41日目 哀れなり蓮司
2月10日金曜日。華金。そして華のJC達の週末のチャイム…
特段盛り上がりどころのない授業が終了し、放課後。青春という息苦しい檻の扉が開け放たれまだ冷たい2月の空気が肺に流し込まれる…
乙女達の戦いが始まった。
「……こっこれはッ!!」
小林蓮司15歳。桐屋蘭子の元カレにして浮気野郎。浮気してくっ付いた女が浮気系パパ活女子だったという不遇なる男だ。
放課後下駄箱を覗いた蓮司はその顔を驚愕に歪ませる。何故ならば…下駄箱の中には可憐な手紙が一枚差し込まれていたから。
ありえない…浮気野郎としての地位を確固たるものにした蓮司に今更春が来ることなど…
しかし来たのだ。
--地獄の入口となる春の風が……
小林蓮司君
今日の放課後17時、忘ヶ崎駅前のカラオケ前で待ってます。
風花灯
「……ふぉーーっ!!」
発狂しながら駆け出す愚か者を私と委員長と陽菜…そして風花さんが下駄箱の影から見送る。
そう……復讐だっっ!!
蓮司は散々私との復縁を匂わせておいてあろうことか昨日クラスの絶対不可侵領域、風花さんに告った。
奴を殺して私は強く生きる事を改めて誓ったこの蘭子に今まで沈黙を貫き続けた孤高の女、風花さんが協力を申し出たのであった!
そして現在。
「じゃあ作戦だけど……」
風花さんを中心に下駄箱の前で輪になりうんこ座り。乙女達の放課後、秘密の作戦だ。ドキドキ…
「予定通り私は17時、カラオケの前で小林君を待つ。あの様子なら間違いなく来ると思う」
「……その前にこれ、どういう状況?」
「美堂さん。私達は桐屋さんの復讐に加担させられるんですよ」
委員長の説明に腐った魚の目、目玉を蕩けさせながら「?」と首を折る。このチームが結成されたその瞬間に立ち会っていなかった彼女だが、私の親友なので特別に『蘭子復讐チーム』の副リーダに任命しといた。
「んでもって私らは先回りしてカラオケに入店…機を待つ。陽菜は風花さんと合流するまで蓮司の監視」
「え?」
「うん。いい感じに頃合になったら合図するから、手筈通りに。よろしくね桐屋さん」
「……蘭子、私作戦の概要何も知らないんだけど……なに?この中身のない作戦会議は」
副リーダーのくせに何も知らない女は無視して、私達は動く。
風花さんは蓮司との約束に向かう。
私と委員長と腐った副リーダーは最後のメンバーを迎えに行くのだ。
「蘭子…復讐なんてやめよう。少なくとも、私は望まない」
「だめなんです…あの日から桐屋さんは復讐に取り憑かれてしまっています…この狂気を浄化する為には、完遂するしかないんです。それに…復讐に乗り気な風花さんの意向を無視することはできません」
委員長も恐れる女、風花さん。呼び捨ては許されない彼女がこのチームの参謀です。作戦立案は彼女。
ちなみにリーダーの私はメンバー選定で委員長は賑やかし要員です。
陽菜には蓮司の監視と仕上げのリンチをやってもらいます。
…んでもって私と委員長は蓮司の動きに警戒しながら最後のメンバーと合流すべく学校最寄りの駅前へ…
「こちら蘭子。腐った魚眼どうぞ?」
『こちら陽菜。小林君を補足、自宅方向に進行中。一度帰宅して着替えてから向かう模様、しばらく駅前には近づかないと思っていい。どうぞ』
「了解、引き続き監視せよ」
「……桐屋さん、あの方では?」
駅前の広場…
トンカツの大串屋(トンカツなのか串カツなのかどっちなんだい)の前にジャケット姿の美男子が立っていた。奴には目立つように胸に薔薇を差してもらってる。
この薔薇は最期、蓮司への手向けとして屍に添える予定。
「お兄さん、暇ですか?///」「お茶しませんか?///」
「ごめんよハニー達、待ち合わせがあるんだ…でもこれも運命だから、連絡先教えて?」
「「きゃーーっ!!///」」
「おいてめぇ」
「はっ!?キャンディちゃんっ///」
見た目麗しいこのイケメン…そう、カンパルノ妹だ。
見た目はただのイケメン。お堅い委員長ですら興奮が隠せない様子である。
「この人が作戦の協力者さん……桐屋さんとはどういう関係なんですか?」
「気になるの?マイハニー。大丈夫、君の事もちゃんと見てるよ」
「はわわわ」
「初めましてが抜けてんぞこのド阿呆。委員長、こいつは私に大きな借りがあるのでその借りを返したくて仕方ないんだよ」
「で?どなたですか?」
「もっと仲良くなったら教えてあ・げ・る☆」
「きゃーーっ!!///」
条件反射で乙女を口説く。これがカンパルノ妹なのだ。
「桐屋さんごときがなぜこんなイケメンと…っ!?」
「は?委員長口には気をつけなよ?蘭子、ムカつく奴の舌を噛みちぎってタン塩にして食うのが日課なんだから…」
「野蛮なプリンセスだ。キスする時気をつけなくっちゃ☆」
********************
陽菜と合流してカラオケ店に入ったお^^
「…ターゲットは自宅からここに向けて出発した。直に現れる」
「なんだかドキドキしてきましたね…」
「怖いのかい?僕の手を握っていていいよ、マイプリンセス」
「……蘭子、この人誰?」
「舎弟」
舎弟貯金が潤沢な蘭子、もう舎弟には困らなそう。しかも今回の舎弟は従順なのだ。
「お前は私の舎弟だよな?妹」
「君の王子様だよ、マイプリンセス」
「え?妹?」
「……いもうとって名前なのね」
さて。
『いやぁぁーーっ!!助けてぇえっ!!♪』
「おっと、風花さんから電話だ」
「え?桐屋さんなにその着信音……(汗)」
地味に風花さんの連絡先がスマホに登録された。未だかつていただろうか…?風花さんの名前を友達リストに載せた奴。否。
風花さんがトモダチ…なんだか凄く格が上がった気がするよね。
風花さんからの着信。ワンコール以内に出なければならない。
「あ、もしもし。桐屋です」
「……蘭子があんなに丁寧な喋り口調に…陽菜、なんだか少し寂しい」
「なんだか桐屋さんが桐屋さんじゃないみたいです。ムカつく人の舌をタン塩にして食べる狂人なのに……」
「素敵だよマイプリンセス」
『もしもし?どうやら来たみたいだ。通話状態のままポケットに入れておくからね』
「あ、はい。かしこまりました。こちらスピーカーにして聞かせて頂きます、はい」
「…………蘭子(悲)」
罪人、小林蓮司登場。
ここからは風花さんが忍ばせた通話中スマホから拾われる音声を聞きながら実況させて頂きやす。
無事カラオケに入店できた模様。二人きりの密室。蓮司は興奮のあまり鼻息が三割増。
『ぶふーっぶふーっ』
「……(汗)」「……(汗)」「……(汗)」「蘭子、よくこんなのと付き合ったね…あ、蘭子もそんなに変わらないか…」
黙れ腐った魚の目。割り箸で鼻の奥グジグジすんぞ?
『今日は来てくれてありがとう。迷惑じゃなかったかな?』
もはや豚な蓮司相手にも優しさを崩さない風花さんの御心が降り注いでいる。あんな興奮状態の浮気野郎と密室に閉じ込められるなんて健全なる淑女なら悲鳴ものだが…流石風花さんだった。
『いや…呼んでくれてうれしいよ。それで…』
『焦らないで?まずは乾杯しよう』
乾杯。こちらも乾杯だ。
「素敵なプリンセス達…君達の瞳に…」
「……?」
「あっ……君達に乾杯☆」
決め台詞を吐こうとしたカンパルノ妹は正面の陽菜の目を見て言葉を改めた。陽菜がその腐った瞳(汚物)でカンパルノ妹をじっっと睨みつけている。
「おらぁ!!」
そして私の乾杯の勢いが凄すぎてグラスが破砕。
「きゃああっ!!」
委員長に降り注ぐガラス片!
「危ないっ!!あっ!!」
咄嗟に庇ったカンパルノ妹の目に鋭い雨が襲いかかった!委員長はメガネをかけているから破片が目に入る事はなかった。カンパルノ妹、出しゃばった結果余計な被害を受ける。
「……私の目をディスった罰」
陽菜は被害妄想を増大させ、その光景を肴に一杯。
「ぐっ!?……飛び散ったガラス片が中に入ってた!?げほっ!!がはっ!?」
陽菜の喉は裂けた。
私らの部屋は阿鼻叫喚の地獄絵図へ…でも大丈夫。風花さんのスマホは音量をゼロにしてあるから、通話中でもこの悲鳴が向こうに聞こえることはないのである。
『なにか歌おうか?』
『お、おう…そうだな……』
対して向こうはあろうことか歌い出した。風花さん、じっくり行く気だ。しかしこんな事をしててスマホのバッテリーが持つのかが心配だ。
『わたしの〜おはぎの〜ま〜えで〜泣かないでください〜♪』
……蓮司の歌声…思い出す。付き合っていた時の日々。
蓮司ともカラオケ行ったっけな。一緒に『万の風になって』歌ったっけな?
これ、蓮司のお墓…間違えた。十八番なんだよ。
「あああああああっ!!目がぁぁぁっ!!」
「イケメンさぁぁん!!」
「ぶはぁっ!?(吐血)」
こっちはずっと泣いて叫んで大事件。
しばらく交互に歌っ…いや、蓮司はマイクを離さなかった。ただの一度も風花さんにマイクを渡さず熱唱し続ける蓮司の声に段々飽きてきて、あの頃の思い出も冷めちゃった。
風花さんもイライラしてると思う。
『…小林君』
風花さんが勝負に出た!
『ウルトラソウ……えっ?なに?』
『今日は話があって呼んだんだ』
「おいっ!お前達!!いよいよ動くぞ!準備はいいな!?カンパルノ妹!!」
「ぐっ……くっ!!うっ……!目が…医者を…っ!!」
「あれほどガラス片には気をつけろと言っただろ!?」
「げほっ!!やったの…蘭子だから(怒)」
風花さんが作戦に動いた。こちらも準備しなければならない。
準備と言ってもタイミングを見てカンパルノ妹を部屋から叩き出すだけである。
「桐屋さん、これ…」
おっと忘れてた。委員長から消火器を受け取ってカンパルノ妹に渡しておく。
「目が…目がぁぁっ!!」
「うるせぇもうすぐ出番だぞ」
『話…それって……』
『そう。告白の返事』
向こうの部屋に緊張感が走る。なんだこれは?私が蓮司に告白された時なんか公園の公衆便所の前で「俺ら、付き合わね?」だったぞ?
『……聞かせてくれ』
『……その前にさ、小林君は今日、楽しい?』
『えっ?』
『私達、お互いの事何も知らないよね。でも告白してくれた……どうして?』
『それは……この前の放課後…俺が蘭子のバカにハメられてクラス中から責められた時…』
誰がバカだって?
『風花さんが俺の事を助けてくれた』
風花さんは「合唱練習しないなら帰っていいか?」と訊いただけである。
『……うん』
うんって言っちゃった。
『俺にはあれだけで充分だった。でも…そっか。そうだよな。風花さんは俺の事全然知らないもんな。そんな男から急に…』
『でも、今日私凄く楽しい』
ムーディーな雰囲気だ。風花さん役者だな…
「うううっ」
「イケメンさんっ!!」
「平気さ……プリンセス。例え真っ赤に充血しても…僕の目は君を映し続けるよ」
あとはこのアホが役者になれるかどうかだね。
『そんな小林君からの告白に私も真剣に応えようと思うよ』
『風花さん……っ』
『……小林君。よろしくお願いします』
きゃーーっ!!
全て罠だと知っていながら蘭子、キュンキュンしちゃうっ!!
そしてこれは合図だ。
「よし行け!カンパルノ妹!!」
「吉池?…僕の名前は道端だよ?」
カンパルノ妹を部屋の外に蹴飛ばす。
蓮司の居る部屋--処刑場はすぐ隣だあっ!!
『風花さん……いやっ!灯っ!!』
衣擦れの音…抱きしめ合っているのか?気色悪い。
『……でも、いいのかな?』
『どうした?』
『ううん……私みたいなのが…こんなに幸せで…』
『……灯…』
『……』
もういいだろ。夢は終わりだ。
スパァァンッ!!て…
すんごい音と一緒に処刑場の扉が蹴破られる。処刑人の登場だ。
私達も部屋から出て現場へ向かう。
こそっと部屋を覗くと、変態が風花さんを抱きしめて、しかもなぜか押し倒した状態でフリーズ。予想以上の手の早さにこっちもフリーズ。
そしてそんな二人を前に消火器を肩に担いだイケメンが立っている。
しかも血涙流して。
「……なんだテメェは(涙)」
カンパルノ妹はキレている。
筋書きはこうだ。
風花さんは蓮司の告白を受け入れ、二人の愛は結ばれる…
そこに乱入してくるのは……
「テメェ人の女に何してくれてんだぁ!?おいっ!!」
風花さんの彼氏である。
カンパルノ妹にあまり迫力がないけど、生憎彼氏役で適任な男性が知り合いに居なかったので見た目だけなら男なカンパルノ妹に頼んだ。
ただ、目から流れ落ちる血涙は違うベクトルで恐怖感を煽ってくる。迫力という点では申し分ないかもしれない。
「なっ!?なんだ…お前は……っ!!」
「テメェこそなんだぁ!?お前俺の女に何してくれちゃってんの!?」
「お前…目大丈夫か?」
「おい風花ぁ!これどういう事だ!!」
その時風花さん、蓮司を全身で押しのけてカンパルノ妹の方へ…蓮司「ぐえっ」という悲鳴と共にソファの下に落下。
そして風花さんはカンパルノ妹の後ろに隠れながら言うんですね。
「この人が無理矢理…っ!」
まぁつまり……美人局です。
「んだとこらぁ……(血涙)」
「待っ……何を言うんだ!灯!!」
「明かりならついてんだろ!!」
「名前だろうが!!彼女の名前も分かんないのかよ!!」
「そうなの?…いや、そうだった…やい!馴れ馴れしく人の女の事名前で呼び捨てにしてんじゃねーっ!!」
「だから待ってくれ!!灯っ!!どういう事なんだ!?説明してくれ!!」
見せつけるようにカンパルノ妹に寄りかかる風花さんは心底見下したような眼差しでクズ女を演じる。
「…はぁ……マジキモイ。イミワカンナイ。こっちは遊びだったのに本気にしちゃってさ…ねぇ…めっちゃ怖かったよーん」
「てめぇ……!!」
「そんな…嘘だっ!!」
「俺を見ろ!!蓮司!!」
「ビクッ(なんで名前知ってんだ?)」
「俺のこの血涙…彼女を奪われかけた怒りと悲しみの涙をっ!これを見て嘘だと思うかっ!!」
「……(愕然)」
蓮司……
女を弄び続けた末路…そう。これがお前の末路。哀れなり蓮司。愚かなり蓮司。
そしてさよなら蓮司。
…電子、蓮司。
「君は死ななければならない…」
「いやそんな…バカな…(汗)違うんだ聞いてくれどこの誰とも知れない人!俺も…俺も騙されたんだっ!!」
「バカもヘチマもあるか…俺の怒りを受けて…ぇぇえいっ死ねぇっ!!」
「うわぁぁぁぁぁあっ!!」
…なんか後半雑だけど、まあいいか。
消火器振りかぶられて情けない悲鳴をあげ固まる蓮司。
でもいつまで経っても頭蓋骨が陥没しない事に疑問を覚える蓮司。
目を開ける蓮司。
目の前には私だ。
「……?……??」
「……かかったな蓮司」
「ら…蘭子……?」
満を持して現れた私の姿に全てを察した蓮司。目を見開いて風花さんを見るが返ってきたのは「ごめんね」という軽い謝罪とホイップクリームなみに軽い笑顔。
「おらぁ!!」
ゴンッ!!
あと私からの鉄槌。
「痛ぇ!?蘭子…っ!お前ぇぇっ!!これはなんの真似だっ!?それに委員長と…誰だお前!!」
「……え?同じクラスの美堂陽菜だけど…(悲)」
「風花さんも…まさかっ!全員でグルになって…俺を嵌めたのか!?」
「お黙り蓮司っ!!喝ッ!!」
なんか喚き散らしてる情けない男と書いて蓮司が元カノを見る目じゃない目で睨みつけてくるけど、私はあのまま消火器でお前の頭を砕き割る事も出来たという事を忘れてもらっちゃ困るんだよ。
「これが桐屋さんの復讐なんだって」
と風花さん。
「……ふく、しゅう……だって?じゃあ…俺の…恋心を利用して…?お前ら…こんなしょうもない事の為に…っ!人の心とかないんか!?」
「黙れ!!!私はお姉ちゃんだぞ!!!」
「?」「?」「?」「?」
「蘭子お前…また訳の分からん事言って…っ」
立ち上がる蓮司。お?やる気か?
「かかってこいや。シュシュシュ」
「……俺、蘭子に謝ったじゃんか…こんな事までするのか?なぁ?そんなに俺が許せないのか?」
「うん。シュシュシュ」
「うんだって」「即答でしたね」「辛辣なプリンセスだね」「あの構えはなんなのかな?」
「…蓮司。分かる?」
「なにが!!(怒)」
「私がここまでする理由さ」
DV彼氏みたいな顔の蓮司。怒りが臨界点。もはや正常な思考力が蒸発してる蓮司だけど。
そんな蓮司だけど……私は伝える。
「こんな事までするのは、それだけ蓮司に裏切られた私の心の傷は深かったって事」
「……」
「それだけお前を…私は愛してたんだぞ」
「蘭子……」
「……あれ?なんかいい感じに持っていこうとしてない?」「桐屋さん、まさか…っ」「え?どうしよう?僕はここに居ていいのかな?というか、あの2人はどういう関係なんだい?」「知らないのにこれに付き合ってたの?君」
俯く蓮司は拳を握り、何かをぐっと飲み込むような顔をしたよ。
今日の仕打ちに対する怒り、悲しみ、苦しみ、憎しみ、汗じみ…
それら全てを私の一言でぐっと飲み込んだ。
蓮司…
私だって本当は……
お前が本当の本当に心の底から悔い改めてここで切腹するってんなら、私はお前を許すよ…
「蘭子…………」
「蓮司……」
「俺も愛してるよ…」
「いやちょっと待って?」とカラオケの中に響き渡る軽々しい愛してるに待ったをかけたのは風花さん。
「早いな…切り替えが……」
「いや。こんな事されてもう君のこと好きとか言えないから…ごめん」
「いや……うんそれは別にどうでもいいけど…未練断ち切るの早いね。驚いちゃったよ私」
「本当は俺はずっと蘭子のことが好きなんだ」
「…じゃあ私への告白は?」
「なんかノリというか…俺、彼女途切れたらダメな体質なんだよね?」
その言葉に蘭子は一気に冷めました。
「この節操なしが!!」
ボコォ!!
私の渾身の右ストレートが蓮司を撃ち抜く。回転しながら飛んでいく蓮司はテーブルの角に頭ぶつけて出血しながら「何すんだ!」ってさも被害者面だけどさ…
「なんかお前…やっぱりないわ。うん。この瞬間になんか全てが冷めたわ…うん」
「お前の情緒が分かんねぇよ!蘭子っ!!そういう流れだったじゃん!?今!!」
「流れで言ったんか貴様」
「違う!」
「もうお前の口から出る何も信用出来ない…」
「ま…待て……蘭子っ」
カンパルノ妹から消火器を奪い取り、ゆらゆらと歩み寄る私に悲鳴じみた蓮司の叫びが…
「蘭子……結婚してくれぇぇぇっ!!」
--ゴシャッ!!
蓮司が死んだのであとは地球滅亡まで59日…




