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1話 始りの日

初投稿です。妄想垂れ流しですがお付き合いいただけたら幸いです。


※16/01/04 改造しました! 細かいところが変わったかもです。

 

 健全な青少年の諸君、君たちも一度は考えたことがあるのではないか?

 世界が可能性によって無限に分裂することで生まれる「異世界」の存在を。

 そしてさらにその「異世界」に「転生」できたら。

 こんな世界から逃げたい。と思ったことがあるのでは?

 

 もし、本当にもしその権利が与えられたとき、

 君たちはいったいどんな決断をするだろうか?



  


 「というわけでどうだい? 転生・・してみる気はないかな?」

 

 2017年1月19日、最近は祝福される事も無くなった、人生20回目のこの世に生を受けた日。

 そもそも俺自身が把握していなかったその日の朝、いつもと全く変わらないはずだったであろうこの朝。

 いつもと同じようにのろのろと顔を洗い、目線を挙げたその先に、「非日常」が立っていた。

 いや、正確には鏡の中に俺の振りをした何かが不敵な笑みを浮かべながら立っていた。


「っ、はっ?  なん、だょ これ…?」


 ここ2、3年ほとんど使われることがなかった声帯は、

 俺の驚きをこれっぽっちも表してはくれなかった。

 そんな俺の姿を嘲るような表情を浮かべている少年。

 背丈は一般的な中学生ぐらいだろうか?

 その割には大人びた、利発な印象が動作の一つに表れている。

 一体どんな技術でこの洗面台の中にいるのだろうか? 

 俺がひとまず状況をかろうじて受け止めたであろうことを確認したその口は、先ほどと変わらない口調で再度問いかける。

 

「だから交換転生さ。あれ? 知らないかなぁ?もうこの世界で転生した子も居たはずなんだけど」

  

 交換?転生?何言ってるんだこいつは?

 さては最近よくある異世界漂流モノを読んだ影響か?

 俺が自分を訝しんでいると感じたのか、

 聞き分けない子供を諭すような口ぶりで続ける。


「ほら、なんて言ったっけ? 彼女。君も知ってるはずの――、ああ確かクロエ。いや、こっちでは朝霧黒江だったかなぁ?」

 

 なんだって!? 今こいつ「黒江」言ったか?

 悪戯にしては嫌に手が込んでいる。

 忘れようにも忘れられないないその名前の持ち主に、俺は2年前告白した。

 幼馴染という立場を利用した軽く卑怯なその告白は彼女には通用せず見事に玉砕。

 彼女曰く、「無理」だそうだ。

 あんなにも長ったらしい告白文をたったの二字で片付けられてしまっては立つ瀬も合わせる顔もない。

 俺は受験でポカをしたことも重なって高校最後の二か月間を不登校で過ごしてしまった。

 最後に彼女に会ったのは証書目当ての卒業式だったはずだ。

 逃げ出した負け犬を見るような冷ややかな眼が今でも忘れられない人生最大のトラウマである。

 そんな顔も見たくない幼馴染、朝霧黒江の名を何で知っているのだろう。


「それでこっち側に来た彼女に聞いたわけさ。君の世界にうってつけの人間はいないかい?ってね」


「で、あいつは俺を挙げたわけか。その交換転生の相手とやらに」


「その通り! いい感じに絶望してるだろうって聞いたからさ!」

 

 全く有難い同情だな。異世界進出後も俺の面倒見てくれるとは、せめてもの罪滅ぼしのつもりだろうか。

 自らの立場と性格の意地汚さに自己嫌悪する。

 が、今は目の前の事だ。


「まずは説明をしてくれないか。ある程度聞いてから決める」

 

 もちろんこんなチャンスは願ったり叶ったりだ。

 しかしリスクがないとは限らない。こんな時だからこそ一度待つべきだろう。

 

「OK! じゃあざっくりと説明しようか。と言ってもそんな難しくもないんだけど、重要な点は2つ、

  

 ・契約者2名は互いの魂と時間を交換し、それぞれ互いの世界に「転生」する。

 ・「転生」は生まれ変わりの事で、転生後は強制的に赤子の姿まで戻される。

  

 大まかに言うとこの2つかな? まあ君が生まれ変わると赤子になり僕の世界へ、僕は君の世界へ行く。だから『交換転生』って呼ばれてるのさ。この世界じゃ珍しいらしいけど、僕の方にはちらほら居たよ異世界から来ただろう人」 

  

「え? ホントにそれだけか?」

 

 正直本来の寿命の半分とか想定してたのに、思わぬ大盤振る舞いに驚いた。

 むしろ減るどころか増えてるし。

 

「まあこの転生で君にデメリットはないはずだよ。少なくとも転生による直接的な影響は皆無だ」

 

 いやいや、さすがに破格すぎるでしょ!

 これは黒江に会った時彼女に感謝しなきゃいけないな。

 自分でも驚くほどの手のひら返し。

 だから中、高と友達が居なかったんだろうなぁ…。

 

 しかしそんなちょっぴりブルーな気持ちもすぐに吹き飛んでしまう。

 突如舞い降りた第二の人生に期待と興奮が止まらない!

 かつてあこがれた漫画の主人公みたいになったみたいな、子供時代特有の変なざわつきが全身を駆け巡る。


 「異世界」に「転生」できたら。

 ――もし、本当にもしその権利が俺にあるなら、

 俺だったら迷わずこう答えるだろう。


「その契約乗った! 俺は行くぜ、異世界へ!!」


 大声で、子供のように。

 

「了解したよ。じゃあ最後に君の名前を聞いておこうか」


「俺は夕。一色夕だ!」


 誇らしげに、堂々と。


「契約完了っ! ではでは素敵な異世界の旅を!」

 

                  ブツンッ。

 ―――そこで俺の意識は途絶えた。 

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