始まりの日
何処だここ__
目が覚めると見知らぬ部屋の天井が見えた。上半身を起こし、周りを見渡す。広さはないが片付いている。広く感じるな。今、自分がいるのはソファーらしい。窓の下に置かれている。入り込む日差しが眩しいな。しかし、この部屋といいソファーといい何だか日本離れしているような……
考え込んでいると左手のドアが開く。入って来たのは女性だったのだが……
(やべぇ!明らかに外国人だろ!?俺、英語話せねぇー!!!!)
大体、英語恐怖症なんだよ!無理無理無理!ここが何処なのかも聞けねえじゃん!逃げるが吉か?いや、逃げれるか?てか、なんで逃げんだよ!
一人百面相をしていると話しかけられる。
「あら?目が覚めたの?」
「え、えぇーと、はい、まぁ」
うーん、やっぱり怖ー!上手く話せねぇーじゃねぇ……か……?
ん?ちょっと待てよ。
「あの、俺の言葉分かります?」
「?えぇ、分かるわよ。大丈夫?」
え?なんで分かんの?………いや、分かるか。日本語が喋れないとは限らないしな。金髪女性=外国人は偏見だったか。うん、いけないいけない。すぐ早とちりしてしまう。早くここが何処か聞こう!
「あの、すみません。どうして俺はここにいるんですか?」
沈黙。からの困り顔。
えっ……何その顔。しかも寂しそうな……
「悲しいわ、でも無理もないわね。あんなに激しく頭を打ったんだから。」
えーと、つまりどう言うことだ?
「でも安心して。ここには誰も貴女を傷つける人はいないわ。だから一緒に暮らしましょう!」
いや待てよ!話が全然見えません!
「私は貴女の姉よ!貴方は妹!そして他の子達が兄妹よ!皆で協力して生き抜きましょう!」
何か重!しかも意味深!何言ってんだこの人!大丈夫か!?てか、妹!?どう見ても俺は男だろーが!
きつく抱きついてきた女性から逃げる。訳が分からな過ぎて頭痛い。頭を抱えているその時、視界の端に鏡が見えた。大きな姿鏡だ。何か嫌な予感するなーと思いつつのぞき込んだ。それがいけなかった。
「」
声にならない。何だこの美少女は。肩まである白いふわふわの髪。アメジストのようなキラキラした紫色の瞳。スっと通った鼻筋。陶器のように白く艶やかな肌。しかし頬はピンク色で健康そのもの。身長は子供にしては高い。9、10歳ぐらいかと思ったがもっと幼いかもしれない。
…………
どうでもいいわ!そんなこと!俺の心がもたない!眩しすぎて直視できない!
そして俺は倒れる。この現実を受け入れたくなくて。信じたくなくて。ほんとに無理!なんだよこれ……
遠くであの女性の悲鳴が聞こえる気がする。
それより、なんで起きてすぐに気づかなかったんだよ、俺。普通、気づくだろ。
自分の馬鹿さを実感しながら意識を飛ばす。
この日が俺の異世界生活の始まりになったことを後で知ることとなる。人生の中で一番大恥をかいて、二回も意識を飛ばしたこの日が。
葉山賢治 18歳
つまらない平々凡々な人生を謳歌していた男子高校生
転生先の異世界にて美少女(?)に