手紙
「おい、起きろ。夕飯だ。」
何だ。誰だよ。俺はまだ眠いんだ……
「おい、いい加減にしろよ。」
ドカン!
ソファーが激しく揺れた。その勢い落ちる。何だ、何だ。
「さっさと来い。夕飯が冷める。ミラ姉さんが待ちわびてるぞ。」
今蹴ったのか?こいつ……
「えっと……お前は……」
何だっけ、名前。青い髪。男にしては長い髪。癖がなくサラサラだ。キリッとした瞳はサファイアの蒼。どこまでも透き通っている。ってどうでもいいか。えーと、名前、名前……
あっ、思い出した。“ソウ“って呼ばれてたやつだ。
「あー、えっと、ソウ?わざわざ呼びに来てくれたんだな。ありがとう。夕飯だっけ?」
「……あぁ。早く来い。それに来る前に涙、拭いとけ。」
えっ?
「お前が泣くとか気持ち悪いな。」
はぁ!?俺、一応女性な!あと、歳上(多分)!
「なっ!?何だよ!悪かったな泣いて!」
ムカついて怒鳴る。だが、ソウは俺が叫ぶのを無視して右のドアに消えていった。
部屋の中が静まり返る。
………
「てか、泣いてたんだな……俺……。」
手で涙を拭う。
レイラ……さんとの会話が今、鮮明に思い出される。彼女は俺に自分の使命を託した。こっちとしては迷惑な話だが彼女のせいでも無い。彼女とはたったあれだけの時間しか話してないが、優しさがわかる。彼女も彼女なりに悩んだはずだ。これが彼女が悩んだ末に出した答えなら受け入れよう。約束したしな。
「ただ、自分が浅はかだったのはわかるな。」
正直、半信半疑だったのもおおきい。心の中ではこれは夢だとか思っちゃってたしな。いやー馬鹿だな、俺。この世界で生き抜くにはもっとちゃんと情報処理をして、行動しなきゃだな。
「しかし……“優しい目“と“虹の瞳“って一体……」
考えこむ。全然わからん。いや、分かったら俺天才?
「おい!早く来い!」
右の部屋から声が聞こえた。やべぇ!夕飯だった。
いけない、考え込みすぎた。
「悪ぃ!今行くわ!」
叫んで返す。俺は慌てて立ち上がり、隣の部屋に急いだ。
「今日はデザートにバナナがあるわ。皆沢山食べてね。」
「「「はーい。」」」
今、大きななテーブルを8人で囲んでいる。初めてだ。こんなに大人数で夕飯を囲むのは。
夕飯は野菜のスープ。パン。サラダに鶏肉のソテーだ。質素だし肉の量は少ないが、お腹いっぱいになった。スープはコーンスープ。手作りらしくトウモロコシがふんだんに使われている。濃厚で舌触りは滑らかだ。パンは焼きたてだから表面は香ばしく、中はフワフワ。ジャム無しで食べきれたのは初めてかもな。素材のうまさってやつか。程よい味付けで美味い。うん。幸せだ。最近、コンビニ弁当が多かったしな。昨日は食べてなかったから余計に美味い。
だが問題はバナナだ。最悪だ。目の前にあるだけでぶっ倒れそう。なんでデザート何だよ……
「あら?バナナ好きだったわよね?どうしたの?食べないの?」
好きだったのか……レイラさん……
「えーと、ご飯だけでお腹いっぱいになっちゃって。」
顔を引き攣らせながら答える。
「ふふ。そうよね。昨日食べていなかったし、ご飯を食べすぎちゃったのね。だから好きなバナナが食べられないのよね。」
「そ、そうなんですよ!残念だな!あはははは。」
よかった。奥さんのフォローが入った!助かった。お腹いっぱいなのは事実だがそう言うことにしとこう。俺は自分のバナナが入った皿をそっと手で退かす。隣で俺のバナナを巡ってガキどもの争いが起きているが関係ない。何か俺、目の前のソウに睨まれている様な……
「そうそう、ケンちゃん当てに手紙が届いてたわよ。」
「えっ!?手紙ですか?」
「えぇ、玄関の前に落ちてたの。差出人はないけど“ケンラ様へ“って書いてあって……だから貴女への手紙よ。」
断言しちゃった!しかも差出人不明って危ないヤツ!そんなの平気で持ってきて“はい!“って渡しちゃダメだろ……やっぱり危ないな、この人……
「ありがとうございます。で、手紙は何処に……」
「部屋に置いておいたわ。中は見てないから安心してね。」
あっ、そうゆう所はちゃんとしてるのね。
「あっ、じゃあもう部屋戻ります!ご馳走様でした!」
「あら?“力“についての説明はいいの?」
あっ、すっかり忘れてた。
「ミカさん。明日、教えてください。」
「えぇ、大丈夫よ。おやすみ。」
返事を聞くと速足で今いる食堂から出る。ソファーがある部屋を横切って外に出た。靴は履きっぱなしなのでそのまま出る。道に出て、大きな広場の真ん中に建つ小さな教会を目指す。この教会は街の中心に位置しており、ぐるりと家が囲んでいる。また、広場に井戸が有るので訪れる人が多い。住人達の憩いの場であり、生活に欠かせない場所のようだ。そもそも、前の神父様が亡くなった後、憩いの場を守り、行き場のない孤児を救うために教会を引き継いだのがミラさん一家とか言ってたな……そんなことを考えていると教会の前に着いていた。大きなドアの半分を開け、中に入った。月明かりがステンドグラスを通って入ってきている。色とりどりの淡い光が教会内を包み込んでいてとても綺麗だ。その淡い光を頼りに入ってすぐの右の棚の中からロウソクを出した。ロウソクをロウソク台にのせ、マッチで火をつける。小さな明かりが周りを浮かび上がらせる。
「えーと、確か……」
おっ、あった。あそこだ。金属なのかプレートがチラチラ光を反射している。身廊と呼ばれる真ん中の通路を通り、祭壇の前まで行く。そこから後ろに位置するプレート前まで行く。ロウソクを近づけて文字を見る。
“子供部屋“
「うーん、読めない字のはずなのに読める……」
うん、転生特典か。何故か俺の脳はこの訳の分からない記号を、日本語の様に読み取ってくれている。助かるな。
ドアノブに手を伸ばす。
ガチャ。
ドアノブを回す。少し立て付けが悪いのか、ドアを押すとギーっと悲鳴を上げながら開いた。中を覗き、入った。
何か緊張するな。
入ってすぐ目に入るのは壁に寄せられた机。右手には手作りであろう大きなベット。これなら子供5人が何とか寝れるだろうか。掛け布団と枕はたたんで上に置いてあった。ベットは頭になる部分は壁についていて、両端は上れるように人一人は通れるスペースが確保されている。そしてクローゼット。ドアのすぐ横、入って右手の壁に大きなクローゼットが付いている。中を開けてみると俺らの服や帽子、バックなど。長袖ばっかだし、これだけで5人分?と思い、周りを見渡す。よく見たらベットの下に木箱並べてあるのに気づいた。ここにも片付けているから部屋は広く感じるのか。大きなベットの圧迫感が気にならない程度には広さもあり、片付いている。
小さな子供が多い割には綺麗に使われているようだ。俺の部屋とは大違いだな。
「そうそう。えーと、手紙は……あぁ、あった。」
机の上にあった。ロウソク台を置き、手に取ってみる。真っ白な封筒。裏は赤色の塊に鳥のイラストが載ったもので封がされている。何だっけこれ。えーと、封蝋って言ったかな?確かワックスを溶かして“シーリングスタンプ“ってのを押し付けてから封をする奴だ。母さん、こうゆうオシャレなもの好きだったしな。手紙もよくくれたし。懐かしいな。今頃どうしてんだろ……
「まぁ、まずは手紙を読むか。」
丁寧に封蝋を剥がし、中身を取り出す。こちらも真っ白な便箋だ。枚数は……結構あるな。全部で5、6枚だ。
読書は好きな方なのでこれぐらいは余裕か。
椅子に座り机に置いてある大きなロウソクにも火を移す。
準備を整え早速読み出した。
《ケンラ様___葉山賢治様へ》
今、この手紙が届いたということは私は死んでしまったということでしょう。この手紙は私の命と引き換えに貴方に届けられるようにしたからです。これからここに記すことは全て事実であり、貴方が知っておかなければならない事です。どうか最後までしっかりとお読みください。
まず、この世界についてです。
あなたがいる国は3つの国のうちの1つ、“碧の国“です。碧の国とは、水系統の異能の持ち主が集まって出来ている国です。そしてあと2つの国は“紅の国“と“翠の国“です。それぞれ炎系統の異能と自然系統の異能の持ち主で構成されています。
お気づきですか?この3つの国の民はその国の名前の色が目に宿っています。そして目の色は、力の強によってその透明度が決まります。ほとんどの民は生活で役立つ程度の力しか使えません。なので、見た感じは黒目に近いです。しかし、極一部では高い透明度を持って生まれてくるものがいます。
例えばソウです。シスター達と比べればその違いが分かると思います。彼の瞳は“青色“が強く、透き通っています。彼の力はそれに比例し、とても強いものとなっています。彼のような美しい瞳は異能の力にだけでなく、身体能力の増加、回復力の強化、五感の発達など様々な効果をもたらします。このように美しい瞳は様々な恩恵を与えてくれるのです。
しかし、良い事ばかりでは有りません。この世界は国が存在しているにも関わらず、個々の地域が大きな権力を保持しています。それは国が人間の争い防止の目的のためだけに作られたものだからです。三つ国々は、初めは存在しませんでした。しかし、異能の違いなどによる争いが絶えませんでした。そこで、同系統の力のもの同士を集め、領土を3等分にして、今の形に国を治めたのです。国を作ったのは“白の使徒“と呼ばれる一族。強い力を持つものです。この者達は、ひとつの巨大な大陸の中心部を自分達の住居とし、土地を放射線状に3分割しました。
この時、それぞれの地域を支配していた者達から支配権は取りあげませんでした。
しかし、“白の使徒“は自分達に最も貢献した、強い力を持つもの達には土地を与えました。その者達は貴族となり、各々好きなように街を発展させました。その街では貴族が絶対的権力者。どんなに力が強かろうがその一族には逆らえません。そんな貴族は自分達より身分が低いものが、強い力を持つことを酷く嫌う傾向にあります。そのような街では酷い扱いを受けてしまうでしょう。
また、獣達との争いは今も続いています。そもそも、獣とは私達とは考えの違いなどから衝突が多いいので、互いの種族同士の争いも少なくないのです。人間の傲慢さも原因だと思います。酷い迫害を受けた種族もいるので、人間を恨むものも少なくないのです。
そんな争いの“戦力“と成りうるのが強い力を持ったもの達。彼らの力欲しさに誘拐されたりなどよくある話です。商品として販売されることもあります。力が強いゆえに傷つけられることが多いいのです。圧倒的力でも、獣の前には歯が立たないこともあります。特に上位種には命懸けで戦わねば生きて帰れません。それでも強い力で押さえつけるため、彼らが利用されるのです。多くの犠牲を産み続けても。
軍事警察はどうしたのかとお思いだと思います。しかし、国は“軍事警察“を組織していますが、各地域ごとの衝突には関与しない決まりとなっています。ただ犯罪者を捕まえるだけ。“大規模な、大陸内での争いには軍事警察は無関与でいる“とされているので全く関与して来ないのです。大陸外からの奇襲を受けた時、この大陸を守ることが第一の使命として活動している。
これが貴方がこれから生きる世界です。
次に貴方の力について説明します。
確かめられたと思いますが、あなたの瞳は紫です。
不思議にお思いでしょう?だって3色しか無いのに。
でも実際はあなたの瞳は紫。あまり多くはありませんがこういう事はありうるのです。
ではまず、私達の“瞳の色への認識“についてご説明します。
《光は全てのものの“存在“を無条件に認めてくれるもの》という考え方がこの大陸にはあります。それほど光はこの世界では欠かせないものなのです。そんな光が与えてくれた“色“は自分を作る大切なもの。基本であり、自分の全て。その中でも“基本の3色“は重要な“色“として大切にされるのです。ですから、自分の色を子供に“確実に“受け継がせるために同色同士で結ばれるのが普通なのです。
しかし、国境があやふやなのもあって、異色どうしで結ばれるケースも少なくはありません。
この場合子供の“色“は2つの方法で色が決まります。
まず1つ目。
親の持つどちらかの色で決まる場合です。まだ詳しくは分かりませんがこれは親の“力の強さ“の違いによるものと考えられます。どちらか強い方の力が現れるのです。この場合は瞳の色は3色の何れかになります。
そして2つ目。
2つの力が混ざりあっって決まる場合です。2つの力は混ざり合うと違う形へと変化します。炎や水、植物や風などとは全く異なるものへと変わるのです。
そして貴方の能力は2つ目と同じ、2つの力によって変化した特殊なものです。
あなたの力が私の力と同じであれば“描いたものを現実にする異能“です。描いた絵をそのまま現実に出現させることが出来ます。しかし、何でも出来そうですが使いづらさがあります。
まず1つ。細かく描き込まないと本物には遠く及ばないとこ。そしてもう1つはそのものの“特徴“を理解していないと“能力の再現“が出来ないことです。また、自分が描いたものか血を含ませた写真などでなければ出現は出来ないのです。
まぁ“私の体“で描かれた絵を使うのなら大丈夫だと思います。
その際は私が4年間描き貯めた絵を使ってください。写真などもあります。簡単ではありますが、一緒に説明なども付けているので能力の使用は可能だと思います。私達の共同の部屋にある机の引き出しにあります。上手く使っていただければ光栄です。
もし貴方が違う力なら私には分かりかねません。が、ある程度予想は出来ます。
私は美大に通っており、絵を描くことに慣れていました。自慢ではありませんが上手な分類には入っていたと思います。私自身は絵が好きでしたし、自分の全てと思っています。だからこの能力が私に選ばれたんだと思います。
きっと貴方の場合も自分にとって大切なものが力になることでしょう。そこは確かめてみてください。
これが貴方の力についてです。
貴方の力についてはあまり断言は出来ませんが瞳の力についてはこれが全てです。
最後に、私が託した言葉を覚えていますか?
“優しい目のあの人“はどこで会えるか分かりませんが、絶対に見つけ出して殺してください。それが貴方の命を確実に守る方法であり、謎を解く近道だからです。
そして“虹の瞳“。あなたを含め7人居ます。見つけ出し、貴方から“誓の証“であるアクセサリーをあげてください。理由はこの大陸には最も信頼できるものを従者にする時は契約をすることになっているからです。主となるものから身に付ける物を与えられることで、自分の力を何倍も強くできるのです。
私が用意したアクセサリーは石を埋め込んでいます。色はまだ有りません。貴方の血を吸わせて枷を外し、適合する者に与えてください。そのアクセサリーは7つあり、各々の適合者にしっかり行き渡るはずです。
最後に貴方の無事を祈っています。
《レイラより》
「……」
凄い話だったな……
てか、あの“ソウ“って奴結構凄いやつなんだな……多分……
「うーん、しかしなぁ……」
俺の力は絵を描くことが必要かもしれないのか……やべぇ、俺は絵なんて描けねぇよ。まぁ、上手く描き貯めてもらってたやつ使っていきますか。多分、新しい能力とか貰えてないだろうし。俺は元々趣味を持っていなかった奴だったしな。
「しかし……マジで旅出る感じ?」
うわぁ、絶対やだ。新しい出会いは欲しいけど、怖い目や痛い目には会いたくねー!
「ほんとにどうしよー!やべぇよー!」
頭をワシャワシャと掻きむしる。髪がボサボサだ。
「そんなに頭ボサボサにして、何がどうしようもなくやばいんだ?」
「とにかくやばいんだよ。」
何だよ急に。割り込んできやがって……
「だからどうやばいんだよ?」
「あぁ?だからそれ……は……」
ん?あれ、こいつ……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うっせぇ。夜だし叫ぶな。」
い、いつの間にいたんだよ。しかも壁に寄りかかってカッコつけやがって!腕まで組んじゃってさ!
「カッコつけで悪かったな。全部声出てんぞ。それに俺達が来たのはお前の“ほんとにどうしよー!やべぇよー!“辺りからだ。」
うわぁ、ついさっきじゃん。しかも声マネ……引くわ……
「おい、今失礼な事考えてなかったか……」
「いえ、全然。」
ここは爽やかスマイルで対応しておく。
「チッ、まぁいい。そろそろ寝るぞ。」
「えっ、もうそんな時間か?」
「は?お前が出ってってからもう1時近くは経過してるぞ。チビ達も寝たがってんだよ。」
そう言うとゾロゾロと入ってくる。確か黒髪のボサボサ男子がマック。茶髪マッシュルーム女子がカラン。最後に1番ちっさい男の子、ルークだ。年齢は上から順に6、5、3歳だ。えっと俺が2番目だから……ソウってマックと同い歳か?
「なぁ、ソウ。お前っていくつ?」
「は?10だけど。」
えっ?俺より(体は)年上……いや、背とか高いし、もしかしてって思ったりしてたけど!
「俺の方が年上じゃないのかよ!だって俺、2番目でしょ!?」
「何言ってんだ、お前。それは“ミラ姉さんを抜いた孤児内で“だろ?とうとう狂ったか?頭。」
そっか!考えてなかった!中身は18だし、ついそっちで……
それよりちょい待て。こいつ……
「ちょっと俺より失礼過ぎじゃね?」
「なんで年下で馬鹿な奴に丁寧でなきゃいけないんだよ。」
うっ、ご最も。(体は)年下だし、俺は馬鹿だ。しかもこいつちゃっかり寝る準備整えてる……!チビ達もう布団入ってるし……
何だよ!できるイクメン(?)野郎!羨まし!
「ケンねェはおバカさんだね!」
「「ねー!」」
「ソウにぃの方がかっこいいー!」
「しっかりしてるしなー!」
「ねー!」
ぐはぁ!心へのダメージが……!
無邪気に“ねー!“って言ってるルークの言葉が1番気づつく……
もうちょっと優しくして……
「おい、落ち込んでないで寝るぞ。ロウソク、消しとけよ。」
気づけばソウも布団の中だ。行動が早い。俺は言われた通り慌ててロウソクの火を消した。そして窓から差し込む月光を頼りにベットに入る。
何でも、年上がベットの端で、真ん中に1番幼いルークが寝るのがいつものスタイルらしい。上から見たら左から俺、カラン、ルーク、マック、ソウの順番だ。既に左端が用意されていたもんな。
すごく静かなので横を見る。相当眠かったのかチビ達はもう静かに寝ている。早いな寝付き。
ソウは向こうを向いていて顔が見えない。起きてるのかどうなのか気になって声を掛けてみた。
「なぁ、ソウ。もう寝てんの?」
……返事はない?
「俺はもう眠いんだよ。話しかけんな。」
うっ、怒られてしまった……何か情けないな、俺……
「あと、“ソウ“って呼ぶな……」
はぁ?なんだそれ。
「それどう言う意「おやすみ」……」
遮りやがった。もういいよ。たく、なんだったんだ……
しばらくすると睡魔が襲って来た。何か俺、最近寝すぎじゃね?とは思ったがまぁ、明日能力使うしな。体力温存ってやつだ!うん、もういい寝よ。
あっ、思い出した。手紙、机に置きっぱなしだわ……燃やすのは明日として……見られるかな、中身?うーん、確かミラさんは別の部屋に寝てんだよな……入ってこられた時、開きっぱなし出しな……うーん、でももういいや。全部明日にしよっと。眠いし。きっと大丈夫だろ、1番早く起きれば……いいし……ちゃんと……処理して……
そして俺は眠りについた。この時、行動しなかったことにより、後々後悔することになるとも知らず……
葉山 賢治 18歳
後悔先に立たず___学習しておらず。