36日目 路端カンパルノを探せ①
私、桐屋蘭子。令和のノア。
4月10日に地球滅亡を予知した女子中学生。もうすぐ高校受験。
昨日はこーちゃんとお出かけしようと思ってたんだけどなんか空き巣が入ってそれどころじゃなくなった。お母さんに怒られた。
なので今日行く。
2月5日、日曜日。乙女の休日。隕石がやって来る気配なし。
こーちゃんを誘ったら「いかない」だってさ。
地元のJCの間で熱いマルイウィークなる複合施設に芸能人、路端カンパルノが昨日から来てるらしい。
「すぎょい人ら!」
「なんて?」
休日という事もあってすごい賑わいを見せてるマルイウィーク、時刻は正午。人口密集地帯にて滑舌が死んでる沖雅と共に路端カンパルノの見物と洒落こもう。
「受験が控えてるこの時期に遊びに誘ってすぐ来るなんて雅は暇なんだね」
「暇じゃにゃ!来にゃいと死にゅ言っちゃの蘭子だりゃ!」
「ごめんなんて?」
「しょんにゃ事よりゃ、路端キャンピャリュリョは何しにゃ来ちゃ?」
「何しにってイベントかなんかでしょ?あれを見ろ」
蘭子が通路から指差す先は一階のなんちゃら広場。雨が降ったら何も出来なくなるに違いないイベントスペースに特設ステージが設置されているではないか。
多分あのステージで路端カンパルノが踊ったり泣いたりするんでしょ?
「なんてこった……イベントスペースでたこ焼き焼いてやがる……雅、財布!」
「にゃんのたみゃに呼んだにゃ(怒)」
昼時だってのに飯も食わせないこんちくしょうをあのバルーンにでも括り付けて空に返してやろうかと思ったその時だった。
「すみません、お嬢さん方」
お嬢さん?
「誰ですか?失礼な、オールドレディとお呼びっ!!」
「そっちゃにょ方が失礼りゃ!ぴぎゃっ!?」
私達の背後から忍び寄った影--
それはキラキラ輝く栗毛のくせっ毛の、左目下の泣きぼくろが印象的な色白で中性的なイケメンだった。
「すぎょいイキャメンにゃ……」
雅は速攻落ちていた。
しかし流行りに流されない硬派な女主人公、蘭子ちゃんはこんなナンパ野郎に絆されない。初っ端から喧嘩腰でいこう。
「なんじゃわれぇ!?」
ゴチンッ!!
舐められたら終わり。蘭子の色香に吸い寄せられたナンパ野郎に頭突きをかましてやった。
「えっ!?痛いっ!?いきなり変な人だっ!」
「怯んだか……この桐屋蘭子をお茶に誘いたいんだったらもっと根性入れ直してから出直しな?ベイビーちゃん」
「……参ったな。君の勇ましさに僕、目眩がしちゃったよベイビーちゃん」
「ベイビーちゃん言うなッッ!!(激怒)」
「……ごっ…ごめん……(汗)」
「……ふーっ…次、私の事をベイビーちゃんって呼んだら……ふーっ……」
「そんなに怒るなんて……許しておくれ。君を傷つけるなんて僕はなんて……」
なに肩抱き寄せてんだてめー。こいつ相当なプレイボーイだぞ?いい匂いがしやがる。
「お詫びと言っちゃなんだけど、お茶をご馳走させてくれないかい?」
「雅助けて!変態が私に触ってる!!」
「そきょ代わりゃ」
ここまで驚異的なテンポ感で飛ばしてたナンパ野郎は「違うんだ」と私を乱雑に弾き飛ばし自虐気味にかつニヒルさも忘れない顔で笑った。
「ごめん…つい癖で…女の子口説くの」
「なんて嫌な野郎だい」
でもなぜか……初対面の気がしないぞ?こいつどこかで……
………………
「…………あっ!あーっ!!お前は夢に出てきたっ!?」
路端カンパルノがマルイウィークに来る事を予知した夢で『運命的な出会いがある』とか何とか言って時空のおじさんに見せられた顔!
よく見たらこいつじゃねーかっ!!
「え?僕と夢の中で会ったことがあるの?嬉しいな……僕も君に会いたかった」
「私は!?」
「もちろん君にもだよ。今日僕は君達に出会いにここに来たんだ」
こんなナンパ野郎が!?
「……悪いけど私、高倉健でも足りないくらい硬派な男が好きなんで…」
ガチドン引きしてる私の顔にハッとしたナンパ野郎はまた「いけないいけない」って己を律する。ムカつく顔してやがる。私は顔だけで飯食っていけそうな野郎を見ると殺意が湧くんだ。
「違うんだ。君達に声をかけたのは別の要件で……」
「さっさと言えよ」
「りゃんこ、なにゃ怒ってりゃ?」
「二人とも僕の姉を見なかったかな?突然居なくなって困ってるんだ」
「……知るわけねーだろお前の姉貴なんて!一昨日来やがれっ!!」
「……そ、そんなに怒らないで。機嫌を直してよキャンディちゃん」
「…………おい、易々と地雷踏みやがったなてめー」
「りゃんこ、黙って。お姉しゃんってどんにゃ人にゃ?」
「一緒に探してくれるのかい?ありがとう」
こいつ……初対面のくせに雅とコミュニケーションが成立してるだと?
蘭子はこいつへの評価を改めた。
「やるじゃん。興味があるから殺すのは最後にしてあげる」
「で?どんにゃ人にゃ?」
「うん、君達も多分知ってると思うんだけど…」
初対面のイケメンの姉なんて知るわけねーだろ。
「路端カンパルノなんだ」
知ってた。
*******************
「お前何者なんだ」
「路端カンパルノの妹です」
「今なんつった?」
「路端カンパルノの妹です」
その瞬間、雅の中で何かが崩れる音がした。ドンガラガッシャーンて…
「おおお、おんにゃ!?」
崩れ落ちる雅。雅は存外惚れっぽい女なんだなって軽蔑の眼差しをプレゼントしてる横で妹はとつとつと語る。
「実は昨日今日とここでイベントに出演してたんだけど……昨日のイベントが終わったあとから様子がおかしくて……」
「というと?」
「おんにゃ!?しょにょ顔にぇ!?」
「もう仕事したくないって……昨日の夜からずっとごねてて…今までもこんな事はあったんだ。でも、今回とうとう我慢の限界を迎えてしまったようでさ……」
「何かあったの?」
「昨日本番中に……屁を……」
「……(汗)」「……(汗)」
「もうお嫁に行けないって……それでも慰めながら何とか今日連れてきたんだけど…本番目前に……」
「失踪したんだ?」
「うん」
えらいこっちゃ。
「ガンバッテネ」
「ここまで話を聞いておいてそれは無いんじゃないかなハニー」
「誰がハチミツだ。誰がくま〇プーさんだ。言っとくけど著作権切れたから、どんどん出してくからね?くま〇プーさん!!」
「原作は切りぇたけりょまでゃディジュニー版は残ってりゃ」
「頼むよ、本番は13時からなんだ。あと一時間以内に見つけないとまずいんだよ」
「どうまずい?」
「だから本番一時間前なんだって」
「迷子センターにお願いしよう」
「馬鹿な……路端カンパルノが迷子放送なんてされたら笑いものになるよ。姉は繊細なんだ」
知らんがな。
「頼むよぉぉ……スタッフ総出で探してるけど見つからないんだっ!姉は昔「忍ぶもの」と呼ばれるほどのかくれんぼの名手で、本気で隠れられたらお手上げなんだよぉ!」
泣きじゃくりながら脚に縋り付くその姿にイケメンの面影はない。しかし時空さんよ、これのどこが運命的な出会いなんだ?
「……拾得物を届けて落とし主が見つかったら報酬一割らしいけど……」
「拾得物ではないよ!?」
「路端キャンピャルリョにょ一割ってなんりゃ!?」
「年収とか……?」
ピンポンパンポーン♪
『お客様にお知らせ致します』
「館内放送!?まさかスタッフが業を煮やして!?」
「良かったね」
「でみょしょんにゃ事しちゃりゃイメージュにゃ……」
『ただ今館内に刃物を持った不審者が侵入しました。危険ですので、係員の指示に従って避難してください』
ぶったまげたΣ( ˙꒳˙ )
「おっ……お姉ちゃぁぁんっ!!」
妹、号泣。そのまま駆け出した。姉の身に何かがあったら…その麗しい姉妹愛にこの桐屋、何も心が動かない。急いで避難しなければ…
というか時空さんはこういうのを予知して欲しいんですけど……
「雅、帰ろう」
「薄情者」
勇ましき沖雅、正義の心に火がついたか…しかし取ってつけたようなその場限りの正義を人は欺瞞という。雅に軽蔑を禁じ得ない。
「待つりゃ!わたしゃ達みょ探しゅりゃ!」
「え?なんて?(涙)」
「雅は一緒に探してやろうと言ってるんだよ」
「本当かい!?」
感激する妹は私の手を握るが、私は一言も手伝うなんて言ってない。
「しょにょ代わりゃ、条件がありゅにゃ。見ちゅけりゃら…男になっちぇほしぇいにゃ」
「ごめんなんて?」
「急に意思疎通できなくなったね」
「男根生やしちぇ欲しぃりゃ」
雅は歪んでた。
「なんでもいいからお願い!見つかったら牡蠣あげるから!実家から大量に送られてきてるんだ!」
なに?牡蠣?
「……それは生牡蠣か?」
「え?うん……生でも焼いてでも……」
「決して火を通さないと誓えるか?」
「え?……う、うん」
桐屋蘭子、路端カンパルノを探せの旅。
「きゃー!」「うわー!」「おたすけー!」
来場者達が逃げ惑う中私達三人はそんな人の波に抗って館内を駆け回る。
「……で、ごめん。私路端カンパルノがどんな顔か知らんがな」
「えぇ!?嘘だ!路端カンパルノだよ!?」
「知らん」
そもそも何してる人?
「これが僕のお姉ちゃんだよ」
妹が見せてくれた写真によると、路端カンパルノは量産型お嬢様みたいな顔をした淑女らしい。華々しい容姿の妹とは反対に大和撫子な感じの黒髪美女である。
で?何してる人?
「でみょ、闇雲に探してみょ埒が明きゃにゃいにゃ」
「なんて?」
「それもそうだね。おい妹。路端カンパルノが隠れそうな場所ってどんなとこ?」
「……そうだな…お姉ちゃんは暗くてジメジメした場所が好きで……昔かくれんぼの時は土管の中とかマンホールの中とかに……」
それは見つからんわな。
「蘭子は考えた」
「なんりゃ?」「あてがあるのかい?」
「話の流れ的にだな……恐らくカンパルノは件の不審者の近くに居る。私には感じる。私は最近、混沌に愛されてるから」
「なんてこった……」
「にゃんの話にゃ?(汗)」
「つ、つまり……不審者の居る方を探せばいいってこと……?でも、根拠が薄いんだけど……」
「私は百発百中の占い師……桐屋蘭子。信じるのだ」
満を持して名乗った瞬間、妹がハッとした顔をしてなにかに気づいたらしい。
「もっ!もしかして……バナナ事故の!?あの!?」
易者のババアのせいですっかり有名人らしい。
「然り」
「あの桐屋蘭子だなんて……っ!すごいっ!!お茶してくださいっ!!」
「今りゃしょんにゃ場合じゃにゃいにゃ」
すっかり私の力を信じてらっしゃる残念なイケメン君。しかし私は感じるのだ…話の流れ的に…つまり大いなる意思を。
というわけで避難誘導に忙しそうなイケメン係員を捕まえた。
「おい」
「避難してください!こっちは危険です!」
「てめー不審者がどこに居るのか知ってるな?言え」
「お願いします姉が危険なんです隠し立てすると容赦しません!」
「時間ぎゃないにゃ」
「なっ……なんだこいつらはっ!!」
「……喋らねーってんならこの蘭子、手段は選ばない。私の特技はタマを素手で砕くことです」
「ひっ!?……あっ、あっち!」
係員が指し示すのは一階のイベント広場だった。近かった。
「お姉ぇぇちゃあああぁぁんっ!!」
叫ぶイケメン。炸裂する姉妹愛。しかし人目も憚らず……
シスコンってみっもないよね。
転がりながらイベント広場に駆け込む妹を追いかけて到着したら、警備員とボロっちい身なりのおっさんが膠着状態。
おっさんの手には確かに大ぶりのナイフが握られてる。
乱雑に倒された椅子や机はおっさんが暴れたのか、日曜日の平穏を破られた客が逃げる時に倒したのか……とにかく現場は緊張感溢れる様相だ。
緊迫感のある現場の中で蘭子の目はイベント広場を見回してた。
……特設ステージの裏側…壁とステージのパネルに挟まれて暗くてジメジメしてそうだ。
感じる……私達に残された残りの文字数とこの後の展開の長さを……
「りゃ……りゃんこ…」
「落ち着け雅、目的はカンパルノ。おっさんの相手をする必要はない」
「コノヤロウ!お姉ちゃんに近づくな!!」
なんという勇ましさ……いや、アホさ。こいつは目的を勘違いしてやがる。
警備員を押しのけて立ち塞がる妹に完全に目がキマっちゃってるおっさんが「んだてめぇは!」と叫ぶ。雅ガチブル。
大変だ!生牡蠣がっ!!
「お前……っ!俺の邪魔をするなっ!!」
「お前こそ僕のお姉ちゃんの仕事を邪魔するなっ!!」
「ぶち殺すぞ!!」
「お姉ちゃんを殺したければ……僕を殺してから行けぇ!!」
「お前のねーちゃん知らねぇよ!!」
暴走機関車と化した妹が筋違いな勢いにより現場の状況は悪化します。全く…姉妹愛により周りが見えなくなるなんて…とても正気とは思えない。もっと常識を弁えて生きてくださいバカ。
「ぼっ!防災センターっ!現場に謎の女性が……っ!犯人を挑発してますっ!応援を……っ!!」
「その生牡蠣は私のです」
警備員のおじいちゃんから無線機を取り上げる私が颯爽と登場だ。
『防災センターより。女性を非難させてください、どうぞ』
「……ここは私に任せてもらおうか」
『だ……誰だ君はっ』
「桐屋蘭子……覚えておくといい。路端カンパルノを救ったのはこの桐屋蘭子だと…どうぞ」
『何を言ってるんだ君は!?逃げなさい!どうぞ!?』
かっこよく無線機を放り投げる私の姿に雅も思わず「かっきょいい……」と呟いた。
さて……行くか。
「おじさん」
「桐屋さん!?」
「またなんか出てきたな!?」
「落ち着きなよ。望みを言いたまえ。この桐屋蘭子が聞いてあげよう。聞いてあげるだけだけどね?」
「くそぉっ!どいつもこいつもふざけやがって!!頭に来たぜ!!」
「喝ッッ!!」
「ビクッ!?」「ビクッ!?」「ビクッ!?」
「……おじさん、こんなことをしても何にもならない。皆様の平和な日曜日を返しなさい…そして死ね」
「てめぇ……(怒)」
「どうしてこんなことするのっ!!」
「どうして……だと?」
この目……とんでもない闇を抱えてる?
問いかけに応じるおじさんがナイフを持つ手を震えさせながら語る。
「……俺はなぁ!ちょっと前までこの施設で働いてたっ!!俺には病気の娘が居て…治療費を稼ぐ為にっ!!毎日身を扮にして働いたさっ!!でも……っ!!俺はクビになった!なぜだと思う!?職場の女に嫌われて嫌がらせで…着替えを覗かれたって覚えもない濡れ衣を着せられたんだっ!!」
「……」
「警察沙汰にまでなって…へへっ。職を追われて経歴に傷がついた俺は転職も上手くいかなくて……金も無くなっていって……ついに娘も……」
「……(汗)」
「仕事を奪われたせいで娘に手術を受けさせられなかったんだっ!!」
どうしよう。ガチで重いヤツだ。この流れはしょーもない動機なんじゃないのかい?
リアクションに困って変な顔になってる私に向かっておじさん……いや、この御仁は狂気を宿す。
「俺にはもう失うものは何も無いっ!!最期に無茶苦茶やってやるっ!!ノコノコ出てきたお前を……っ!!殺して俺も死刑になるっ!!」
本気だ……それを察した妹が我先に逃げ出した。なんて奴…誰の為に体を張って出てきたと思ってるんだ。
それにしてもこの短期間にこう何度も命の危機に陥る私はなんなんだ?もしかして白浜の混沌の力が移った?
「死ねぇ!!」
「きゃーーっ!!」「りゃんこっ!!」
突進するおっさん。蘭子ピンチっ!!
しかしこの桐屋蘭子。容姿端麗運動神経抜群の奇跡の天才。当然護身術も嗜んでおります。おほほ。
ごめんあそばせっ!!
「あちょ--」
つるっ
パンチラも気にせず迎撃のキックを走らせたはいいけど滑った。勝手に転ける私は無敵の人にマウントポジションを取られてしまった。
覆い被さる殺意。ギラリと輝くナイフ。ヤバい死ぬ。
「いやぁーっ!!やめて!触らないで変態っ!!こんな事して何になるの!?娘さんが喜ぶとでも思って!?」
「黙れ……ふしゅっ……黙れぇっ!!」
「私を見て!!」
「ビクッ!?」
「私を見てどう思うの!?本当に刺せるの!?娘さんに今の姿、見せられるの!?」
奇跡の美少女蘭子ちゃんに見つめられおっさんの動きが……止まった。
おっさんの体が震える……
おっさんのなにかに刺さったみたいだ。
「……こんなの復讐でもなんでもない。私何もしてないもん」
「……お、俺は……ぅ」
「このあんぽんたんっ!!」
「……っ!!」
「冷静になって……こんな事で人生棒に振って…それが娘さんの望む事なの?」
「……やめてくれ……っ…俺は……くそっ……俺の娘も……お前くらいの歳頃だった…」
私に娘を重ねてる。つまり、娘さんはK-POPアイドルクラスの美貌だったらしい。そんな私を殺そうとするなんて、どうやら娘に対してサディズムな欲望を持ってるタイプの変態らしい。
「あなたがしなきゃいけないのは……」
「俺は……間違えていたのか……?」
「私じゃなくて同僚への復讐でしょ!?」
妹が「復讐は何も生まないよ!?」って叫んでるけど……甘い。復讐のみが内なる闇を浄化する唯一の手段。この桐屋蘭子、将来の夢は拷問〇ムリエ。
「そいつを社会的に破滅させる事こそがあなたの使命……っ!!」
「俺の……使命……っ」
「胸に手を当てて…あなたが本当に復讐しなきゃいけないのは誰?」
むにゅ
「私の胸に手を当ててんじゃないよ」
「俺を……貶めたのは……っ……俺は…ここの警備員だった」
おや?
『防災センターより。タカシくん、逆恨みはよすんだ。そんな事をしても何もならない。どうぞ』
「……ここの警備員達…っ」
そうだろう?
『防災センターより。犯人を挑発するのはやめなさい。どうぞ』
私は無線機を取る。
「……ふぁっきゅー。どうぞ」
どうやらタカシくんは本当の敵を見定めたようだ。
私達は立ち上がる。
「……行こうぜタカシくん」
「りゃんこ!?共犯者にゃなりゅきゃ!?」
……ちなみに路端カンパルノはどこにも居ませんでした。
タカシくんの心の闇が人間社会と共に吹き飛ぶまであと64日…




