〜零side〜
更新遅れてすみません!
クリスマスの話なのに、三日後に完結するという……
では、零sideもお楽しみください。
〜第2話〜
今年の冬は暖かくなりそうだ。
まあ、なんの根拠もないただの戯言にすぎないけれど。
俺は、女の子が喜ぶプレゼントってなんだろうなあと考えていた。
なぜなら、好きな子にあげるクリスマスプレゼントを選んでいたからだ。
今日の授業中だって、ずうっと考えていた。
隣の子にも相談して、悩みに悩んだけれど、結局可愛らしいノートとシャーペンにすることにした。
今、隣の席の澪とは「良き友達」として接している。
僕は、好きな人のことを知るためなら、どんな努力もいとわない。
だから、好きな瑞希のことも、澪をちょーっと利用して情報を得ている。
他の人よりも独占欲が強いのかもしれない。
でも、最近ちょっとおかしいことがある。それは、澪とまともに話せなくなったことだ。
前までは、
「瑞希、可愛いよな〜」
「今日分け目変えてない?」
と瑞希のことだったり、その相談だったりで澪を信用させて、あわよくば僕を好きになってもらって、より利用しやすくしようと思ったのに、なんとなく上手くいかない。
もう一つ、おかしく感じたことがある。
それは、澪を一瞬、ほんの一瞬だけ、「可愛い」と思ってしまったことだ。
「調査」の一環とは言え、澪に好きな人まで聞いてしまった僕はバカみたいだ。
全部、澪のせいだよ。なんにも上手くいかないのは。ここ最近はそう思っていた。
澪と同じ班になって六週間。調査は十分に行えたなと思った頃、席替えの話が持ち上がった。
今回は班長をくじで決めることになったようだ。僕は一番最後に引くことになってしまったが、割り箸には班長を命じる印が押されていたのである。
班長の集まりが行われた。
なんとそこには、澪の姿もあった。
「俺、瑞希もらうわ」
これは、班長たちで班員を決められるとわかったときから、瑞希を同じ班にすると決めていた。やっぱり僕は瑞希が好き。一回だけは同じ班になってみたかったから–––––
ついに席替えの日がやってきた。
澪はクラス替えさながらの勢いで
「じゃあ、またね」
と言ってきたけれど、また会えるしなあと思いながらも、新体制を待ち望んでいた。
新体制初日。瑞希と隣の席でスタートした。もう調査から解放されたし、隣は瑞希だから、気分は晴れてわたっていた。
でも一日を終えると、僕の心はくもり空へと変貌していた。
授業中に浮かんでは消え、浮かんでは消えていく澪の笑顔。
あんなに瑞希が好きだった僕は、どこに行ってしまったんだろう。
今でも瑞希が好きな気持ちの方が強いのは事実だ。けれど、どうやら僕は澪が好きになってしまったようだ––––––。
部活が終わってすぐに教室に駆け込むと、一人でなにか書いている澪を見つけた。
ちょっと緊張しながら声をかけた。
「あれ、何やってるの〜?」
「あ、課題だよ〜!今日提出じゃん?」
あ、ちょっとかわいい……なんて思ったことはないしょだ。
「あ〜!俺もう終わったわ〜!」
「うわ〜!当てつけだ……!」
「はははっまあな。」
そう言いながら、澪の前の席に座って、体を澪の方に向けた。
「ちょっと〜!緊張するじゃん!ただでさえ硬筆の課題なのに〜」
澪の緊張がこっちにも伝わってきた気がして、どぎまぎしてきた。
「いいじゃん、お前字上手いんだから」
「上手くないよ〜!」
……こんな会話でドキドキするなんて僕はなんてバカなんだろう。
「零、ちょっといい?」
そう切り出されたときは、びっくりしたのが顔に出そうだった。
「……どうしたの?」
「えっとーあのね、そのーあのー」
「もう〜!澪いっつも焦らすじゃん!」
もう、気になりすぎて声を発してないと、おかしくなりそうだ。
「ごめんごめん!いやあのさ、実はさ、好きな人いるんだ……」
「え……?前はいないって……」
脳が思考停止した。
「そう、まだ好きになったばっかで…#$*%〆¥※☆!」
僕は気づいたら、澪の口を塞いでいた。
「澪、もうそれ以上言わないで。」
僕はもう耐えられない。
「えっ……」
僕は澪の体を引き寄せて言った。
「俺、好きなんだ。瑞希じゃなくて、澪が好き。」
ついに、僕は言ってしまった。
澪が他の人を好きだなんて絶対に嫌だから。
「えっ……!」
「俺、本気だから」
「ほんとに……?」
これでもかってくらい、澪は念を入れて聞いてきたから、
「うん」
と念を込めて返事をした。すると、
「……わたしもだよ」
「えっ」
またもや、脳は思考停止してしまったようだ。
「さっき、好きな人いるって言ったでしょ。それ、零のことだから……」
まさか、本当に俺のことが好きだなんて……!俺は澪に散々ひどいことをしてきたのに……。俺はどんだけ性悪男なんだろう。
「そうだったのかよ…… 俺、焦ったんだよ?澪に好きな人がいるなんて思わなかったし、他の奴に取られるの嫌だったから、つい告白しちゃったよ……!」
この想いが今まで瑞希に向いていて、澪を利用してたんだからな……。本当にひどいことをしたな……。澪、ごめん。心の中で謝ります。
「ちょっと……照れるじゃん!」
「照れてる澪も……かわいい」
なーんて気障なこと言ってるよ、でも俺もこれから改心しなくちゃな。
「ちょっ……!でもまあ、わたしも瑞希ちゃんと付き合ってる零、見たくなかったかも……」
「そんなこと言われたら……俺も照れるわ……!」
やっぱ俺、澪が好きだわ。
「そんな零も……かわいいね(笑)」
「おい!からかうなよ〜!」
「ごめんごめん!(笑)」
今年の冬は暖かくなりそうだ。
それは、澪という温もりがあるからかもしれない。
クリスマスだって、きっと暖かいのだろう。
最後までお読みいただきありがとうございます!
澪と零のお話はわたしのツイッター、また、なろうにも続きをUPするので、お楽しみに!




