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Chaos Blood  作者: 水々火々
第一章 商業都市ブルドオムス編
6/18

第五話 ギルド登録

 この物語はフィクションです。

 この物語の舞台はこの世界とよく似た別の世界であり、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家、領域その他固有名称で特定される全てのものとは、名称が同一であっても何の関係もありません。

『何故この子は、町に災厄を持ち込むんだ』

『気持ちの悪い子だ。ここには来ないでくれ』

『お前の母も父も普通の人間なのに、お前は……化物だ』

 暗闇の中で一人の男を侮蔑する言葉は止むことがない。

 老若男女ろうにゃくなんにょ問わず、誰もが言葉の裏に彼の死を望んでいる。

 生まれてからずっと言われ続けている言葉なだけに男を縛る呪いとなって、彼が生きている限り永遠に消えることのない重石おもしとなる。

 しばらくの間、永遠とも続く怨嗟の声を無言で聞いていたが、ふと新しく聞こえてきた声に男は怯えるように反応した。

 この空間では寒いと感じることもないのに、身体が震えるのを止めない。


『皆さん、待ってください』

 やめろ。

『この子は人とは違うのだから、仕方がありません。皆さんで彼を人にしてあげましょう』

 やめてくれ。

『さぁ、一日一回その想いを込めて、彼から獣を追い出すのです』

 やめてください。

『その想いが強ければ強いほど、痛みを伴うかもしれませんが、彼の為なんです』

 ごめんなさい。

『では、始めましょう――』

 ごめんなさい、もうやめてください。


『醜悪な魂をその肉体に宿した哀れな子、そして愛しい我が子――オウカ。

 今日も苦しまずに眠れるといいですね』




 ※※※※※※※※※※※※※※※※




 ガバッ――


「ハァハァハァッ! ゲホッ……グ、ゲホッゲホッ…………」

 上半身を勢いよく起こし、オウカは目覚めた。荒い呼吸とそれを抑えようとした反動で咳き込み、再度呼吸が乱れる。

 この時季の朝はまだ肌寒いというのに、彼の全身は汗で濡れていた。

 暫くしてようやく呼吸を整えることの出来たオウカは、小窓に腰掛ける少女に気付いた。

 彼にしては珍しく、これだけ近くにいるのに気付くことが出来なかった。別に少女が気配を消していたというわけではない。それだけ、彼は冷静さを欠いていた。

「主よ、もう大丈夫か?」

 白い簡素な寝巻き姿の少女は表情を動かさずに問いかけた。

「ああ、大丈夫だ。しかし、急に咳き込むとか風邪でもひいたかな」

 はぐらかすようにオウカは自分の喉を撫でたが、少女は否定する。

「そうではない。シィーアが言いたいことを主は理解しているはずじゃ」

 小窓に腰掛ける少女――シィーアは漆黒の瞳でオウカを見つめる。優しい朝日が小窓から入り込み、雪のように白い肌をした華奢な身体と、それに反比例するような鴉の濡れ羽色の髪をしたシィーアを優しく包み込んでいた。

 神々しくも、どこか儚く感じさせる一枚絵。

 きっとシィーアは心に巣食う深い闇を聞いてくれるだろう。それがどれ程醜悪で、嫌悪を促すものだとしても、彼女は何も言わずに無条件で聞いてくれるだろう。

 それでも、オウカは拒絶した。

「……もう大丈夫だ。心配するな」

「了解した」

 あっさりと彼女はその意味を理解し、頷いた。

 小窓から床へ降りて、シィーアはベッドに近づきオウカの目の前に立つと頬を膨らませた。

 見た目で言うとシィーアは異国の美少女といった容姿をしている。その少女が頬を無表情で頬を膨らませているのは、何というか微笑ましいものがある。

「どうした? さっきのことで不満があるのか?」

「先程のことはもうよい。主が話したくないことを無理に聞いても仕方がないじゃろ。

 シィーアが怒っているのは別のことじゃ」

 別のことと言われ、オウカが思いつくのは昨日の出来事だ。もっとも昨日初めて会ったのだから、それ以外に思いつくものはないし、話題が変わるのは好ましいことだ。

「すまん、初めから箸は難易度が高かったな」

「違うわ、馬鹿者」

 ポコっと頭を叩かれる。それにしてもこのシィーアという少女、こちらを主と呼んでいるが全然敬う気持ちが感じられない。何を基準に主と呼ぶのか今度じっくりと話し合う必要がありそうだ。

「すまん、分からん」

「……うのことじゃ」

「え? 聞こえなかったからもう一度頼む」

 非常に小さな声でシィーアは答えを提示したが、普段は闊達かったつではきはきした物言いの彼女にしてはあまりにも小さな声にオウカは聞き返した。

「ふ……」

「ふ?」

「服装のことじゃ! 主よ、シィーアをたばかったであろう!」

 顔を真っ赤にして少女はこちらを少し涙目にこちらを睨んでいる。

 初めて見る表情にオウカは、シィーアも人として生きていることを改めて実感した。彼女は元々、オウカが魔物の結晶と神木を依り代に即席で顕現した式神であったが、何の因果か人間に転生した。そう昨日の話では聞いていたが、完全に信じる要素としては薄かったのだが、こうも感情の発露が顕著であれば信じざるを得ない。

「いや、俺は嘘を教えたつもりはなかったんだが」

「いいや、主はシィーアに嘘をついたのじゃ! 就寝前に娘たちが湯浴みをすると言うて、我の目の前でその衣類を脱ぎだした際の驚愕と、あろうことかその後シィーアを……」

 尻すぼみになったシィーアの説明にオウカは合点がいった。確かに服装について教えたときに、人前では裸になってはいけないといった話をしたような気がする。しかし、それにしては昨晩の夕食時に彼女はオウカをからかってか積極的に脱ごうとしていたような気がしないでもない。

「でも、シィーアは夕食のときも脱ごうとしてなかったか?」

「あ、あのときは主の初心うぶな姿が……っ、乙女の秘密じゃ!」

 に乙女とは複雑怪奇なものだとオウカは納得することにした。

「それよりも先程の話よ! 娘たちに本当のことと、他にも世情のことを聞いたからよいものを、あのまま勘違いしたままではシィーアが恥をかいたであろう!」

 正直な話、オウカと初めて会ったときの彼女の姿を考えると些細なものだと思うのだが、そこは言わないほうがいいのだろう。シィーアは乙女なのだ。

「でも、俺が言ったこと間違いではなかっただろ?」

「間違いではないことと、正しいことは大きな違いじゃっ。あのときのことを思い出すと今でもはらわたが煮えくり返りそうになる……」

「だったら昨日来ればよかったんじゃないのか? シィーアなら俺が起きていたこと分かっていただろ?」

「シィーアもそう思ったんじゃが、娘たちが夜に殿方の寝所に入ることを拒んだのよ。我としては主は既に認めている雄故にそうなっても構わんというのに」

 シィーアの雰囲気が落ち着くのは有難いことだが、昨日に続いてこの爆弾発言は非常に困る。きっと人になったばかりだから常識が足りないのだと、オウカは他人事のように己を落ち着かせた。

「ま、まぁ、男の部屋に夜一人で来るのはあまりよくないな。そこら辺もミレットたちに聞いておいた方がいいだろう」

「そこら辺とは交尾のことか?」

「ぶッ!?」

 今何と言った? 聞き違いか? きっと聞き違いだろうと、オウカが無理やり流そうとしているところをシィーアは更に追撃する。ベッドに腰掛けているオウカの領域へ片ひざから侵入する彼女の瞳はうっとりと艶を帯びていた。

「それなら知っておる。シィーアも元は獣の女王よ。しかし、あそこには我よりも強い雄がおらんかったから誰も寄せ付けんかったがな。その点、主は合格じゃ!

 じゃから、シィーアも安心して初め」

「ちょっと待ちなさい! シィーア、あんた何言ってんのよ!」

 バーンと、大きな音をたてて扉が開き、ミレットが慌しく部屋の中に入ってきた。顔が赤いことから、たぶん扉の前で二人の会話を盗み聞きしていたのだろう。

 しかし、絶妙のタイミングである。それ自体、決して褒められたことではないが、オウカとしては助かったという思いが強かった。

「なんじゃ娘。シィーアと主の時間を邪魔しようとは、魔物に蹴られてなんとやらじゃぞ?」

「何が邪魔しようとよ! あんたオウカに昨日のことを謝らせるって言ってたから部屋に入ること認めたのに、それが何でこんなことになってんのよっ!」

 こいつが朝から部屋にいたのはそういうことか、とオウカは理解した。確かに昨日の夜、シィーアがオウカと一緒に寝ると言って一悶着があったが、そのときは彼女もフォウント姉妹の説得で納得していたはずだった。朝だからといって、オウカが寝ている部屋に無断で入ることは彼女の流儀に反することに違いない。つまり、姉妹のうち誰かがオウカの部屋に入ることを許可したことになる。

 シィーアは悠然とオウカに背中を預けて、ミレットに微笑む。これがミレットやイリアだったらオウカも慌てただろうが、如何せん相手はシィーアである。幼い容姿では彼にとってじゃれているとしか認識されなかった。

「強い雄と一緒にいればこのようなことにもなろう。仕方がないことじゃ」

「なっ! この破廉恥お子様はっ!」

「は、破廉恥じゃと! お子様じゃと!? 言っておくがな、シィーアはお主たちよりもずっと年上じゃぞっ!」

「そうは全っ…………然、見えないわよ! もしそれがそうだとしても経験もないんじゃ、あんた耳年増みみどしまもいいとこじゃない」

「言ってはならんことを言いおったなっ! 娘っ、だったらお主も耳年増じゃっ! お主からは生娘あちゃっ」

 言葉の途中でシィーアは頭を痛そうに両手で押さえる。それを行ったのはもちろんオウカだ。彼は半眼でシィーアとミレットの二人を見ていた。

「……お前ら、朝からうるさい」

「ごめんなさい……」

「うぅ、申し訳ない……」

 先程までの姦しいやり取りはオウカの一言と一撃で、気まずい雰囲気になった。その空気を払拭するようにオウカはミレットに確認した。

「ミレット、イリアはまだいるか?」

「え、お姉ちゃんはもう仕事に行ってるけど、何か用事でもあった?」

 仕事ということはギルドにはもう出社しているということか。昨日は有耶無耶になってしまい、結局のところ開拓者の登録は出来なかったし、予定通り今日は登録を済ませてしまおうとオウカは決めた。

「ああ、開拓者の登録がまだだったから、それでな」

「だったら朝食が終わったら行きましょうよっ」

「そのつもりだ」

「それにわたしとダブルスの登録もしなきゃいけないし、そうと決まったら早く朝食にしましょ!」

 そういえばそんなこと言ってたな、とオウカは今更ながら思い出したが、ミレットの表情が何だか嬉しそうであるため、敢てそれは言わなかった。

「……少し待つがよい。そのだぶるすとはなんじゃ?」

 不思議そうにシィーアは尋ねた。彼女が普通通りに話すのであまり気にしていなかったが、やはり元が魔物であるゆえ昨今の人の常識を知らないことも多いのだろう。

「ダブルスっていうのは、パーティになるほどの人数じゃないけど二人で協力して一つのことに取り組むことを言うのよ」

「それならば、だぶるすと称するのは間違いではないか」

「どういうこと?」

「シィーアと主はだぶるすじゃからのぅ。お主が加わるとすれば、三人になる」

「え、あんたもしかしてわたしたちと一緒に行動するつもり?」

 ミレットは驚いたようにきょとんとした顔のシィーアに確認する。もっとも、ミレットが驚くのも無理はない。オウカのように気配に鋭敏な人間でなければ、シィーアは見た目少女と言っていい容姿をしているのだから心配するのも当然でもある。

 しかし、その実は元シンフルベアの女王。今でも強靭な肉体と精神力、そしてオウカには劣るだろうが並みの開拓者では足元にも及ばぬ程の圧倒的な戦闘能力を有しているはずなのだ。

「まったく、娘の目は節穴か? シィーアほど主の相方に相応しい者は他においておるまいに」

「いや、いやいやいや。ちょっと待って、もし仮に行動するとしても、シィーアはその、魔物と戦えるの? それにどうやって戦うのよ?」

「無論じゃ。あの中では弱肉強食、強いものが生き、弱いものは死ぬ。それこそが日常よ。

 あと戦い方に関してじゃが、ここで見せてもよいが、多分この場は崩れるぞ。それでもよいのなら見せてやらんこともないがの?」

「ん~……シィーアはそう言ってるけど、オウカはどう思ってんの?」

 自分では決められないとばかりにミレットはオウカへ判断を委ねた。彼女としてはシィーアのことを心配して止めようとしたのだが、当の本人は自信満々といった風だったので現在保護者に近いオウカに意見を聞いてみようといったところだった。

 オウカとしても答えは決まっていた。

「シィーアは間違いなく強いから、足手まといにはならないさ。シィーアも分かったな? ミレットは俺らの仲間だ」

「了承した」

「そう、なら決まりね。よろしくね、シィーア。ふふふ」

「よかろう。娘よ、こちらからも宜しく頼む。ふふふ」

 オウカが見守る中、ミレットとシィーアの二人は握手を交わし、お互いに仲間としての認識を確かめ合う。不敵な笑みを浮かべて見詰め合う二人を見ながらオウカは、この先にもきっと色々ありそうだが退屈しないということは間違いないだろう、と知らないうちに微笑んでいた。

 その後は三人でイリアの作り置きしてくれた朝食をいただき、昼前にはギルドに向かうことが出来た。



 ギルドの待ち受け場所では昨日に比べて多くの開拓者が集まっていた。おそらく昨日のことから、封印区域の現状を確認するための依頼や門周辺の魔物の討伐といった依頼が更新されているのだろう。

 そんな中、オウカたちは昨日と同じ部屋にて待機していた。

 理由は二つある。一つは現在開拓者の出入りが多いため、時間のかかってしまう登録関連は別室にて対応するようになっていることと、もう一つは昨日のことでどこかから情報が漏れてしまったための措置でもある。もっとも、開拓者や他のギルド職員たちも正確なことは知らない。だが、昨日の負傷したパーティーをオウカたちが搬送したことから、何かがあってそれを知っているということだけでも重要なのだ。

 情報は力でもある。それだけに彼らの知っている事実を皆が知りたがったが、これには情報規制が働いた。ゴルディエス・ハーグラン率いるこの都市の警備隊から後日正式に発表するまで当事者たちへの無闇な干渉を禁ずるというもので、この場の騒ぎを鎮火せたのであった。しかしながら、好奇心は猫を殺すだけあって、露骨には動かないながらもこそこそこちらを窺う視線の中では落ち着けないのも確かだ。

 ギルドに出社していたイリアはそういった事態を考慮して、オウカたちが現れると同時にこの部屋へ案内したのだった。

 しばらくの間、オウカたちがお茶などを飲んで時間を潰していると、扉を叩く音と共にイリアが戻ってきた。彼女の手には何枚かの書類と、頑丈な素材で作られた鈍色のトランクケースが握られていた。

「ごめんなさいね。待たせたかしら」

 イリアはそう言うとオウカたちの対面にあるソファに座り、彼らの間に置いてある長机に書類を並べた。

 書類は三枚あり、開拓者の心得などが記載されている文面のものが二枚と、もう一枚が封印区域で行動する際のメンバー登録に関する書類のようだ。

「結果から言うわね。オウカ・ライゼス、あなたは本日からギルドの開拓者に登録されました。また同様にシィーアも開拓者として登録を受理されました」

 付け加えて彼女は、「シィーアちゃんは身元が身元だし、あなたの妹として登録しておいたわ」と言った。つまりギルドでの登録名称でシィーアは、シィーア・ライゼスということになる。

 何故、シィーアも開拓者として登録しているかというと、今後封印区域に入る際、その方が都合がいいからである。もっとも、その話をしたときのイリアの反応は今朝の一件を思い出させるものであったが、無事登録出来たようだ。



 ここで補足となるが、この世界に於いて戸籍や住民票といった個人を証明する物はただの紙切れと同然に近い形で扱われている。

 理由としてはやはり千年前に起きた大災害が原因であることは間違いない。あの時代に何処で誰が住んでいるのかということは無価値であり、それを証明するくらいなら他にやるべき事があまりに多くあった。そして死ぬ者も、行方不明になる者も数え切れないほど増えるために、戸籍や住民票を登録しても無意味に終わるというのが拍車をかけた。

 千年後の今日になっても、その風潮は変わることがない。何故なら、人々にとって門という柵で猛獣を捕らえても、その猛獣がいつ飛び出して襲い掛かってくるのか不明であり、都市以外に住む人間の数も定かではないために自然とそうなってしまったのだった。

 閑話休題――



 オウカとしてはシィーアが別段妹という立場になるのは問題なかったが、彼女はそうではなかったらしい。

「何故妹なのじゃ? シィーアの立場から妻という言葉がお主らの世界では一般的ではないのか?」

 シィーアとしてはいつもの調子で言ったのだろうが、この単語に敏感に反応したのは意外にも多くの男性ファンを持つイリアだった。

 もっとも彼女としてはそのファンたちに興味はなく、自分たちの生活に問題を起こさない限り干渉しようという気さえ無い。

 簡潔に言えば、ビジネスライク。つまり、彼らファンたちはイリアに見向きもされていないのが現状であるが、彼らも彼らで諦めきれない思いがある。別にイリアは彼らが嫌いなわけでもない。ただ、本当に一度の生涯を捧げられる人と結びたいのだ。

 結果、イリアは結婚という多くの女性が一度は夢見る晴れ舞台に近いようでいて、無縁の遠い人生を送っているのであった。

 だからこそ、イリアにはイリアの一家言がある。

「シィーアちゃん、はっきり言いますが妻とはいくつもの苦難に立ち向かい、そして勝ち取った者が名乗っていい称号です。それを貴女は軽々しく言うのですから、余程の自信があるのですね? 無いのであれば、貴女は妹という立場すら身に余るものです。実際のところ、シィーアちゃんは妻になるための努力をしているのですか?

 朝早く起きて朝食の準備をし、夫が快適に仕事に出かけられるように着替えの用意や体調管理もしっかり把握する。そして、夫がいない間は家の掃除や洗濯を行い常に住み心地のいい、どうしても帰ってきたくなる環境にすることが必要最低限に求められる技巧です。

 また、夫に尽くすだけが愛情ではありません。時に厳しく、お互いが研磨できる存在であることが重要なのです。特に」

「お姉ちゃん、話が脱線してるよっ」

 イリアの怒涛の言葉攻めは、妹の強引な割り込みによって中断された。結婚や夫婦といった単語はイリアにとって鬼門であると、オウカは心のメモ帳に注意書きとして記入した。彼女は彼女で苦労しているのであろう。

 そんな舌鋒を振るったイリアはというと、今更ながら羞恥心が沸いたのか頬を赤くしていた。彼女は座を取り成すように、コホンと咳払いをして茫然としているシィーアに告げた。

「ということで、シィーアちゃんは妹なのです。分かりましたね?」

「う、うむ、心得た」

 イリアの論法に気圧されたのか、シィーアは反論すら出来ず頷くしかなかった。オウカとしてはここまで話が広がるとは思わなかったが、とりあえずこの場は治まったようだ。

「すみません、話が逸れてしまいましたね。先程の続きですが、オウカとシィーアちゃんの開拓者への登録は既に行っていますので、後は最後の登録を行うだけです」

 イリアはそう言うと脇に置いていたトランクケースから握り拳くらいの小さな箱を二つ取り出した。見た目はただの箱にしか見えないが、ここでそれを出すということは登録に必要な物であるに違いない。

 イリアはオウカたちが見ている中、その箱の蓋を開いた。箱の中は円形の窪みがあり、その中心に針が設置された造りになっていた。一見すると、方位磁石に近い形状をしているが針の浮きが無いため、その用途は不明である。

「これはギルドに登録いただいた方々には必ず登録していただいていることなので心配はありませんよ。

 ギルドでは生位磁石といって、開拓者の位置を把握するための装置となっています。正確な場所やその人の行動までは分かりませんが、登録された開拓者の位置でしたらこの装置で確認出来るようになっています」

 要は開拓者という強力な力を得た人物が問題を起こせば、この生位磁石という装置で追跡することが出来ると思っていいだろうとオウカは理解したが、実際に悪い方面だけで捉える必要はない。

 ギルドでの通常の用途としては、封印区域やそれ以外の場所で開拓者が遭難などの事態に陥った場合、この装置を持った捜索者がナビ代わりに使用して要救助者を早期の段階で発見することが目的となっている。

 唯一のデメリットは死体には反応しないことである。この装置は言葉の通り、生命力に反応するようになっているため、肉体が生命活動を停止する、つまり開拓者が死亡した時点で生位磁石の針は動かなくなり、その機能を停止する。

 これらの説明をイリアは慣れた様子で、滑らかに分かり易く話してくれた。

 オウカとシィーアの二人はイリアの説明を聞くと興味深げに箱を手にとって眺めた。

「この箱が、そんな便利な機能を搭載しているとはね」

「確かに不思議じゃのぅ」

「で、これはどうやって登録するんだ?」

 オウカの疑問を先読みしてか、イリアは既に登録用の機材である注射器をトランクから取り出していた。注射器は二本あり、オウカとシィーアの分であることが分かる。

「これで採血させていただきまして、それをこの窪みに移します。採血させていただく量も少量の三ミリリットルになりますので問題は無いと思いますが、体調が優れなければ先に言っておいてくださいね」

 イリアは丁寧に教えてくれているのだが、オウカの耳には届いていなかった。

(今、採血と言ったか……?)

 オウカは以前、住んでいた村で初老の男性開拓者に出会ったことがある。そのときに彼からどうやったら開拓者になれるのかなど色々と尋ねたことがあったが、そのときでさえ生位磁石や採血が必要といった話は出てこなかった。

 冷静になれば情報秘匿のために老人が話せなかったということが理解できるのだが、今の彼にはそう考えることも出来ない状態にあった。

「……それは必須なのか?」

 なるべく不自然でないように心掛けながら、オウカは質問した。本音を言うと、必須でないことを願った。

 しかしながら、イリアの答えはオウカの希望を打ち砕くものであった。

「そうですね。基本、開拓者になるのは簡単ですが、その管理に関しては非常に難しいものとなっていますので、これは必須となっています」

「……分かった」

 努めて平坦な声で了承を示したお陰か、イリアは特に気にするでもなく着々と準備を進めている。トランクケースにはこの登録に必要な一式が用意されているらしく、中から酒精綿の入った容器や駆血帯などを取り出して長机の上に広げている。

「では、オウカから採血をさせていただきますね。書類ではA型と記入されていましたが、間違いありませんね?」

「ああ」

 必要最低限の返事でオウカが答えると、イリアは「では、右腕をまくってこちらに出してください」と指示した。

 素直に応じるオウカだが、彼との付き合いが長い者がいたら疑問に思っただろう。何故、彼はこうも余裕がないのか、と。

 だが、ここには昨日初めて会ったばかりのミレットとイリア、そしてシィーアの三人しかいない。そのため、誰もオウカの変化に気付くものはいなかった。

 イリアはオウカに採血をする手順としてアルコールの過敏反応の有無を確認した後、右腕を駆血帯で巻いて浮き上がった静脈を確認した。目的の血管が見つかったのか、イリアはその周囲を酒精綿で丁寧に拭いて、用意していた注射器の針を押し当てた。

「すみません、腕の力を抜いてもらっていいですか?」

 オウカの腕に当てた針が通らないのである。困ったイリアはオウカにリラックスするようにお願いするが、一向に針は通らないままその役目を遂げる前に折れてしまった。

「あの、オウカ……」

「……すまない、緊張しているようだ」

 平静を取り繕っていたオウカは、自分の身体が無意識の内に拒否反応を示していたことに今更ながら気付いた。

 握り締めていた拳を開くと、掌が汗で湿っていた。

 今の自分は冷静でないとイリアの表情を見て、やっと客観的に認めることが出来た。

「緊張、ですか。もしかして体調が優れませんか? そうでしたら日を改めて登録することも出来ますが」

「いや、少しだけ待ってくれないか? そうすれば大丈夫だから」

「……分かりました。でも無理なら、声をかけてくださいね」

 イリアの思いやる気持ちがオウカには優しく響き、少しだけ緊張がほぐれるのを感じた。

 瞑目し、オウカは静かに呼吸する。そして、自分の中の心と対話する。

(イリアが俺の血を求めるのは、普通のことだ。ギルドの登録のために必要なだけで、他意はない。今朝見た夢も関係ない……)

 まるで自分に言い聞かせるようにオウカは繰り返す。



 瞳を閉じたオウカを見つめながら、イリアは動揺していた。

 彼女にとってオウカとは理想の強者でもあった。その彼が、緊張していると言った。

 あのシンフルベアの群れを圧倒的な力で殲滅した青年が、たかが注射針で怯えているとは信じたくもない事実だった。こんな情けない青年の姿を見たくも無かった。

 それ故に、裏切られたという思いが心の底から沸いてくるのを感じる。激情が涙腺にも及んだのか、視界が滲んでゆく。

 ミレットにしては本当に珍しい負の感情を制御できず、思わずオウカに掴みかかろうとしたところで、自分の腕を掴む小さな手に気付いた。

「娘よ、ただ聞くだけでよい」

 ミレットだけに聞かせるためか、シィーアの声は小さく、そして厳かな響きをしていた。

「主は、オウカは複雑な過去を持っておる。それ故に、このような姿を見せることもあろう。実に情けなく、見ていて不愉快な姿であろうよ。

 しかし、それは彼の一面にしか過ぎぬ。我らと戦ったときの勇猛な姿もあれば、お主らと戯れる姿も然りじゃ」

「何であんたに、そんなことが言えるのよ」

 心を荒れ狂う感情はまだ収まらないが、ミレットはシィーアに話の先を促した。

 対するシィーアは微苦笑をすると、逆にミレットに問いを投げかけた。

「何故我に分からぬと決め付ける。我は誰ぞ?」

「……シィーアでしょ?」

「そう、我はシィーアと名付けられた魔人じゃ。元が魔物であれ、今は主に生命を受け、転生する機会をいただいた従者じゃ。

 生命を受けるとは、その与える者の記憶を受け取るのと同じ行為でもある。それ故に、我にも主の記憶が入っている。それは僅かなものだが、我には重いものよ。

 娘よ、オウカ・ライゼスという者の歩いてきた道は一言で表せば、生き地獄よ。

 お主は生まれてこのかた、回避できぬほどの不遇に見舞われたことはあるのか?」

 滔々と話すシィーアの言葉に、ミレットは口が利けなかった。

 あの無類の力を振るった青年が、そのような過去を背負っているとは考えてもみなかった。

 オウカの力があれば、どんな苦難も逆境も軽く乗り越えられると高をくくり、ミレットの理想像を押し付けていただけなのかもしれない。だから、今のオウカを見て、勝手に裏切られたと思ってしまった。情けない話ではあるが、それが事実だ。

 頭と心を支配していた激情はとうに失せていた。

「……わたしには人並み程度のことしかない。それも些細なものよ。

 それで、オウカの過去って一体どういうものだったの?」

 冷静になったミレットはシィーアに続きを求めたが、彼女は首を横に振った。

「ここまで言うたのは、我のお節介よ。真に迫る話をするのは本人にしか許されぬ行為じゃのぅ」

 確かにその通りである。人から聞いた話では、その細かい感情は伝わってこない。

(拒絶されるかもしれないけど、今度聞いてみよう)

 ミレットは瞑目するオウカを、見守るようにただ見つめるのであった。



 深呼吸をしてゆっくりと目を開ける。

 目の前にはオウカを案ずるイリアが、黙してそこにいた。

 瞑目していたオウカにとってこの時間は必要だった。きっと彼女には聞きたいこともあっただろうが、それを黙って待っていてくれたのは素直に有難かった。

「ありがとう。もう大丈夫だから、続きを頼む」

「分かりました」

 イリアは長机に置いてあったもう一本の注射器を手に取って、オウカの右腕の静脈に再び当てる。

 一瞬、針は抵抗を覚えたがそれだけで、後はスッと静脈に入っていった。慎重にオウカから血液を抜き取るイリアの表情は真剣そのもの。

 先程のことが嘘のように採血はあっさりと完了した。その後の処置として、イリアは清潔なガーゼで針の刺さっている場所を押さえながら針を抜き、オウカにその場所を五分ほど押さえておくことを指示する。

 当然の流れとして、イリアは使用した注射器と酒精綿は廃棄用ボックスに入れた。感染症などを防ぐためでもあったが、オウカには自分の血が他の事に使用されないことを確認して安堵した。

 イリアはその間に採血した血液を生位磁石に移して、正常に稼動しているかを確認した。

 生位磁石の表記欄には『オウカ・ライゼス/十八歳/男性/A型』と表示されている。そしてオウカの血で浮き上がった針は、しっかりと彼をしていた。

「無事、オウカの登録は終わりました。これであなたはギルドの正式な開拓者となります」

 登録が終了したことを告げるイリアの声には安堵の色が浮かんでいた。

 彼女には苦労をかけたとオウカは感じながら、深く頭を下げた。

「手間を取らせてすまなかった」

「いいえ、手間だなんてそんなっ。これが私の仕事ですから気にしないでください」

 慌ててオウカに頭を上げるようにお願いするイリアに、オウカは苦笑しながら頭を上げた。

(これは大きな借りができたかもしれないな……)

 イリアは真面目であるため、見えないところで苦労を負っている。

 それはオウカが初めて彼女に会ったときも実感したことだが、改めてイリアに何かあったとき、自分が隠している力を行使してでも助けになろうと決意した。

 その後の登録は順調に進み、シィーアの登録も速やかに終わった。

 現在人に近い肉体構造を持つシィーアの血液は、オウカと同じくA型と判定され、彼の生位磁石と一緒にトランクケースに収納された。

「それでオウカ、昨日いただいた結晶のことなんですが」

 イリアは開いたトランクケースを眺めて、困ったように話を切り出した。

 不審に思いながらもオウカは相槌を打つ。

「ああ、アレか。報酬がどうのって言ってたな」

「ええ、その報酬の件です。あのとき私は門の付近にいる低位の魔物の結晶だと思って安請け合いしてたのですが、今朝出勤して確認したところ、担当の方からオウカの振込先口座を確認するようにと、言伝をお願いされました」

 彼女はトランクケースから一枚の書類とペンを取り出すと、それをオウカが見やすいように置いた。

 内容は今後の報酬支払いに際しての事項がいくつか記載してあった。

「振込先口座って、そんな大げさな。俺は別に少なくても構わないから、手渡しの方が好みなんだが」

 オウカの返答にイリアはやっぱりこの人は、という如何にも呆れた様子で溜め息をついた。

 そんなにシンフルベアという魔物の換金率は低いのだろうか。ミレットたちの話ではあの封印区域の中では強力な魔物という印象を受けていただけに、オウカは自分の財布が一段と軽くなるのを感じた。

 それならば、開拓者の登録条件が魔物の結晶三個だからといって面倒臭がらずに拾えるだけ拾っとけばよかったと、先程の謙虚さも忘れて意気消沈した。

 人間、生きるためには金はどうしても必要なのである。

「オウカのことだから、もしやと思いましたが案の定でしたね。

 昨日、ミレットに詳細を聞きましたが、単独で十匹以上のシンフルベアを倒したそうですね」

 オウカにしてみれば、特別に語る事もなかった部分の話なので「それで?」と、気軽に聞き返す。

 そんなオウカの態度に、イリアの頬が一瞬引き攣ったように見えたのは気のせいではないだろう。

「……実際に持ち込んでいただいた結晶三個を鑑定した結果、全てシンフルベアのものと判定されました。報酬は一個あたり七千ダルになります。今回の報酬は依頼を介していないため、このような金額になりましたが宜しいですか?」

「……いや、あの、何かの間違いだろ?」

「いいえ、オウカのことだからこの報酬額に何か感じることがあるかもしれませんが、依頼が入っていれば通常の価格相場は一個あたり一万ダルを下回ることはありません」

 あまりにもイリアが淡々と言うものだから、思わずオウカは何かの冗談かと思ってしまったが、そうでもないということは彼女の顔を見て分かった。

 あの魔物一匹につき、七千ダルということは、今回の報酬は二万一千ダルということになる。思わぬ高額の報酬にオウカは眩暈を感じそうになった。

「主よ、どうしたのじゃ?」

「どうしたって、な。あまりの金額に少し眩暈が……」

 オウカが戸惑うのも無理はない。一ダルを分かり易いよう日本円に換算すると、百円に相当する。では、二万一千ダルは二百十万円相当の金額ということになる。

 またこの世界の金銭について説明しておくと、一番小さい金額の一セート(十円相当の価値)は青銅を使った直径二センチメートル×厚さ2ミリメートルの薄い円状の形をしている。一ダルは一セートと同じ形状をしているが、素材に白銅を用いたものとなっている。日本円と異なるのは五百円玉という概念がなく、十ダルで一セートを一回り大きくした黄銅貨が使われていることだ。

 更に一万円相当の百ダルは形状も変化し、縦二センチメートル×横四センチメートル×厚み五ミリメートルの端を丸くした長方形の銀貨を用いており、最高額の貨幣として十万円相当ともなる千ダルだと素材が金貨となる。

 つまり今回の報酬金額を全て手渡しとなるとかなりの量と重さになり、この大金に対して及び腰になっているオウカとしては精神衛生上宜しくない。

 二百十万円相当の貨幣――それが不意に目の前に提示されたら誰もが冗談だと思うものである。特にオウカはまだ開拓者になったばかりなのだから、魔物の討伐に関する金額の相場というものをまったくと言っていいほど知らなかった。

 それも依頼を介しての金額ならば一万ダル以上と言うのだから、この業界がどれだけ危険な仕事を扱っているのか分かる。そして、命の危険を冒してまで手にする金額としては、これはこれで適正なのかもしれない。

 もっとも、オウカの無比な力を持ってすれば短期間でこれ以上稼ぐことも可能である。現にイリアとミレットはこの金額自体を当然のものとして扱っている。

「オウカが驚くのも無理はないけど、これも仕事だから報酬はちゃんと受け取ったほうがいいよ。開拓者になると色々と物入りになるわけだし」

「そうですね。ミレットの言う通り、これからはオウカも開拓者です。『ギフト』の追加申請やホームと呼ばれる施設を借りる機会があれば、これ以上の金額が必要となりますので、まずは受け取ってください」

 フォウント姉妹の後押しもあり、オウカは素直にこの報酬を受け取ることにした。オウカ個人の振込先口座を記入し終えると、イリアに渡した。

「確かに受け取りました。では、最後に今後のこの都市での活動はオウカ、ミレット、そしてシィーアちゃんの三人によるメンバー登録で宜しいですね?」

「それで頼む」

「うん、それでお願い」

「うむ、そうなるかのぅ」

 三者三様の返事を受けたイリアは、長机に置いていた最初の用紙にそれぞれの名前の記入をお願いした。

 周りはシィーアが字を書けるのか心配していたが、その心配は杞憂だったようで、彼女は達筆な文字で自分の名前を記入した。

 一体どこからこのような知識を手に入れたかといえば、当然オウカに生命を吹き込まれたときである。彼の記憶を元にシィーアは独自の話し方と文字の読み書きを習得していた。

 全ての書類をトランクケースに入れると、イリアはギルドの職員として最後に餞の言葉を彼らに送った。

「本日を以ってオウカ・ライゼスとシィーア・ライゼスは開拓者となりました。

 私から言えることは少ないですが、これだけは心に留めて置いてください。

 開拓者の本分は『種』の破壊になり、非常に多くの危険を伴うこととなります。道半ばで死んでしまうこともあるかもしれません。

 ですが、まずは生きてください。我々ギルドはあなた方開拓者を、使い捨ての駒のようにして扱う組織ではありません。いつの日か人々が平和に生きられるための支援を行う組織です。

 もちろん、それには我々もそして開拓者も含まれています。

 だから、生きて、少しでも多く生きて、その未来を叶えましょう」

 イリアの言葉には過剰に装飾した美辞麗句はなかった。多分、彼女の本心を言ってくれたのだろう。

 それだけにオウカの深いところまでこの言葉は届いた。それはシィーアにとっても同様で、彼女も真剣な面持ちで受け止めている。

 生きて、自分のやれる事を成そう――オウカは当初の目的と新しい目標を胸に抱いた。

 彼らに伝えたいことを全て伝えたイリアはすっきりした様子で、ミレットに似た明るい笑顔で彼らを見送った。


「いってらっしゃい」


 こうして、オウカ・ライゼスとシィーア・ライゼスは開拓者としての道を歩みだした。




前回のあとがきで一週間くらいの更新と書いてありましたが、早々に破ってしまい申し訳ございません。


いつも読んでいただいている皆様、そして初めて読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。


誤字脱字やご意見・ご感想などございましたら、お気軽にご指導いただければと思います。


※この世界の流通貨幣についてご指摘を受け、詳細を載せることにしました。修正点は後半部分の貨幣の説明についてになります。

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