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はじまるよ!

この物語は三人称形式でかかせていただきました。

よろしくおねがいいたします

世の中には、人間に見えるものと見えないものが存在する。

それは悪魔や幽霊や妖怪、はたまた神様かもしれない。

もし、人である貴方がそれらを見えてしまう側の人間だった場合、

目を背けるか、受け止めるのか、もしくは偶然と思うのか、必然だと思うのか・・・。



さて・・・貴方はどちら側の人間ですか・・・?




少しづつ秋の風を感じる様になった9月末にそれは起こった。


午前7時頃、世間では平凡な朝が始まろうとしていた。

しかし、この辺り周辺で一軒だけ朝から怒鳴り声が飛び交っていた。


「親父!早朝から話があるって言うから聞いてれば、いきなり雪女の娘と結婚しろとはどういう了見だ!」


「ばかやろう!俺様はこの家の大黒柱だ!死ぬわけには行かんだろ!」


大樹とその父親大作はお互いに睨みあい、取っ組み合い寸前まで来ていた。


大樹は短髪で世間一般で言えばイケメンと言えるだろう。

しかし、意地っ張りな性格と悪運が強いせいか人にあまり好かれやすいタイプではなかった。

大樹の父もまた同じような性格だった。その為、しばしぶつかり合う事はあった。


「大事な一人息子を生贄に差し出す親が何処にいる!?」

「生贄じゃねえ!俺の命と引き換えだったんだ!」


朝食が並ぶ食卓を挟んで父と子は火花を散らす。

そこへ母親の夏帆子が口を挟む。


「大樹もお父さんも止めてください。朝食が美味しくなくなりますよ」

「いや、でも母さん・・・」

夏帆子の言葉に大作は口答えをするも、睨まれて体を小さくさせる。

それを見て大樹はいい気味とばかりに笑うと、大樹も母に睨まれ小さくなった。


大樹の母の名前は松浦夏帆子。

松浦家の裏大黒柱なのは言うまでもなく、

自分のルールを大作や大樹に犯されるとかなり怖い。

夏帆子は気付いていないが、自分の機嫌は顔に出やすいタイプだった。


朝食を食べ始めてから大樹が学校へ行くまで、家の中は険悪な雰囲気で静まり返っていた。

大樹が学校へ行く為家を出た後、大作は自分の着替えを手伝う夏帆子に詰め寄る。

「母さんあれは・・・」


「お父さん、いい加減にしないと怒りますよ?

お父さんもお父さんです。

雪山で遭難して助けてもらう事を引き換えに、

息子と雪女の娘さんとの婚約を決めるだなんて」


「でも母さん、大黒柱いないと困るだろ?」


「困るに決まってるでしょ?大樹はまだ高校2年生なんですから。ローンもあるし。

それに、どう見ても遭難したお父さんが悪いですよ」


母の言葉に父はうな垂れた。

「はぁ・・・だよな・・・」

頭を下げながら玄関へ向かう大作。

そんな大作を見て夏帆子は、気持ちを切り替えるかのように一息つく。


「お父さん。そんなに落ち込まないでください。

悪気は無いんですから、大樹だってわかってくれますよ」

夏帆子は励ますと同時に肩をポンと叩いた。


大作は夏帆子の励ましで少し笑顔を見せた。

「そうだな。大樹は俺達の息子だし。わかってくれるだろう」

「ええ。」

大作と夏帆子は息子を信じお互いに笑顔を見せた。


大作は会社に向けて大きな一歩を踏み出した。

が、・・・・。


「それじゃ今日の夜、手はず通りユキさんの歓迎会ね。いってらっしゃい」

夏帆子の言葉に大作は何も言わず大きな一歩を踏み外し派手に転んだ。

大作はすぐに起き上がり声をあげた。


「え?え〜〜〜!?母さん、それは初耳だぞ?!」

大作は振り返り夏帆子の顔を見つめる。

「そうだったかしら?ユキさんのお母さんから数日前に電話があったのよ。

今日から転校してくるんですって。娘をよろしくお願いしますって言ってたわ」


夏帆子は平気な顔をして淡々と喋り続ける。


大作はこの時思った。

母さんは雪女と住む事がどういう事態を引き起こすかを全くわかっていない。

そして、大樹が怒る顔が想像できた。


大作は一人肩を落として小さな一歩を踏み出した。





一方登校中の大樹は歩きながら一人道端でぼやいていた。

「結婚って・・。俺はまだ17歳だぞ。結婚は法律が許さないはず。

それに俺には・・・」

大樹はクラスメイトのある女生徒を思い浮かべていた。


そんな時後方から大樹に向かって声がかけられる。

「おーい、大樹〜!」

大樹が後ろを振り返ると親友のすぐるが走ってきていた。


卓は大樹の幼馴染であり親友。勉学は学校のテストで毎回中の中を維持している。

大樹よりは成績が良い。


卓は全力で走ってきたのか大樹の傍へ来ると呼吸を整え始めた。

「卓そんなに全力でどうしたよ?」

「どうしたって、さっきから何回も呼んでるのに反応しねえんだもんよ。駆け寄るしかねえべ」

「そ、そうか?悪い、気付かなかったみたいだ」

「だろうな」

大樹は卓の呼吸が落ち着くと一緒に登校を始めた。

「何かあったべ?」

卓の問いかけが大樹は朝の事を再度思い出す。

「何かあったってもんじゃねえぜ?

今朝俺に婚約者ができた・・・という事実が発覚した・・」


いきなりの発言に卓は噴出した。

そして、卓は驚愕の表情で大樹を見つめる。

「いやいやいや、話が読めねえべ!?」

「俺も読めねえよ」

卓の質問に大樹も即答する。


「えっと・・・順序よく説明してくんねえか?」

「俺も謎な部分あるが、良いか?」

「あ、ああ。」

大樹は今朝の事を思い出すかのように口を開いた。





大樹が17歳の誕生日を迎えた今朝。

目覚まし時計より少し早めに大樹は大作に揺すり起される。

「大樹、誕生日おめでとう。大樹に大事な話がある。少し早いが居間へ来てくれないか?」

「一体なんだよ・・・。誕生日位ゆっくり寝かせろよ・・・」

「誕生日だからこその話なんだ」

やけにしつこい大作に負け、大樹はゆっくりと体を起し1階の居間へ向かう。

大樹が欠伸をしながら居間へ入ると、パジャマ姿の大作が何か思い詰めたような表情で椅子に座っていた。


「まあ、座れ」

「ん?ああ。」


真剣な表情の大作に大樹も少し眠気が引いてきた。

夏帆子は二人の会話を邪魔せず朝食作りに没頭している。


大作は心の準備ができたのか、口を開いた。


「2月頃に俺が登山をしたのを覚えているか?」

「ああ。親父が遭難してニュースに乗った程だからな。覚えてる。

それがどうかしたのか?」

大作は一つ一つ確認するかの様に言葉を紡ぐ。


「その時の事なんだが、猛吹雪で登山仲間とはぐれ俺は一人5日程遭難した。

死ぬだろうと思った。

だが、俺は雪女と出会ったんだ。

雪女はこう言った。”童の頼みを一つ聞いてくれるのならば命を助けよう”とな。

俺には守るべき家族がいる!絶対に死ねない!背に腹は変えられないと思ったんだ」


大樹は大作の話を上の空で聞いていた。

どうせまた作り話か何かだろうと。


大作はそれでも話を真剣に続ける。


「"俺は生きたい!どうしても生きて帰りたいんだ!”そう言うと、

雪女は口元に笑みを作り俺を山の麓まで運んでくれた。

雪女は麓で俺にこう言った。”童の娘とそなたの息子を結婚させてほしい”とな。


その時に、証拠として撮った写真がこれだ。」


そう言うと、大作は数枚の写真をテーブルの上に並べた。


大樹はその写真をみて驚愕する。

山々を背景に大作と真っ白なオバケの様な者が握手をしていたからだ。

大樹は次の写真を見る。

大作は白いオバケと肩を組んでピースをしていた。

大樹は一瞬固まった。


「おい、親父・・・。この白い煙っていうか・・・オバケは何だ?」

「ん?それ雪女だ」

「雪女?ちげーだろ!ただのオバケじゃねえか!

それで・・・その雪女とどんな話がついたんだって?」


大樹の心には怒りが沸々と沸きあがり始めていた。


「そりゃあ、ギブ&テイクさ。”わかりました。結婚させましょう”って返事したさ。

背に腹は変えられんだろ?」


大作は極当たり前のように問い返してきた。


これが松浦大樹17歳を迎えた早朝の出来事だった。






今後ともよろしくお願いいたします


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