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一人百物語 2

苦情

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


南野さんは介護施設で働いている。

入所している人たちの中には認知症の症状が出ていて、その症状からおかしな事を言う人もいるが、中には妄想等とは思えない事を言う人も多いという。


以前、南野さんの働く施設の一階個室に、重篤な状態が続いている入所者がいた。

そしてその入所者がいよいよ危ない、という状態になった頃、施設二階に入所している他の入所者が

「ゆうべは白い着物を着た人がたくさん階段を上り下りしてうるさかった」

と苦情を言った。

もちろん、夜に施設内でそんな事をする者はいない。

苦情が出た翌日の朝、危篤状態だった入所者は亡くなった。

すると苦情を言っていた二階の入所者に

「部屋の前をお葬式の行列が通った。誰が死んだんだ?」

とたずねられた。

もちろん施設の廊下を葬列が通るはずもない。

しかもその入所者はほとんど目が見えず、介助なしでは出歩く事も出来ない状態の人だった。


後になってびっくりする様な事はよくあるよ、と南野さんは言っている。




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