第五話
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「中学生一年生位の頃だったかな…私ね、その頃もストーカーにあっていたの」
「……そうなんだ」
中学一年生…もう、六年くらい前か。…まさか、今回も同じ犯人じゃあるまいな…。
「通学の時とかはボディーガードがいたから大丈夫だったんだけどね」
「…ええと、せが…結奈って、もしかしてどっかの社長さんの娘さんだったり?」
「うん。そうだよ」
「……」
デスヨネー。そりゃあ、普通の中学生にはボディーガードなんて付きませんよねー。おかしいと思ったよー…。
「最初は家に手紙が来る程度だったの。ずっと君のことを見てるとか、愛してるとか、ね」
「おお…」
随分とヤバイ人がいるもんだな。結奈はその時から可愛かったのかもしれないけど…それにしても、中学生相手に愛してるとか、まともじゃないな。
「初めは無視してたんだけどね、次第にエスカレートし始めたの…。なんで無視するの?僕はこんなに愛しているのに、なんで返してくれないの?とか…」
完全なストーカーだな…ソイツ。自分のことしか考えられない、残念なヤツだ。
「その手紙が来て一週間くらいした時かな。私ね、誘拐されそうになったの…」
「誘拐!?」
おいおい。…遂に、実力行使に出たってことか。ますますヤバイ奴だな。
「ボディーガードがいないタイミングを狙われちゃって…数人の男の人に、無理やり車に乗せられちゃって…凄く怖かった」
「……」
そりゃあ怖かっただろう。今こうしてここに無事でいるのが奇跡に思える。…てか、ボディーガード無能だな…警護対象から離れるなんて、論外だ。
「でもね、しばらく経った頃に何かが車にぶつかったみたいでね、男の人たちは皆外に行ったの」
「…うん」
「外を見て見たら、男の人達が誰かと戦ってて…少ししたら、男の人達は皆地面に倒れてた」
「……」
へ、へぇ…そ、そんな奇跡が起こることもあるんダナー。
「助けてくれたのは、一人の男の人と…私と同い年の少年だったの」
「…なんで、同い年の少年って断定した…の?」
「その後、交番の前で降ろしてくれた時にね…その少年が生徒証を落としたの。それに書いてあったの」
「あーー………」
あの時落としちゃってたのか…道理で探しても見つからなかった訳だ。
「あの時助けてくれたのは…啓介君だよね?」
「……」
「…そう、だよね?」
「…はぁ。そうだね…確かにそれは僕だ」
確かに、そんなことがあった。親父との帰り道に、同い年位の少女が車に押し込まれて走り去るのを見た。
それを見て…親父が追うぞ、と言って車で追い始めた。まぁ、親父の職業的にやるとは思ったが…まさか自分ののってた車をぶつけて止めるとは思わなかった。…その後、母にめちゃくちゃ怒られたのだが。
その後、降りて来た男達を親父が二人、僕が一人倒して少女を保護した。交番に、その少女を連れて行ったのだが…そうか。生徒証を落としていたのか…不覚だ。
「啓介君って、何者なの?」
「…別に、何者でもないよ。親父が、警察関連で働いてて…それで僕も、護身術の心得があるってだけ」
…少しだけ嘘を付いたが、ほぼ本当の話だ。昔、親父から戦闘術を叩き込まれた…それだけだ。
「その後ね、お父さん達がもの凄く警戒しちゃって…お礼を言いに行けなかったんだ…だからね、同じ高校に行こうって決めたんだ」
「……は??」
えっ?今なんて言った??
「お父さんの弟さんがね、教育関連の偉い人だから…それでね、ちょっと…そのぉ…」
「その人に頼んで、僕の進路を調べた…と」
「うん!!」
「……」
マジか…。そうなのかぁ…。てか、そんな簡単に進路を調べられるとか…もう誰も信用できねーなー。
「同じ高校に入れたまでは良かったんだけど…中々話しかけられなくて…気づいたら、沢山の人から告白されてて…」
「なるほどね……」
僕自身、あまり明るいキャラじゃないし……話しかけにくかったのだろう。僕は、人付き合いが苦手だ……仲の良い友人なんて、勇くらいしかいない。
そう思うと、僕ってボッチなのか……我ながら悲しくなるな。
「でも、最近また変な手紙が来るようになって……凄く怖かった」
「あぁ……」
個人的な考えなのだが、おそらくさっき襲ってきたのはそのストーカー犯ではないような気がする。
ただのストーカーにしては、ナイフの扱い方や立ち回りが上手すぎた。
恐らく、さっき襲ってきたのは……六年前に結奈を誘拐した奴らと同じか似たような奴らだったのだろう。
「だから、なるべく啓介君と一緒に帰りたかったんだ。啓介君の側が、一番安心できるから……」
「そっか……そうだったのか」
僕の素性は、どれだけ調べても分からなかっただろうけど……それでも、僕の実力は六年前にバレている。
そりゃあ、安心できるだろうし……確かに、僕も余程のことがない限り守り通せる自信がある。
「だから、この前啓介君が告白してくれた時…凄く嬉しかった…」
「……え?」
嬉しかった…?って、どういう事だ…だって…
「嬉しすぎて泣いちゃった…それで、勘違いしちゃったんだよね?」
「えっ…ちょっ…」
勘違い…?それって…まさか…
「あの時の返事をさせてください。私は、あの時助けてくれた…怖くないように、ずっと慰め続けてくれた啓介君のことが、大好きです。お付き合い、させてください」
「……本当に??」
「うん…」
顔を赤らめて、僕の問いに答える結奈。
今日は、色々あったけど…どうやら、僕に人生初めての彼女が出来たようです。