エルフ乗りのエルフ〜農業従事者淫魔さん〜
現代日本においてエルフが農業に従事していることは有名な話だけど、他の種族はどうかというと結構まばらだったりする。
例えば、ヒト族は一次産業〜三次産業までまんべんなく従事しているし、ニンギョさんたちは水産業一択。
つまり何が言いたいかというと。
「今日来る専門家の知り合いって、サキュバスの」
「そうだ、サキュバスだ」
農業に従事するサキュバスもいるらしい。
エルフの軽トラを運転するエルフは、窓を空けてプカプカとゲーミングカラーに光る煙をふかした。
「エルフの吐息が、七色に光るときは、激レア吐息の演出なんだ」
「なにがレアなの」
「二酸化炭素ではなく、水素を吐き出す」
「爆発しない?」
「魔法で抑えている。私たちエルフは、タバコを吸うことが魔法を鍛えるんだ」
嘘くせえ。ラジオのニュースでは、全種族の禁煙率が上昇している統計が出たことを、アナウンサーが読上げた。
「まったく嘆かわしい…………これだから、若年エルフはの魔法力は…………」
世を憂うように細く息を吐くエルフ(♀)。今年で22世紀歳(自己申告)らしいから、紛うことなき老害発言だ。
「私たちの頃よりも上昇している」
「してるんかい」
「タバコ程度で鍛えられることなんて、たかが知れてるに決まってるだろ」
そらそうだ。デメリットのほうが大きそうだし。
「第一、レア演出の吐息なんてあるはずがないだろう」
「いっぺんしばいてわからせてやろうか」
あと、信号が青になったから前を向いて運転してほしい。
「それで……サキュバス?」
「そうだ、サキュバス」
「あのサキュバスだよね」
サキュバスである。
実に夢に溢れている。ロマンだった。
興奮する。
「興奮するな童貞」
「童貞ちゃうわ」
嘘じゃない。
「エルフは魂を見れるのだが…………魂の色が童貞」
やかましい。
「サキュバスというより、淫魔族は一次産業においては非常に優秀ということは知っているか」
「繁殖やら交配やらその辺で便利なんだよね」
「そうだ。まあつまり、めちゃめちゃ専門職なわけだ」
最近では、公務員の専門職枠として淫魔の採用も増えているらしい。水産庁とか、保健所もいるらしい。
「パンダ保護における救性主だそうだ」
「あー」
そりゃ、長けてるわなあ。
目的地の道の駅についた。
「うっふーんサキュバスよ~ん♡じゅっふーん♡しろかき♡まびき♡すいこうさいばい♡」
隣を歩くエルフをみつめた。
「なにあれ」
「ほれ、童貞。行ってこい」
「やだよ!!!!!」
作業着の不審者に近寄りたくないよ。




