3/3
灰と空
カーテンを開ける
空を見ている
何も知らない
みんなが望むなら
空に浮かぶ雲が
猫に見えるならにゃあと
犬に見えるならわんと
あげてみせるひと声が空にはね返る
実は窓枠も
壁も雲も空でさえ
知らない
望まれたままを
突き通す指先に
風が傷を作っては
こぼれるまで 雫になるまで
灰になる
崩れ去るまで
何も知らない
昨日聞いた風の音を
瞳の色を
何も知らないでいる
いつもの靴で出かける
誰でもいい 難しい嘘の
どうでもいい 答えは裏に
めくればスクラッチが進む
それでも知らないよ
望まれたまま
やりきれない
それも知らない
青い梨をかじった
あの夕暮れを拒む
本当は片端から頑丈で
ひとつずつ鍵を開けていく
隙間の先を見ようと
揺れる瞳が崩れる
掴んだ青い雫は
灰に