Day1 ?
既に日は暮れ誰もが寝静まる時間。その屋敷は煌々と光を放っていた。
「それで、失敗したと」
赤を基調とした派手な服、そして黒いシルクハットを被った小太りの男は豪奢な椅子に深々と腰をかけ煙草を一服。小太りの男の隣にはただならぬ雰囲気を放つ三人の男が侍り、そしてその目の前には頭を床へと擦り付けんとばかりの赤と青の髪をした男が。
「すいません、ボスっ!!邪魔が、はいりやして」
「ほおっ、邪魔と」
小太りの男が煙草を一本吸い終えると、そのすぐ右の巨漢がそのたらこのような唇に次の一本を据えた。そして左の男は直ぐにそれに火を着けた。
「へい、魔術師の邪魔がはいりやして」
「魔術師?MPとは言わんのか?」
「ええ、どうやらただのガキみたいで」
「ほおっ」
小太りの男は立ち上がった。そして次の瞬間、屋敷全体に響き渡るような怒声を放った。
「何しとんだ、われぇっ!このグルゼン・パンデモンの顔に泥塗る気かいッ!?」
「そっ、そんなつもりはーー」
「何顔上げとんじゃいッッ!」
ドスッ!と音が上がり、赤と青の髪の男は床の味を知ることとなる。小太りの男は激昂と共に彼の頭を床へと蹴りつけた。
「おのれ今何を言うてるのかわかってんのかぁっ!?一体誰にやられたとぉっ!!」
「……たっ、ただの、ガキにぃっ……」
「おう、そうだ!!わかっとんならなんでそうどうどうと言えるんだボケぇ!!?」
何度も何度も小太りの男性は頭を地面へと蹴りつける。赤と青の髪の男はその度床へと接吻を強制される。
「ったく!なんでお前を助けたかわからんわ」
それから数分した後に、ようやく小太りの男の足が、赤と青の髪から離れる。その顔には青アザと血で汚れていた。
「ボ…ス……」
覇気のない声はまるで誰にも届かない。赤と青の髪の男は生まれたばかりの小鹿のように起き上がろうとしたがーー
「やれ、ノグズ」
「了解です、ボス」
赤と青の髪の男の表情が恐怖を湛える。まるで自分の死を目前としたかのように。しかしそれはあくまで予想などではなかった。
彼は、ディオは知っていた。ノグズと呼ばれた巨漢が自らに何をするかを。
「ヒィッっっ……!!」
それが彼のあげた最後の言葉となった。ノグズが離った焔はディオを赤く染め上げ、そして焼死体が一つ、完成したのであった。