表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/74

第29話「てんやわんや!」

朝霧の墓地。

今日も「アスヒラクフーズ」の屋台前には、信じられないほどの行列ができていた。


「次のお客さま〜! お待たせしたのじゃ! 本日も元気に、“魔王の朝活ポーション”じゃぞーっ!」


魔王アマリエが天地粉砕ステップとともに、カップを掲げる。


「うわっ、かわいい!」


「ホンモノだ!ホンモノの魔王ちゃん!」


「しかも、今日は“グレープ味”じゃん!」


人々たちの歓声が飛び交い、カメラが次々と回っていく。

ありとあらゆる動画配信サイト、SNSでアマリエの踊りが共有され、バズは止まる気配を見せなかった。


「ふふん、見よ、ガンちゃん! ワシのステップが人々を魅了しとるぞ!」


『魅了というより“中毒”に近いニャ……。あまり踊り過ぎると、魔王らしさが消えるニャ』


「うぬ? ワシ、魔王じゃったか?」


『そこ忘れるニャーっ!!』


黒猫ヴォルフガングは、しっぽをピーンと立ててツッコんだ。


「ガンちゃん、この勢い……すごくないか? なんか、世界征服できそうな気がしてきたのじゃ」


『アマリエ社長……それはアウトニャ。今は“平和なビジネス魔王”としてやっていくニャ』


「むぅ、平和とは、難儀なことよのう。たしか、昔はワシの笑顔ひとつで村が燃えたもんじゃが」


『怖い過去を美談にしないでほしいニャ……』


ヴォルフガングはスマホでKPIグラフを確認しながら、テレパシーで呟いた。


『昨日からの新規客流入率、62%。UGC拡散率、173%。これ、もう少しで“地域バズ”から“エリアトレンド”に昇格ニャ』


「バズると、どうなるんじゃ?」


『周辺の人間たちが“わざわざ来たくなる”現象ニャ。そして、その集客力を『雇用』に変換する――ここが次のステップニャ』


「……ようするに?」


『バイト募集ニャ。人手が足りなさすぎニャ!!』


「なるほどのぅ〜〜〜。さすがガンちゃんじゃな! ワシ、トングもてんやわんやじゃ! あとポーションの容器がどこに消えたか分からんのじゃ!」


『語彙力も在庫管理もてんやわんやニャ……』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ