5話「スープと思い出」
眠い中書いたので間違えが多い+中身微妙です、すみません…
自らの身長の倍はあろうかという牛頭目を連れ家に帰る。かなりの獲物だが何とかボロい入口を通った。
今更だがコイツ何処に保管すべきか…そんなどうでもいい事に悩む彼とは裏腹に少女は全ての不安が晴れた快晴のように眠る。
「おい、起きな飯にすんぞ」
「……すぴー」
「お前が断末魔みてーにスープ飲みたいって言ったんだろが」
「えへへ…ステーキ…焦げちゃうよ…」
「どんな夢だ…こいつはあと1、2時間は起きんな」
正直早く起きてもらい色々聴きたいのだが、彼女の苦労を考えれば休ませるのが最適だろう。
「いつ起きてもいいように支度してやるか…」
そんなことを呟きながら、調理を始める。
面倒ならば食事を抜く程食に関心はないが、唯一の楽しみは食しか無いのは事実なので調理機材は一通り揃っている。
「味付けはどうするか…」
-俺にもまだこんな感情があるなんてな-
そんな考えが彼女と出会ってからというもの常に過ぎっている。
友を失い、仲間を失い、挙句は自らの存在すら今も狙われている,。
誰も救われぬ戦争以来こんな他人に干渉できるとは思っていなかった。
それだけ裏切られ、追い詰められていたのだ。
そんな中、親友の面影を感じる妹の登場はあまりにも俺に変化を与えた。
「…お兄ちゃん…美味しそうなスープ…ねぇお兄ちゃん…」
…随分と寝言が多いな。兄は常時寝言みたいな事を言っていた。
だから妹は普通の寝言が多いのだろうか。
我ながらうまいジョークだなと思いながらも彼の言っていたことを思い出す。
-スープは海で無ければ、甘ったれた川でもねぇ、淡水なんだ!-
未だにぶっ飛んだ比喩だなと思う。
しかしそんな感覚的な彼のスープは意外にも美味かった。
「今回はあいつの味付けに寄せて作るか。」
それは妹に向けての慈愛か、それとも彼自身への慰めか…どちらかはいまいち分からぬが、このスープが闘いの火種になるとはこの時彼は気づかなかった…
「レジア様、400m程先の民家から煙が上がってます。」
「そう、ではそこへ行きましょうか。」
彼の掛け声と共に約二十の兵が動き出す。
「え?しかしまだ確認が…」
そう言い切る途中で隣の兵に言葉を遮られる。
「…ばか…レジア様に口出しは厳禁なんだ、処刑されるぞ」
-王国第三精鋭部隊隊長レジア・カーン-
細身の彼からは覇気というものは無く、むしろ弱さすら感じられる。
その代わり彼は誰よりも冷酷な空気を放っていた。
-ついに見つけた、英雄の成れの果てよ、お前と殺り合うことを俺は待ちわびていたぞ…クフフフ…-
不気味な笑いは、薄暗い森にさらに不穏さをもたらした…