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第十一話

いつもいつも、更新遅れてすみません。


第十一話です。

 

 翌日、僕は今までについてと今後の事を話し合うために勇の家に呼び出されていた。昨日、僕が襲われた事件があったせいか……学校は休みになった。

 生徒には、緊急の職員会議とメールで連絡があった。まぁ、あんなことがあったのだから先生達も大変なのだろう。是非とも、次はまともな先生を確保してほしいものだ。


「ねぇ、勇くんの家ってどんなところなの?」


 僕の()()()に座る結奈が、僕の顔を覗き込みながら訪ねてきた。

 僕たちは、勇の家に車で向かっていた。教えてもらった住所は地味に遠く、一緒に行くと聞かない結奈と向かうには電車では安全面に不安があるので、彼女の執事である黒沢さんに車をだしてもらった。

 黒沢さんには予め住所を教えているのだが、よくよく考えれば黒沢さんにとっての勇の家は自分の実家なので……必要なかったな。


「実は、僕も知らないんだよね……」


 そうなのだ。勇と僕は、中学時代からの親友なのだが……実のところお互いの家に一度も行ったことがない。

 僕は、人に見られるとマズイものが多々あるので……家に人を招くのは最低限にしろと親父に言われていたため、友達を家に呼んだことは一度も無かった。多分、勇も同じ理由なのだろうと思う。


「そっか。でも、きっと凄いお家なんだろうね」


「そうだね……」


 結奈の家が豪邸であるから、それに仕えている勇の家も豪邸なのであろうことは容易に想像がつく。きっと、結奈の家に勝るとも劣らないいい家なんだろうな。……僕の家?べ、べつに普通の一軒家でもいいじゃないか……。



「そろそろ、目的地に到着致します」


 結奈と色々話して一時間ほどした頃に、黒沢さんがそう声をかけてきた。窓の外に見えてきたのは……なんか、いま乗っている車程の高さがある塀だった。そして、その塀の奥に僅かに見えるのは……


「お屋敷……いや、城か??」


「ホントだ!!」


 なんか、天守閣っぽいの見えるんだけど……まさかあれか??おいおい、ウソって言ってくれよ……。




「それでは、お帰りになる頃にお迎えに参りますので」


 そういって、黒沢さんは行ってしまった。どうやら、入り口で降ろしてくれたみたいなのだが……。


「いや、でかくね?」


「おっきいねぇ〜」


 でかい。とにかくでかいとしか言い表せないような木製の城門が僕たちの前にそびえ立っていた。僕の身長は、一メートル七十くらいだが、その二倍は高いだろう。

 そうですか、勇はお城に住んでるんですねわかります。


「これ、どうやって中に入るんだろうね?」


「そうだね、インターホンも無いみたいだし……」


 見たところ、周囲にインターホンらしきものはない。まさか、門を叩くのか?それ以外に思いつかないな。


 とりあえず、この門を叩いてみようと足を踏み出したところで……目の前の城門が、音を立てて開き始めた。

 すっげぇな。まるで、ゲームのラスボスの城みたいな演出だ。さて、開ききった先には何が待ち構えているのか……。



「「「「ようこそいらっしゃいました!!!」」」」


「よう!!待ってたぜ!」


 完全に開いた門の先では、沢山の両脇に控える着物姿の女の人と、同じく着物を着て腰には刀を差している男の人たち。そして、鎧を着込んだ勇の姿があった。

 ……そうか、勇はS★A★M★U★R★A★Iだったのか。









 大層な歓迎を受け、案内されたのは……お城の横にある如何にも日本って感じのする平屋だった。木造の家っていいよね。なんか、言葉では表せない安心感がある。

 ちなみに、お城で暮らさないのかと聞いたところ……お城には普通は住まないとのお答えを頂いた。では、なんの為にあるのか、というと……


「ん?それはもちろん、見張りをしたり籠城したりするために決まってんだろ?」


 ……だそうだ。この現代社会で、いったい何があったら籠城なんてするんですかねー。そこんところ、是非教えてもらいたいね。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ま、座ってくれ」


 通されたのは、平屋の中の一室だった。生け花が飾ってあったり、外の庭園を一望できたりととても落ち着きのある部屋だ。


「ま、積もる話もあるけども……取り敢えず」


 そう言って、チラッと視線だけ結奈に向けた。


「あぁ、それもそうか。おーーーい」


 勇も言いたいことを察してくれたようで、誰かを呼んだ。

 結奈には悪いが、彼女がいると話しにくいっていうか話せないことが結構ある。勇と割り切って話すなら、結奈にはこの場を離れてもらわなければいけないのだ。



「失礼します」


 しばらくして、部屋に入ってきたのは……とても美しい、っていうか……てか、んん?この人って。


「里奈ちゃんだ〜」


「昨日の……」


 入ってきたのは、昨日に結奈と校門の前で話をしていた……里奈という少女だった。あれぇ……なんで勇の家にいるんですかね。



「あ〜。あとで説明する。取り敢えず、里奈は()()()を案内してあげて」


「かしこまりました。じゃあ、結奈ちゃんは私についてきて!」


「うん!」


 二人は、仲良さげに部屋から出て行った。


「んで?彼女は何者なんですかねぇ……」


 あんな美少女が、同じ家にいるとか……羨ましすぎるんですけど。あれ、もしかしてブーメラン刺さってる??


 意味深な眼を向ける僕を前に、勇はバツが悪そうにしている。


「あ〜、その、な」


「うん?なんだよ、もったいぶらずに早く言えよ」


 なんだよ、そんなに言いにくい関係なのかね。……おい、まさか。


「なぁ、もしかして……」


 僕が、なにか勘付いたのを察してか……遂に勇が口を開いた。


「里奈は、その……俺の婚約者……なんだ」




 なんと、勇には婚約者がいたようです。ハハッ、一体どういう冗談ですかねぇ。




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