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4話「牛頭目狩り」

-男はただ走っていた。

スープの為に。

大人一人が動くには下らない理由だが、それが親友の妹に振る舞うのだから性が入るのも訳は無い。


「ふむ、雨の日ならばカエル鍋か…しかし女子に食わすならば見た目がな…牛頭目の魔獣でも探すか…」


この世界には魔獣がいる。それは龍であったり獣であったり、まさに多種多様だ。その中でも牛頭目の魔獣は食材として定評がある。


「牛頭目は雨の日洞窟にいるんだよな、確か。」


これは軍で学ぶ知識で生活の手助けになっている。

まぁ知識通り上手くいくなど実際多くはない。

故にこんな時は-


「探査結界-サーチリージョン-」


魔法に限る。

兵でありながら魔術を使える人は少ない。

しかし英雄になるには覚えざるを得なかった。

これもまた軍で学び、自らに役立っている。

殺すための技術に生かされているというのは実に滑稽だと思う。


「北に50歩と言ったところか…」


そうして走り出すと共に、木々を揺るがすほどの地響きがなった。


-■■■ーーッ!!


「もう縄張りだったか…まぁいい。さあ狩りを始めようか!」


辺りからは他にも何頭かの気配を感じる。

おそらく今目の前にいるのが牛頭目-コイツら-の長なのだろう。

見つけるが早いか、牛頭目は一目散に突進してくる。

それは周りの木々すらも関係なく一直線に。


「筋肉量やパワーは申し分ねぇ…だが致命的に足が遅せぇなぁ…所詮獣風情なんだ、大人しく狩られな。」


そう言いながら4本の足の音を豪快に響かせる獣の一撃を軽く遇う。

奴にとっても雨に濡れる足場は都合が悪いらしくその巨体とは裏腹にあっさりと体勢を崩す。

そのスキを歴戦の猛者は見逃すはずはなく-


「軍式剣技1式改-三連斬!!」


-■■■ァァァ…!-


牛頭目の胴体三ヶ所を一瞬にして引き裂いた。

その一瞬の出来事に牛頭目の野生の本能だろうか、森を劈く歓声をあげる。

これが号令でないと悟ったのは、辺りから感じる気配が消えたからである。

獣でも悟るのだ、この男には勝てないと-


「こいつはなかなかの大物じゃねぇか、あの娘もグレアスに似て大食らいかも知れねぇがこんだけありゃ大丈夫だろ」


そんなことを呟きながら2m近い獣を運ぶ。

かなりの重さではあるが、何故か足取りが軽い。

こんなに浮かれているのは彼女のせいだろうか。

それともグレアスのせいだろうか。

しかし確実に言えるのは、彼女に希望を持っているという事だ。








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