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38日目 路端カンパルノを探せ③

「う〜ん……むにゃむにゃ…はっ!」


 桐屋蘭子、起床。見知らぬ天井とこんにちはしながら羽毛のように軽くなった我が身を起こす…


「おはようキャンディちゃん。よく眠れた?」

「……( ;¬ω¬)」

「( •ω- )☆」


 べしっ!


「痛い!?」


 何故か隣に添い寝してた妹をあべし!

 そうだ思い出した……路端カンパルノがどこに居るのか探す為に私、時空を超える旅を……


「うわぁぁぁぁぁっ!!」

「キャンディちゃん!?」

「こうしちゃいられねーぜ!!私は見た!!カンパルノがどこに居るのかをっ!!」

「本当!?」

「やべーぜ今すぐ助けにいかないと…!てか!!警察だっ!!」


 110番しよって思ってスマホ見たら日付が2月7日だ。おかしいな寝る前は六日だったのに…


「あれぇ〜?どうちて一日経ってるんでちゅう?」

「桐屋さん儀式の後寝ちゃってさ……朝までぐっすりだったよ」


 やべぇ寝すぎた!


 んな事よりお巡り!!


「警察に駆け込まなきゃ行けないんだ!ブーンっ!!ココドコ!?」

「交番だよ」


 なんというご都合展開。私は何故か交番でスヤァ…してたみたいだ。

 そうと決まれば畳張りの休憩室的なとこからぶち起きて扉を蹴破る。



「で?何をしてたんだね?」

「だから知らねって」

「今寝てる人に訊いてください」


 そしたら扉の向こう側で浅野探偵がお巡りさんに詰められてた。


「なにごと?」

「……桐屋さんが路上に落書きしたでしょ?」

「あれは魔法陣。時空のおじさん呼ぶ為のやつ」

「あれで僕ら、お巡りさんに捕まったんだ」


 私は公立受験を控えた身の上…しかも正月に爆竹騒ぎでお巡りさんの厄介になった前科あり。これ以上警察の厄介になる訳にはいかないんだ。


「逃げよう」

「え?でも……浅野探偵が……」

「大人はね、子供の尻を拭う為に存在してるの。それにね、私達にはカンパルノ救出という使命があるでしょ?このおバカ」

「桐屋さん……っ!そんなに姉の事を思って……っ」

「さぁ裏から逃げるんだ!!」


 ブーーンッ(脚を高速回転させる音)



「だから!知らねぇって言ってんだろ!?だから言ったんだ姉さん!帰ろうって!!」

「美夜!癇癪起こさないで!!消火器仕舞って!あのお巡りさん、私達そんなに悪いことしましたか?」

「したよ。公道に落書きしたらダメでしょーが。あと、サバトを執り行っているって通報も入ってるんだっ」


 *******************


 何とか警察から逃げ切る事には成功したみたい。んで……どうしようか。


「桐屋さん!お姉ちゃんは今どこに!?」

「……ふむ」


 そうだった。


「……私は儀式の後、時空を遡りカンパルノを探したの。それがこの令和のノアの力」

「令和のノアがなんか知らないけどすごいっ!」

「カンパルノが屁をこいた日まで時間を遡って追跡し、私はカンパルノの現在地を見つけた!」

「それは!?」

「……心して聞いて…カンパルノは……」



 --私が時を遡る事三日。マルイウィークでのイベント初日。


 ぶぼんっ!!と猛烈な爆発をケツから発生させたカンパルノは妹の言う通り癇癪を起こしてイヤイヤ期。その日は何とか事なきを得たが翌日、つまり私と妹が出会った日、イベント本番前に失踪。

 カンパルノはマルイウィークから逃げ出して途方に暮れていた。

 バス停でただ呆然と立ち尽くす彼女に近寄る影……


「……お嬢さん、お困りですか?」

「お困りですね?」


 それはグラサンをかけた怪しい2人組の男だった。


「……実はお金がなくて…」


 カンパルノの所持金は25円だった。


「そりゃ大変だ。いいだろう。おじさん達が送ってあげるよ。どこに行くの?」

「……どこか遠くへ……ここじゃないどこか遠くへ!!私を連れてって!!」


 こんなの誘拐してくださいと言ってるようなもんだった。

 そしてその通りだったのだ!


 黒塗りのバンに詰め込まれたカンパルノ。カンパルノの車詰めはそのまま本当にどっか遠くへ…

 その行先は……


「……という事でカンパルノは君と羊を合体させた字と馬って漢字の県の山奥に連れ去られた」

「群馬県かな?」

「多分それだ!」

「(群馬も読めないんだ…)誘拐って…家には身代金の要求なんてなかったよ!」

「それは……」



 誘拐されたカンパルノは山奥の廃屋に閉じ込められたんだけど…


「やい!家族の連絡先を言え!」

「知らない(泣)」

「隠しだてすると、ひどいぞ!!」

「ほんとに知らない。覚えてない(泣)」

「だったらスマホ出せ!!」

「持ってない(泣)」

「んなわけあるか!!」

「お母さんが「スマホは危ないからお家の外では使っちゃダメ」だって言うから(泣)」

「てめーいくつだよ!!」



 …カンパルノがお子ちゃまなせいで身代金も要求できず、今犯人達は途方に暮れてるみたい。

 私が見たのはそこまで……


「…というわけで警察に行こう」

「そんな…っ!お姉ちゃぁぁぁんっ!!」

「待てってスカポンタンっ!!走り出したところでお前には何も出来ないっ!!あとは警察に任せて、私に三百万と生牡蠣を寄越せ!」

「だって!だって!!お姉ちゃんがっ!このままじゃ殺されるかもしれないんだぞ!?うわーーんっ!!」

「だからって走り出したところでお前の脚じゃ群馬まではいけない」

「でも…こんな話警察にして信用してもらえるのかい?」


 あん?令和のノア舐めんな(怒)



 …というわけでさっきの交番まで戻ってきた。


「…とある海外の凶悪犯が自分の殺した被害者の霊に毎夜化けて出られて、自責の念から自首したという事件がある。そんな理由で自首して受け入れられるなら、時間を遡りましたって言っても信じてもらえるはず」

「ほんとかい?」

「私はあのバナナ事故から奇跡の生還を果たした令和のノアなんですけど?」


 たのもう!


「さっさと!罪を認めやがれ!!」


 スパァァンッ!!


「痛い!?美夜っ!!たすけて!!」

「コノヤロウ!それが警察のやる事かっ!!」


 スパァァァンッ!!


「早く認めないと…お姉ちゃんのおケツが真っ赤に熟れちまうぞぉぉぉっ!!」

「美夜ぉぉぉっ!!助けてぇぇぇ!!」

「汚ぇぞ!!」


 ……


 これが汚れた公僕…こんな連中に三百万を託すことはできない。

 双子の片割れのケツをバチコンバチコンしてるお巡りの背後に忍び寄った私はやつの熟したケツ穴に狙いを澄ませ…


「奥義っ!!ア〇ルフィンガーストライクッッ!!」


 ズブッ!!


 説明しよう!ア〇ルフィンガーストライクとは両手の人差し指を合わせ、回転運動を加えながら敵の肛門に突き刺す奥義である!


「ぎゃわっ!?♂」


 敵は死ぬ。


「あっ!君は…無事だったんだね!お姉ちゃんのお尻はもう無事じゃないけど…なんでこんな目に…(涙)」

「おい!!てめーの奇行のせいで姉さんのケツが真っ赤になったぞ!!」


 助けてあげたのになんて言い草…


「聞いてください探偵さん!姉は今、群馬の山奥に閉じ込められてるんですっ!!」


 妹の説明に浅野探偵は揃って「なんで?」の一言。しかし説明してる暇はないのだ。全ては私が令和のノアだから…それ以上でも以下でもない。


「…浅野探偵、いや、お〇り探偵」

「誰がお〇り探偵ですか(怒)」

「免許持ってる?」


 *******************


 免許はあるけど車はないよってな事でレンタカー屋さんに行ったんだけどなんと車が品切れだと。

 途方に暮れた私達がたまたま立ち寄った工事現場の現場監督がブルドーザーで良ければ…と言うので……



 ガガガガガッ


「美夜、すごい…重機の運転もできるのね」

「後ろからパトカーが追いかけてくるぞ」

『そこのブルドーザー、停りなさい!』

「無理もないわ。ブルドーザーで高速道路走ってたら警察も追いかけてくるよ」


 とっくに日は暮れていた。ブルドーザーってすんごい遅い。

 そして追跡してくるパトカーもブルドーザーのあまりの迫力に強硬手段を取れず、事態は膠着状態のまま…目的地の群馬の山中へ…


 ブルドーザーだから山道だってなんのその!


 ドドドドドッ!!


「…あの、流石に遅すぎるよ。朝に出かけてもう23時を回ってる。こんな悠長にしてたらカンパルノ殺されちゃうかも」

「冗談じゃないっ!!桐屋さん!!探偵さん!!もし姉の身に何かあったら…っ!!」

「よしな。文句ならブルドーザー借りたお前の友達に言えや」

「こら、美夜!大丈夫…お姉ちゃん達がきっと助けるっ」


 …でも警察まで引き連れて来てなんだかちょっと得した気分♪


「それで?カンパルノさんはどこら辺に閉じ込められてるの?」

「姉さん、ここまでやっておいて今更だが…信じてるの?こいつらの世迷言を…」


 今のうちになんとでも言うがいい。三百万は私のものだ。


「多分そこ右」

「一本道だよ(怒)」


 おや?どうやら目的地に到着したようですね…


「桐屋さん!もしかして……っ!」

「ふむ…あの古びた小屋…間違いないね」


 妹が血気盛んに降りてくのを一旦止めてから私は時の旅で見た小屋の外観と照らし合わせる。

 穴だらけの壁とトタン屋根。扉に巻かれた鎖。どうやら間違いないらしい。

 三百万は私のモノだ。


「この中にカンパルノが居る!」

「美夜!今こそ浅野探偵事務所の実力を見せる時だよ!」

「あとは警察に任せよう、姉さん」


 正反対の方向に走り出す双子を繋ぐは絆の手錠。


 ガチャンッ!ギチギチ…


「美夜!ここまで来て逃げないの!!」

「痛い痛い痛い痛い!!骨!骨にっ!!」


 少し静かにしてほしい…


「犯人が中に居るのかな……」

「何をビビってる妹よ。こっちは四人だ」

「でも相手は凶悪犯だよ?僕の身に何かあったら…」

「何かあったらなんだってんだい」

「世界中のレディが泣くよ?」

「私は泣かない」


 それにこっちには名探偵が居るじゃないか…


「古来よりシャーロック・ホームズ然り、江〇川コナン然り…探偵というのは戦闘力に長けるもの……」

「じゃあ、浅野探偵に任せるって事かい?警官にケツ引っぱたかれてたあの、浅野探偵に?」

「勝手に決めてんじゃねー」

「美夜、はいこれ」


 ブルドーザーから持ち出され双子妹に手渡されたのは真っ赤な消火器。ヤ〇ト製とはセンスがいい。私はこの探偵達を見直した。間違いない、プロだ。


「はいじゃねーよ姉さん。帰ろう。警察がすぐそこまで迫ってる。誘拐犯を捕まえる為じゃない。私達を捕まえる為にだ」

「でも正義は私達にあるよ」

「ねぇよ。ブルドーザーで高速走る迷惑な奴に正義なんて」


 自分で運転してたくせに…


「そもそも本当に誘拐犯なんて居るのかよ?全てこの踊るポンチクリンの妄想だ」

「踊るポンチクリンって私の事?(怒)」


 ここまで来てまだごねる…

 私が探して浅野探偵が救出して、報酬は私がいただく。実に公平な采配じゃない。まだ不満が?

 でも時間がない。すぐそこまでサイレンが迫ってる。


「私は信じてないぞ?姉さんはバカだから騙せても、私は騙されない」

「そんなに言うならね、入ってみればいいじゃない。なに?ビビってんの?」

「ビビってねーし」

「ビビってんのは、誘拐犯が居ると思ってるからだろーが!!」

「思ってねーし」

「みんな!!もう日付が変わろうとしてるんだよ!?早く姉さんを助けて!!」


 何もしなくても他人が何とかしてくれると信じてる妹からの懇願。そして頑なに動こうとしない双子の妹。


「ビビってやがる」

「ビビってねーし(怒)」

「いーや、ビビってんね」

「はぁ!?だからビビってねーしっ!!」

「美夜っ!小学生相手に張り合わないの!」

「…………え?中学生ですけど?(怒)」

「私はこんなバカげた事に深夜まで付き合わされてることに怒ってんの(怒)」

「ビビってるんだって。妹、報酬は私のモノね?」

「…………ビビってはねーけど…万が一があるから中には入らない」


 埒が明かない。そんな時、探偵の姉が「じゃあね美夜、折衷案として……」と提案する。

 何を提案したかと言うと……






「中を確認しつつ安全を期すためにブルドーザーで突入しよう」


 ピーピーピーッ


 カンパルノの安全を度外視した安全策。


「姉さん正気か!?」

「この小屋、誰のなんですか!?」


 知れたこと……蘭子叫ぶ!


「そんなの誘拐犯のに決まってらぁ!!いっけぇぇぇぇっっ!!トリケラ蘭子号!!」


 ガガガガガガガガッ!!!!


 なんだかんだいいながら興が乗ってるらしい探偵妹が悪人面で「おりゃああああ」とかいいながら小屋に特攻!自分はクールですみたいな顔しておいて、楽しんでんじゃん。


 派手なのは嫌いじゃない。


 ドリフのコントのセットなみに脆弱そうな小屋へ怪獣のようなブルドーザーが突撃した瞬間、警察が追いついた。


 ドドドドド!!ドガガガガガッ!!メキメキメキッ!!ズドォォッ!!!!


「まさか…っ!これはっ!!」「お前達…何をしてるんだぁっ!!」「本部に応援を要請しろ!!」


 この小屋みたいに地球が吹き飛ぶまであと62日…

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