7話「レジアの実力」
-まだ日も昇りきらぬ静かすぎる朝、そんな静寂の中、二人の戦士が剣を合わせる音が響く。
次第に増していく金属音、その演奏の前には二十近い兵士も観客にならざるを得なかった。
それは闘いのイロハも分からぬ少女ですらも如何に目の前の光景が激しいか伝わるほどだ。
果たして彼は勝てるのだろうか、最初の彼が放つオーラから勝ちを確信したのだが、それでもやはりあの兵士も手練だった。
「ヴェルさん、負けないで…」
何も持たぬ少女には、祈ることしか出来なかった-
「さぁさぁ、もっと剣を振れ!そんなもんじゃ無かろうヴェル!私を奮い立たせろ!」
「くっ…」
非常に鋭い斬撃が乱れぬ間合いで迫ってくる。
-正直侮っていた-
10年前の彼を知る故の油断だった。
かつて同じ訓練を積んだ軍兵時代のレジアは俺に足元も及ばぬほどだった。
それからレジアの功績は聞いていたがこれほどまでとは…今のレジアは俺をも上回りかねない…
「お前今までどんな修羅場を潜った…」
「さあ?それよりもっと本気を出してください。かつての同胞であり英雄の貴方と闘えるの楽しみだったんですよ。」
「そうかい、それは残念だったな。にしてもお前は変わらんな、特に性格が。」
「なら私の非情さも知っているでしょ。はやく本気を出したらどうです?このままでは詰まらない。」
分かりやすいほどレジアは挑発を重ねる。
そんな言葉だけの挑発ではない。常に急所を狙う太刀筋が本気を引き出そうとしてくる。
「高貴で下劣な悪魔とお前が呼ばれてる意味が分かったぜ。その太刀筋は不快極まりないな。」
「それは良かった。だがひとつ言わせてくれ、常に急所を狙い一撃で仕留めようとしてやってるんだ。苦しまぬようにしてやってんだから悪魔って呼ばれるのは困るんだ。」
そんな事を彼は平然と語る。
いや、多少言動は荒くなっているので平然でありながら興奮は隠しきれていないようである。
本当に彼は-殺し-が好きなのである。
「うーん話すのも飽きてきたし、そろそろ終わりにしようかな?本気を見せてくれないようだし。」
笑みを浮かべながらレジアは言う。
「自分から仕掛けておきながら飽きたとは随分勝手だな。」
「だって君が予想以上に衰えてたからさ。失望だよ。」
その言葉と同じく剣….いや、レジアの体が光を帯びる。
「軍式強化魔術二式、疾走の狩人…」
その掛け声と共に、レジアが懐に一瞬にして間合いを詰める。
その攻撃は視界に収まらぬほどの速度で迫り肩を掠めた。
「良く避けましたね、しかし、次は仕留めますよ。」
「しっかり狙えよ…」
高速からの不意打ちを避けるため、自らの身を晒し挑発する。
「ではお言葉に甘えて。」
レジアの攻撃は速い、その速さから起きる風は付近の木々もざわめく。
そんな疾風の如き剣筋を擦れ擦れで受け流す。
しかし切り返す程のスキは生まれぬ程の斬撃だ。
「さすがにやりますね、身の危険を感じましたか。徐々に反射が上がってますよ。」
「身の危険?んなもん感じるかあの程度じゃあな。」
至って平然な表情で挑発する。
現状、勝ち筋は奴の魔力切れを狙うしかない。
その為には奴を動かさせ消耗させるのが最適だ。
「そうですか、なら…」
レジアの周りを覆う光が強まる。
先の攻撃とは桁違いの速度で攻撃は迫り…
「残念、外しましたか。」
確かに避けたはずだった。しかし、ヴェルの片腕は血で染まっていた…。
戦闘シーンの書き方教えてください。