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臆病者の失敗談  作者: 八咫烏
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この世界について

目が覚めるとまたソファーだった。何かガキが増えてたけど、すぐに皆今くなった。正しくはミラさんが気を利かせてくれたのだが。ちなみに、ミラさんとは前回何やかんやあって倒れた俺を看病してくれた女性だ。記憶が全くないと言ったら自己紹介してくれた。そんなミラさんから教わったこの世界のことをまとめ、改めて考えてみたらまた倒れそうになった。


元いた世界との違い


一つ、この世界は大まかに言うと三つの国で出来ているらしい。いろんな種族がいるが、どれも小規模なので統治はこの三つの国がそれぞれしているらしい。まぁ、大まかなことだけらしいから国境とかは関係ないとか。適当かよ!


二つ目は住んでいる人間について。俺が見た限りでは何の変哲もない。だけど皆何かしらの”力”があるらしい。それは目の色に現れるらしいが後でまとめて話すと言われた。何故だ。


そして三つ目。階級みたいなのが存在しておりそれぞれの地域ごとで扱いが変わるらしい。ミラさんはあまり話したがらなかった。そんなに嫌なのか……うん。触れないでおこう。きっと面白い内容では無いんだな。いや、そりゃそうか。それより絶対国のまとめ方の問題じゃね!?


最後、四つ目。獣について。何か伝説の生き物とかいるらしい。竜とか、人魚とか。ある程度平和に暮らせてはいるがまだまだ人間との争いが多いいとこもあるとか。物騒なのかほのぼのなのかよくわからん世界だな。ここ。


まぁこんな感じだ。正直俺の頭はパンクしそうで、これだけまとめられたのは褒めて欲しい。そしてこの世界について何となく分かったところで俺の状況もまとめとく。


俺の今の名前はケンラ。何か生前(?)の名前をもじった適当さだ。そしてここは教会らしい。言い忘れてたがミラさんはシスター。俺はここに拾われた孤児らしい。なんでもガキの時に捨てられてたとか。他にも五人の孤児と神父様。そして神父様の奥さん。計九人で暮らしているそうだ。ちなみにミラさんだけは神父様の娘に当たる。

そして俺。7歳の少女で教会では二番目の子供。

ちょっとやんちゃで元気ちゃんだったらしい。見た目からは想像つかないな……

しかし、昨日は頭を打って路地裏で倒れていたらしい。し・か・も!頭をった理由がお使いに行った帰りに人さらい的な奴らに襲われたからだそうだ。マジふざけんな!俺じゃなかったとはいえ俺を襲うとは……もしあったらフルボッコだ!と言っても犯人達は軍人さんに捕まったらしい。ここでは軍人さんが警察の仕事をしているらしい。絶対戦争的なこと多いいよな……

おっと、話がそれたな。

まぁそんな物騒な世界に放り込まれてしまったらしい。そして俺は頭を打ったことによる記憶喪失ってことで今のとこ通っているから、一からこの世界の勉強をしなくてはいけないなと思った。交友関係とか!

あっ、そうだ

「そう言えば、なんでミラさんは一緒に住もうって言ってたんですか?元々暮らしてたんじゃ……」

今までの話じゃ一緒に住んでいたって聞こえたからな。

「あぁ、あの時はつい勢い余って変なこと言っちゃったの。でも、ケンちゃん何にもない思い出せないんでしょ?なら切り替えて新しいケンちゃんとして接しましょう!ってさっき思ったの。だからもう気にしなくていいじゃない!ね!」

な・ん・だ・そ・れ

これで分かった。この人呑気すぎだ!しかも何かとんでもないことを平然と言えちゃう天然だ!優しいのは雰囲気で分かるが、ちょっとおっとりし過ぎでは……何だか不安になる人だな……シスターなのに大丈夫かよ。長い金髪が綺麗なおっとり系美人。恐るべし。

「ミラさん、ちよっといいですか?」

むっ!この声は……

「どうしたの?ソウ。何かあったの?」

「いや、やること終わったんで何か手伝う事が他にあるかと……」

!!やっぱり!俺が起きた時に散々バカにした挙句一番初めに消えた奴!何だよあいつ!眠そうな顔して無表情な割にはイケメンかよ!羨ましいな!おい!

青い髪を持ち青い目のそいつをにら見つけていたらパチリと目が合う。

「何だお前。2度もぶっ倒れた割には元気そうだな。なら働けよ。」

ムカッ

「まだ安静にしておけってミラさんに言われました。」

「あっそ。」

踵を返し入ってきた左手のドアから出ていった。

なっ!なんなんだよー!言われたのはほんとだし!ろくな自己紹介も無し。その上塩対応。さっさと部屋から出ていきやがって!絶対あいつとは仲良くできねぇー!

「ふふ、ソウはケンちゃんが心配なのね。相変わらずの仲良しで安心したわ。ケンちゃんほんとに記憶が無いの?」

そっか!今まで一緒に住んでいたんじゃ自己紹介はないか。それよりいつもあんなんだったのか。今までの俺ってどんなやつだったんだよ……

「さっきも言った通り記憶はありません。ほんとにすみません。それに仲良く出来ません!」

「あら、ごめんなさい。えっと、元気出してね!」

何か無理矢理感が……優しさが辛い。

「あっ!ケンちゃんはまだ力について知らないことになってるのよね!覚えてないから。」

唐突だな。どこに思い出す要素があった。

「もうそろそろ夕飯でしょ?だから夕飯の後に教えてあげるわね。もう少し待っててね。」

キッチンに繋がっているだろうか。そう言って今度は俺から見て右にあるドアに入って行った。


はぁ、何か疲れたな。


俺は自分の容姿にぶっ倒れて半日近く寝ていた。そして起きたら訳分からん話をされて、またぶっ倒れてしまいそうになった。ここが異世界と言うことも察した。自分がやばい状況なのも理解した。転生とか、転生とか、転生とか。

兎に角、生きていけるのか心配でならない。バナナから始まった異世界生活(と言ってもまだ1日し語っていないが)はろくなもんじゃないのは確かだ。俺、転生するタイミング、失敗したわ。


まぁ、好き好んでするもんじゃないがな。


(しかし……)

ソファーに寝転んで考えこむ色々疑問が残るな。

なんで転生したのか。なんでこの体なのか。てか、これって転生なのか。元々別の人の体だし。はぁ。最近ため息が増えたな。何だか思考も鈍くなってきたし。あんだけ寝たのに何だか眠い。あぁ瞼が重く……


気がつけば深い眠りに着いていた。

完全に意識を手放す前に声が聞こえた気がした。


《ゆっくり話しましょう。葉山 賢治 フフ》




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