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46日目 君、頭悪いよ

『聞いたよ桐屋さん。とうとう観念したんだね』

「かっ!勘違いしないでよねっ!!別にカンパルノ妹の為じゃないんだからねっ!!」


 ツンデレ蘭子。年に一度あるかないかのレア形態。初日の出よりもありがてぇと評判です。

 そんなありがてぇ蘭子が出現したのは2月15日水曜日。地球滅亡まであと55日の今日だ。


 電話の相手はカンパルノ妹。Y〇utube仲間になる予定のイケメンだ。


『ただ孫のおばあちゃんがなかなか厳しい人みたいだね。孫から話は聞いてるけど…』

「べっ!べつに厳しくなんかないんだからねっ!!ただちょっと……アタマガオカシイダケナンダカラ…///」

『どうしたんだいプリンセス』

「とにかく!私の金儲けの為なんだからちゃんと再生数伸ばせなかったら許さないんだからねっ!!」

『任せてよマイプリンセス…君の為なら火の中水の中…ただ……』

「な、なによ…///」

『おばあちゃんをこ……殺すって聞いたんだけど…(汗)』


 我がY〇utubeチャンネル運営係予定、易者の孫。

 易者のババアのチャンネル『万華鏡』公式チャンネルの運営に携わってるんだけど、このババアが孫を離さない。自分以外の人間の為に働くなら殺すと言うのだ(知らんけど)

 故に……殺す。

 孫を引き抜く為にっ!!


 その為に私はここに来ている。

 そう、病院です。


「私に策があるんだから、お前は何もしなくていいんだからね!!」

『何をするつもりなんだい?プリンセス…』

「首洗って待ってなさいよね!!」

『マイプリンセ--』ブツッ




 この病院は私がバナナの脱線事故に巻き込まれた時入院した病院だ。

 今日ここに来た理由は3つ。

 見舞いと打ち合わせとオマケだ。


 オマケから片付ける。



「ご要件伺います」

「黛出してください」

「は?」

「黛、出して。私の舎弟」

「……いや、あの…」

「黛ーーっ!!蘭子が来たぞーっ!!」




 ナースセンターで危うくつまみ出されそうになりながら私はオマケの病室に突撃。

 あっ、ちょっと待って。


「おいコノヤロウ」


 ブッ!!


「ぎゃっ!?お前っ!!」


 屁こきながら入室した部屋の主は…小林蓮司。

 罪深き私の元カレ。


「お前女としてのプライドとかねぇのかよ!?」

「……蓮司」


 説明しよう。蓮司は私からの報復で消火器で頭殴られた。だから今入院してるらしい。知らんけど。


 そんな蓮司にも私は天使だから紙袋をボンッと投げつける。頭を狙ったんだけど外れた。

 蓮司、警戒。


「……爆弾か?」

「見てみろ」

「これは……チョコレート…?」

「嬉しいだろ?」

「なんの真似だ?」

「バレンタインだ」

「バレンタインは昨日だが……」

「昨日はめんどくさかったから、今日持ってきたの」

「お前……」

「かっ!勘違いしないでよね!?これはただの義理チョコなんだからねっ!!」

「……勘違いしても、いいか?」


 は?いいわけねーだろ殺すぞ?


 とりあえず椅子を引っ張り出して蓮司の横に座る。ただし、腕一本分の間合いは確保する。蓮司からの攻撃に対処可能なようにだ。

 蓮司はまだバレンタインチョコに懐疑的みたい。


「……クラスみんなにあげたんだよ。だからお前にもやる」

「……本気か?あんな事があった後で?なにか仕込んでるんじゃないのか?」

「……蓮司、お前は生涯許されない。私はこの先の人生を賭けて、お前に復讐し続ける」

「そんなに……?(汗)」

「ただ、一つだけ確認したいの」


 不気味なのだ。


「……蓮司、お前はカラオケでの出来事を口外しなかった…なぜ、私達のやった事をチクらなかったの?」


 蓮司は私を見てる。穢らわしい。吐き気を堪えながら答えを待つ。蓮司は手の中のチョコレートを体温で溶かそうと試みながらその問いに答えたんだ。

 まぁつまりチョコレート握りしめながらって事ね。


 曰く……


「お前の気持ちも分かるからだ…言ったろ?俺は反省してる。だから、お前らの事をチクったりしねーよ」

「……蓮司」

「……蘭子。許されなくてもいい。でも…もし許されるなら」

「だから許さねーって言ってんだろ?」

「…………許されるならまた友達から始めてもいいか?」

「お前自分の頭消火器でぶん殴った女まだ口説くの?」

「俺、彼女途切れたらダメな体質だから」


 話は終わった。次。









 ……さて。次に向かうべき場所への進路へ立ち塞がったのは……舎弟、黛。何かを背負う女の顔をしている。


「久しぶりだね、黛」

「なぜ戻ったの?桐屋さん」

「語る必要は無い…そこを退け」

「あなたの小児病棟への立ち入りは禁止されているわ。忘れたの?」

「私が何をした?」

「あなたが小児病棟の子供達を追いかけ回したり舐めまわしたりするからでしょ!?」


 黛……もはや分かり合えんか。


「ならば死ね」

「あなたはもう退院したの。ここから先に進むというのなら……命を捨ててかかって来なさ--」


 ゴチンッ





 どーしてもギャグを挟まないと進めない女、蘭子。雑魚(黛)をゲンコツで片付けてから先に進む。

 目的の病室に入るや否や私のバイブスが上がっていく。

 もう我慢できないっっ!!


「アキホちゃァァんっ!!お見舞いに来たヨぉぉぉぉォんっ!!パンツ見せてっ!!」


 しーーん……


「……なん…だと」


 アキホちゃんまさかの留守。

 膝から崩れ落ちるしかなかった。こんな事って……あんまりじゃんか。


「いやまぁ……元気に歩き回れるくらい回復したって事だよね」


 アキホちゃん…君の頬っぺをまだ堪能してない事を忘れてないかい?


 仕方ないからバレンタインチョコだけベッドに置いて退散しよう。仕方ない。パンツはそこら辺に居る子で我慢するわ。


「おっと……忘れてた…チョコレートにちゃんと私からって分かるように…髪の毛を」


 ブチッ!!


 アキホちゃんへ。蘭子より愛を込めて。


 *******************


 本日のメインディッシュ、行きましょう。


「逃げなくてもいいんだよォ?ちょ〜っとおっぱいぺろぺろするだけだからねぇ〜」

「びぇぇぇぇんっ!!」「たすけて!おかあさんっ!!」

「むふふふふふふっ!!もう逃げられないぞぉっ」


 ベンロンベンロンッ!レロレロレロレロッレロンッ!!


 小児病棟の女児で欲求を解消しようとしてたんだけど……逃げ回るかわい子ちゃん達を追いかけていたら本日のメインディッシュと遭遇した。


 というか、向こうから来た。


「やはり……っ!混沌の気配がすると思ったんですっ!!」

「白浜玲美……お前か」レロレロ


 白浜玲美--

 私と同じく神--ナイアルおじさんの力をその身に宿した器。曰く混沌の母。邪教徒にしてただ存在するだけで全てを混沌に陥らせる人間兵器。こいつが居るだけで電車が脱線したりミサイルが降ってきたり取り壊し中の廃病棟に閉じ込められたりする。

 まさに悪鬼。


「桐屋さん、もしかしてまた入院するんですか?」


 とは、もうすっかり健康体にしか見えない白浜の質問。私はその質問を鼻息で吹き飛ばしながら本題に入る。

 こいつと世間話をしに来たわけじゃない。


「約束の時だ……」

「はて?なんの話でしょう…?」

「言ったでしょ?易者のババアに会わせてやるって」

「易者……はっ!桐屋さんの信仰仲間の!?」


 易者のババア抹殺計画の作戦はこうだ。

 まず易者のババアの所に白浜を連れていく。

 混沌が起こる。

 ババアは死ぬ。

 以上。


「ついに結成の時なんですね…秘密結社混沌の夜明けのっ!」

「うんうんそうそう」

「素晴らしいですっ!早く混沌で世界中を埋め尽くさなければ…その使命感に私、今から燃えてきましたよ!」

「うんうんそうそう」


 実際こいつ燃えてる。白い炎を撒き散らしながら。これは火ではない。混沌の母であるこいつの混沌パワーなのだ。

 ちなみに私も『Agの鍵』なんで同じようなパワーを出せます。ええ。


「社長は私なので、あしからず!」

「うんうんそうそう……で?お前いつ退院できるの?」


 バナナ事故で入院中なんだけど、同じ事故に遭った私は『Agの鍵』の力であっという間に回復した。この白浜も見たところ元気いっぱい希望いっぱいなんだけど……


「まだ決まってません」


 あ?







 病院から出れねーと会いに行けねーじゃねーか。

 という事で一体どうなってんだと主治医に直談判しに行こう。



「次の方どうぞー」

「私だ」「先生こんにちは」

「白浜君……と、誰だね君は?」


 診察室って書かれた部屋に強行突入したら白衣を着たたぬきじじいが。こいつが冥土帰しか?

 名乗らねばならない。


「こんちくは。あたい、桐屋蘭子。よろぴく」

「先生、この人が以前お話した私の教団の仲間です」


 こいついつの間に教団なんか作ってやがったんだ……勝手に仲間にするな。私は由紀恵じゃない、蘭子だ。


「帰ってくれないか?今仕事中なんだよ」

「先生、白浜はいつ退院出来るんで候?」

「白浜君は大事故に遭ったんだよ?そんな簡単に退院できないでしょ」

「私は直ぐに退院したけど?」

「それは君の担当医に訊いて?」

「どうしても外せない用があるんです」

「そんな事言われてもねぇ……」

「だったらせめて外出許可ください」

「いやぁ……」

「何が目的なの?先生。見て?こいつのこの元気っぷりを。これで入院なんてちゃんちゃらおかしくてへそで鍋出来るぞ?」

「私、元気です」


 元気アピールに事欠かない白浜。か細い腕をムキッてするけど悲しかな、コブのひとつも出来やしない。

 嗚呼情けなき白浜玲美……その細腕で何を守れようか……


「あんたの考えてる事はツルッとマルっとお見通しなんだぜ?先生」


 しかしこの桐屋蘭子を前にして悪巧みなんて出来やしねー。


「なんの事かね?」

「無理矢理入院を引き伸ばしてお金巻き上げようって魂胆だろ?このドンタコス野郎」

「そんな事は考えないよ……病院のベッドは回転率の方が重要なんだ。こちらとしてはさっさと退院してもらいたいね…それに、白浜君が居ると毎日変なことが起きるんだよ。先生もう疲れた」

「だったら退院させろよ」

「いやだから……」

「具体的にどこが悪いんですか?あん?」

「それは部外者には教えられないよ」


 前に出たのは白浜だった。


「先生、教えてください。私、どこが悪いんですか?」

「頭とか言うんじゃねーよな?」

「……知りたいのかね?白浜君」

「はい。知りたいです」

「言っとくけど、頭が悪いのはデフォルトだからね?」

「うーむ…………でもねぇ……」


 やっぱりこいつ何か隠してやがるな?


「白浜、こいつお前を使ってよからぬ事を考えてんぞ?」

「先生のえっち!」

「濡れ衣だ」

「……( ・᷄-・᷅ )」

「ほら見ろ、看護師も蔑んだ目で見てる」

「誤解だっ」


 先生は観念したようだ。看護師からの軽蔑の眼差しには耐えられなかったな。


「仕方ないな……」

「どこが悪いんだい?先生さんよぉ」

「どきどき」


 早く退院させろ。私の計画の為に……


「……頭だよ」

「先生!?(悲)」

「いやだから……それはデフォ…」

「白浜君、ご両親のご意向で話してはいなかったんだがね……」


 先生が出したのは1枚のレントゲン。そこにはよく分からんどっかを映した何かが……つまりよく分からん。


 曰く……


「君が事故に遭った後、精密検査で分かったんだ……ここ、分かる?」

「「分かりません」」

「これ、白浜君の脳ね?ここ、これ、影見える?」

「「影?」」

「君の頭にでっっかい腫瘍があるんだよ」

「「Σ(゜д゜;)」」

「……残念だけど、もってあと…半年だね」

「「Σ(゜д゜;)!?!?」」


 白浜玲美の余命半年だけど地球が吹き飛ぶまであと54日なのであんまり関係ない…

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