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第十四話

大変おまたせいたしました、およそ二年ぶりとなる更新です。まだ、覚えてくださっている方はいるのでしょうか……?また、少しづつではありますが更新していきたいと思います。


第十四話です。

 

 次の日の朝、少し遅めに起きた僕と勇が居間に向かうと二人は朝食の準備を手伝っているところだった。僕たちは夜遅くまで色々と話していたのでまだ眠かったりするのだが、それは結奈たちも同じだったようで………二人ともぼんやりしながら作業しているようだった。


「おはよう。そっちも夜更かしでもしてた??」


「おはよ!けっこう話が盛りあがっちゃてね……。そっちも、てことは啓介くんもかな?」


「ちょっとゲームの話して、朝まで喋ってたかな」


 もちろん、ゲームの話をしていたわけではない。お互いの持つ情報だったり、今後の対策だったりをずっと話していたわけなのだがそれをわざわざ伝えることもないだろう。

 チラッと勇を見ると、あっちもあっちで何か話しているようだ。こっちみたいにほんわかした話ではないのかもしれないけれど、軽口を混ぜながら話しているのをみると少しうらやましく思う。いつか、僕と結奈もあんな風になっていくのだろうか。





「さて、明日から学校が始まるわけだが………二人は今日はなにか予定あるか?」


 朝から豪快に丼ものに食らいつきながら、勇が問いかけてくる。朝からカツどんとか重くないのか、と聞いてみたところ元気をだすため、だそうだ。僕にも用意されそうになったが、丁重にお断りしておいた。


「僕は特にないかな」


「私もかな。ホントは学校だったわけだしね」


 まぁ、結奈に言う通り本来は学校があったわけだし予定なんてあろうはずもない。やりたいことはあるにはあるのだが、結奈がいるとできないことばかりだ。今は離れるのもよくないし……なんて考えていると、まるで僕の心の声が聞こえているかのようにありがたいお誘いがあった。


「じゃあ、私と結奈ちゃんはお出かけしましょうか。お借りしますね」


「えっ、あっ……ちょっとまっ」


 そのまま、どこかへ連れ去られてしまった。まぁ、勇の家で守ってくれるなら安心だろう。さて、残された僕たちは何をしようか。このまま勇と話すのもいいし、いったん家に帰るのもいい。頼んでいたものがそろそろ届くはずなのだ。よし、帰るか。

 食後のお茶も飲みきったので、一度帰る旨を伝えようと顔を向けたところで……先に声をかけられた。


「なぁ、啓介」


「……ん?どうした?」


 いつになく真剣な顔だ。あ、これ嫌な予感が。


「俺と一戦勝負(殺し合い)してくれや」


「はぁ、そんなことだろうとは思ったよ」


 自分の使える主人の婚約者の腕を直接確かめる。家臣として、おかしくはない行動だろう。もっとも、その行為を主がどう思うか別としても。それでもなお、知りたいのだろう。ここは受けざるを得ない。


「オッケーだ。どこでやるんだ?」


「中庭があるからそこで。武器は、武器庫から自由にもってきていいぜ。………おい!!」


 勇が声を上げると、襖をあけて男一人入ってきた。どうやら、武器庫に案内してくれるらしい。


「じゃあ、待ってるぜ」


 そう言い残して、勇もどこかへ歩いて行った。僕も、考えながら男についてゆく。武器、と言われはしたがさすがに俺の得意な武器(エモノ)はないだろうし……なにを使おうか。

 案内された武器庫は、確かにその名の通りにたくさんの武具があるようだ。侍らしく刀から長槍、はたまた銃などいろいろある。とはいえ、勇が求めいているのは銃なんかを使った遠距離戦ではないだろう。おとなしく、剣でも……と思ったところで部屋の端に置かれた一つの机が目に入った。そこに置かれていたモノを、おもむろに手に取る。うん、コレにしよう。……準備は、整った。




 武器庫まで案内してくれた男にさらについてゆくと、建物に囲まれたしっかりと整地された空間が見えてきた。ここが、勇の言っていた中庭だろう。なかなかの広さがある中庭の奥をのぞき込んでみると、予想通り着物姿の勇の姿があった。目を閉じているのは、気を研ぎ澄ましているからだろうか。その腰には、長い刀が一振り。


()()()()、ね……」


 思わず、心の声が漏れる。昔、存在していた本物のサムライを見たことは当然ない。しかし、その姿は間違いなくこうだったのだろう……そう思えるほどに、勇の姿はサマになっていた。

 中庭に足を踏み入れ、勇のほうへと歩いてく。その距離が、残り5メートルになろうかというところで勇はその目を開いた。なるほど、これが勇の間合いか。


「おう、来たか」


「待たせたね……その刀、近くで見ると結構長いね」


「おう、これか」


 そういって、腰から抜いた。やはり、大きい。地面に建てたその刀は、勇の身長の半分より少し大きいくらいか。


「こいつは、うちに代々伝わる刀でな。三尺三寸ある。こいつを一人前に振れるようになって、ようやく家を継げるってわけさ」


「なるほどね」


 これだけの家格なのだ、それは名のある名刀なのだろう。これで、どれだけの人が切られただろうか。


「そういうお前は……そんなんでいいのか?」


 勇がやや不服そうに見つめる先は、僕の腰に下げられた二本のダガー。それと、スローイングナイフが何本か。


「まぁね。満足いくモノではないけど、これが最善だ」


 予想通り、僕本来のエモノはなかった。その代わりとして決めたのがコレ、というわけだ。これなら、僕本来のスタイルに近い戦い方ができる。


「おいおい、そんなんでホントに平気か?なんだったら、今から変えてもいいぜ」


 僕としては真面目に選んだつもりだったのだが、勇にはそうは映らなかったらしい。だが、それでも……。


「ちょっと、()()舐めすぎじゃないか?」


「ッ!!へっ、そうかよ!」


 俺の雰囲気の変化に彼も気づいたようだ。これでも、アレの参加者なのだ。武器くらいで舐めてもらっては困る。

 俺の変化を受けて、彼もようやく気持ちを切り替えたようだ。刀を背に回し、大きな動きでそれを抜き放つ。しっかりと使いこまれながらも、その切れ味を鈍らせない名刀を俺に向け構える。そう、これは戦いなのだ。勝手に舐められて、手加減されては意味がない。

 俺も、両手にダガーを構える。片方を普通に持ち、もう片方は逆手に持つ。これが、俺のスタイルだ。


「準備は……いいか?」


「ああ。いつでもいい」


「そうかよ。じゃ、いくぜッッ!!!」


 勝負(死合い)が、始まった。

ちなみに、三尺三寸は約1mです。

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― 新着の感想 ―
[一言] まってる
[一言] お久しぶりです!! わたしも久しぶりにこのサイトを開きました 一か月もたっていますがまだ続きあるもでしたら 読みたいです!!
[気になる点] 一気読みして面白かったけどどうせまたエタるんだろうなと思うとブックマークするか迷う。
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