどしっくりくる」



 腕を組み、ソファーに腰を下ろしたスカラ。

 わたしもその隣に腰を下ろした。



「……悪かったな」

「え?」

「俺も、そんなこと知らずにローゼンとして接したから。昨日怒ってたのもそれでだろ」

「い、いや、でもわたしが言わなかったんだから仕方ないっていうか!」

「……いや、悪かった。これからは気を付ける」



 な、なんていい人……。

 外面と違って実際は性格悪いと思ってたけど、話し方は違えど根は変わらずいい人だったんだねスカラ。ごめんねスカラ。



「ソラ、でいいか?」

「は、はい!」

「よし。まずはローゼンが出てこないようにすることだな。それから、仮にローゼンが出てきたときの対処を考える」



 おまけに心強い!

 あぁもう、ほんとごめんねスカラ。ありがとう!



「おい」



 膝の上にリュカが乗ってきて、じ、と見上げてくる。



「っご、ごめんねリュカ!ほんとにごめん!」

「……ん。別にいい。ソラの本心じゃなかったなら」

「本心じゃないよ!リュカ大好きだから!」

「っ、お、おう!ならいい!」



 リュカの硬い体をわしゃわしゃと撫でる。

 わたしの膝の上で気持ち良さそうに目を細めるリュカに笑った。



「使い魔と仲がいいのも別人だったからか。てことはアンタたちも知ってたのか?」

「あぁ。俺もニヒルも、初めて見た瞬間に気付いた。それに比べてお前はまだまだだなぁ!」

「あ?」

「あ?つーかお前、俺たちに対してもその態度でいいのかよ!昨日までニヒルにだけは丁寧に接してたじゃねぇか!」

「いいよもう。今日からここに住むんだしな。どうせバレる」

「開き直りやがって……」




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